11.愛を確かめましょう。
まどかはすこぶる可愛い。
最近は貧血で倒れるんじゃないかと心配でレバーやほうれん草を食べている。
向かい合いながら座っている。まあ、床にちょんと正座をちょっと崩したように座るまどかは本当に可愛い。
俺を真似て胡座とかかいたらどうしようかなどと言う心配はもうない。
「優はまどかのどこが好き?」
無垢な微笑みが眩しい。
光が強すぎて影など現れない程に眩しくて直視などしたら目がくらむ。
盛りの付いた獣に毎度なるわけにはいかない。まどかも流石に毎日となるとキツいものがあるだろうしな。
「全部好きだ」
嫌いなとこなんて何一つない。
熟れた林檎のように顔を真っ赤にさせたまどかをムギュリと抱き締めるといつもと違った暖かみを感じた。
まるで人間のような暖かみだ。
「まどかが好きだ。全部、可愛いよ」
細かいことは気にしない。
今までは何かと理由を付けて我慢してきたが、まどかが俺達とさほど変わらない大きさになり、狂おしいまでに俺を愛してくれているのだ。
小さな問題なんて一瞬で吹き飛ぶ。
たかが、人間と神様だ。
話して触れて好きあえれば種族の問題なんてないに等しい。
「髪の先から足の爪先も全部、俺のものだ」
愛しくて仕方がない。
「ゆ、優」
普通ならドン引きされる自信がある。いくら顔が良くても受け入れられないことなんていっぱいだろう。
「なら、優の髪の先から足の爪先、まどかのものだよね?」
無垢なのだ。
俺しか知らない。いや、テレビで色々と見ているから知らないこともないかも知れないが、俺だけだ。依り代にいようが触れて話すのも俺だけなのだからまどかは俺だけのもの。
はにかむまどかが可愛すぎる。
「まどかのものだ。ずっとまどかだけのものだ」
身も心も魂も、まどかに骨抜きなんだ。
「俺を捨てたりしないでくれよ」
そうなったら本当に生きていけない気がするし、そのまま引きずってストーカーにでもなりそうだ。
俺の言葉を聞いてにじり寄ってきたまどかはにっこりと微笑んだ。
邪心な心がそれで洗い流せたらいいんだが、やっぱり増長させる効果しかない。
「まどかも優を愛してるから、ずっとずっとずーっと一緒だね」
まどかが人として生きてくれるなら素晴らしい未来がやってくるだろう。だが、現実は神様で永遠は無理だ。
俺は年老い、まどかは永遠に美しくこのままである。生きる次元が違う。
「ああ、そうだな」
嘘を真実に出来ることは出来ないのだろうか。近いうちに黒魔術の本を読み漁ろう。
とりあえず俺の膝の上にまどかを乗せようと俺は腕を伸ばして引き寄せる。
決して諦められない愛で恋なのだから。