【完結記念・番外編】ハクザンの月、敦賀(つるが)の風
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読者の皆様の熱い応援があったからこそ、この物語を完結させることができました。本当にありがとうございます。
感謝の気持ちを込めて、ルーニーがその胸に秘めた「前世の想い」を綴る、完結記念の番外編をお届けします。
王都の喧騒が静まり返った、深夜。
新しき「ハクザン国」の王となったルーニーは、一人、城の最上階にあるテラスに立っていた。
見上げる夜空には、あの頃と同じ、冴え渡るような月が浮かんでいる。
(……敦賀で見た月も、これほどまでに静かだったか)
ふと、意識が遠い過去へと引き戻される。
大谷吉継として生きた前世。病に侵されたこの身を包んでいた、あの重い甲冑の感触。そして、関ヶ原の霧の中で聞いた、咆哮と鉄砲の音。
「……三成。お前は今、どこで何を見ている」
口をついて出たのは、異世界の言葉ではなく、懐かしい故郷の響き――日本語だった。
不器用で、真っ直ぐすぎて、結局は「義」のために全てを失ったあの男。だが、ルーニーは今、確信している。三成が夢見た「誰もが等しく笑える世」は、この異世界の地で、確かに芽吹こうとしている。
「パパ……? こんなところで、何をしているの?」
背後から、小さな声。
振り返れば、寝巻姿のアイリスが、心配そうにこちらを見つめていた。その奥では、エヴァとテイラーも、主の不在に気づいて起きてきたのか、戸口に影を落としている。
「……いや、少しばかり、昔の友人を思い出していただけだ。……心配をかけたな」
ルーニーは微笑み、家族の方へと歩み寄った。
かつて関ヶ原で失った「明日」を、彼は今、この手にしっかりと握りしめている。
もう、あの時のように孤独に散ることはない。
(さらばだ、吉継。……俺は今、この『ハクザン』で、新しい義を生きているぞ)
夜光に照らされたルーニーの背中には、もうかつての病の影はない。
夜風が、ハクザンの白銀の旗を優しく揺らす。
その風は、どこか遠い敦賀の潮風の香りがしたような気がした。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
おかげさまで、累計1万PVまであと一歩のところまで来ています。
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皆様と共に歩んだ160話、一生の宝物です。
本当に、ありがとうございました!




