第十一話 「祝いの青薔薇」
グランド・クリエイターズ六箱買って、全部の箱から『アラメシアの儀』が出ました。
何でこんなに偏るんだ、なろうで小説書いてるからか?
―――――再び時を少し遡る。
視点は再びリューセンとファランクスの元に戻り、それはマカロンに砲丸爆弾がクリーンヒットする直前の出来事だった。
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「よし! フレンド登録も済んだところで、景気付けに爆弾の一つでも投げようかファラン君!!」
「おう! ってなる訳無いだろリューセン!?」
一貫して爆弾を投げる事を止めようとしないリューセンにノリツッコミをするファランクス。
リューセンは外していた白布を被りつつ、右手で砲丸爆弾を弄びながらひらひらと左手をファランクスに向けて振った。
「まぁまぁ見てなって、私が本物のジャイロボールって物を見せてあげるから。ゲームだけど!」
「見せんでいい! ってか危ないだろ誰かに当たったら!」
「大丈夫大丈夫。屋根の上の鐘楼目掛けて投げるから、誰かに当たる事なんてまず無いよ」(フラグ)
ファランクスの説得も空しく、ノリノリで手にした砲丸爆弾を振り被るリューセン。
やたらフォームが綺麗な事にファランクスは若干の苛立ちを感じた。
「行くぞ! ドラ●ーーーッス!!」
「そこはMAJ●Rじゃないんだ!?」
ジャイロボールと言うから例の漫画を思い浮かべていたが、全く別のタイトルが掛け声だった為思わず突っ込むファランクス。
そうこうしている内にもリューセンの投げた砲丸爆弾は大気を巻き込む様に高速で横回転しながら、真っ直ぐ大聖堂を構成する内で最も高い建物である鐘楼へと突き進み……。
「「あ」」
丁度先程までは屋根の位置関係で見えなかった、中途半端な姿勢で立ち上がった地味顔の青年マカロンの側頭部へと直撃した。
『ゴバァッ!?』
ドゴォーーーンッ!!
青年の苦悶の声の後に響く爆発音。
速過ぎるフラグの回収に流石のリューセンも投球後の姿勢で固まり、そんなリューセンに「マジでやらかしたぞこの人!?」的な表情を向けるファランクス。
数秒の間を置き、聞こえて来た叫びやらで屋根の上に他にも人が居る事やそのメンツが自分の知るプレイヤーである事を悟ったリューセンは姿勢を戻しファランクスに振り返った。
「……しまったな、ジャイロボールでは無くwボールにするべきだったか」
「そう言う問題!? ってか投げれんの!?」
「魔法でボールの軌道を操れば簡単だよ。それよりすまんファラン君、どうやら知り合いに当ててしまったらしい」
「相手知り合いだったのかよ! 奇跡的な確率だな……だから止めようって言ったじゃないか」
「いやぁ、仮に当たっても教会の連中なら別に良いかなって。ちょっと謝って来るけど、遅くなりそうだったらフレンドチャットで連絡するよ」
「判った。ちゃんと謝って来いよ?」
「任せろ。社会人の本気の土下座って奴を見せてやりますよ」
「土下座は逆に迷惑になりそうだから止めとけ」
「了っ解」
パチンッ、と手袋に包まれた指を鳴らすとその場から一瞬で消えるリューセン。
驚きファランクスが大聖堂の屋根へと目を向けると、そこには目立つ白い法衣の大男が出現していた。
「うぉすっげ……今のって魔法か? ベテランプレイヤーともなると瞬間移動も出来る様になるんだなぁ」
感心しつつ一応しばらく様子を見るかとその場に留まるファランクス。
だがこの時彼はまだ知らなかった。
リューセンが今しがた見せたそれが、トップ層に位置するプレイヤーの中でも極僅かな者しか出来ない超高等技術である事を。
彼がそれを知るのは、まだしばらく先の事だった。
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「やぁ、失礼するよみんな」
「「「!?」」」
突如何も無い虚空から出現したリューセン。
いきなりの事に全員が驚くが、現れたのが自分たちの良く知るプレイヤーだと気付き力を抜いた。
……約一名は相手を認識するのと同時にガトリング砲を向けていたが。
「あ、リュー先せ「死ねェーーーーーィッ」ちょ、ファニおじ!?」
ドガガガガガガガガガガ――――――――ッッッ!!!!!
「おっと危ない」
ファニーの持つガトリング砲による一斉掃射を、特に危なげも無く被っていた白布を使って防ぐリューセン。
手に持って振るわれた白布はまるで意思を持つ、あるいは持ち主の意のままに形を変化させるかのように盾となり、絶え間なく飛来する弾丸の全てを受け止め一切通す事は無かった。
およそ十秒ほどの掃射の後に残ったのは、ジャラジャラと大聖堂の屋根を転がり落ちる大量の弾丸と、綻びどころか汚れ一つ無い白布を構える無傷のリューセンだった。
「ふぅ、まぁ撃たれるだけの事をやらかした自覚はあるが、少し待ってくれないかファニー君? 直接の被害者であるマカロン君の意思を確認してからでも遅くは無いだろう?」
「黙れェ!! リュー先生、貴方には確かにスクロールの件も含めて色々世話にはなった。だが! それとこれとは話が別だァ!! 我が唯一無二の大親友を手に掛けたその罪、命を持って贖えェェェ!!!」
「いや、死んでないよ?」
ほら、と言いつつ白布を振るうリューセン。
振るわれた白布は襷ほどの細さになりながらグングン伸び、その先がマカロンの落ちた大聖堂の屋根の大穴へと突き進む。
数秒後、釣り糸に魚がかかったかのように白布がピンッと張り詰めると、リューセンはそれを勢い良く引っ張った。
そうして釣り上げられたのは、全身煤塗れの様になりつつ髪の毛がチリチリのアフロヘア―となったマカロンだった。
「どうわっぷ! ぐぇ、あー酷い目に遭った……「マカローーーンッ!!!」むぎゅぉ!?」
煤塗れとは言え健在なマカロンの姿を見て、ファニーが感極まった表情でマカロンに抱き着く。
身長百七十ちょっと黒焦げ地味顔男性に、魔性の美貌を持つ身長百九十近いイケメン男性がぐしゃぐしゃの泣き顔で抱き着くという絵面がそこにはあった。
「なんちゅう絵面だメー……」
「おやスト、そう言えば君も来てたんだったね。久しぶり」
「おう、久しぶりだメー」
足元に寄って来たスト天に対して親し気に挨拶を交わすリューセン。
二人はマカロンとファニーの様にリアルで幼馴染と言う間では無かったが、高校時代からの友人同士である為仲が良かった。
「リュー先生、こんにちはー! ダンジョーちゃんだよー!!」
「はい、こんにちは。今日も元気で素敵な笑顔だね、ダンジョーちゃん」
「えへへ、褒められたー!」
続けてリューセンに溌剌とした挨拶をするダンジョー。
元々ダンジョーに取ってリューセンは同じクランに所属する先輩であり、先生と呼ぶほど懐いているのだが、現在のリューセンは珍しく普段は白布で隠している素顔を晒している為、五割増しでダンジョーの機嫌が良くなってた。
また、ダンジョーが表示しているコメント欄もリューセンの登場で盛り上がりを見せていた。
:リュー先生こんにちはー!
:相変らず背たっか!
:デカァァァァァいッ説明不要!!
:ダンジョーちゃんとの身長差エグくて笑うw
:ファニおじもデカいんだけど、リュー先生は更にデカいからなぁ
:ファニおじ(188cm) リュー先生(195cm) ゲス栗(177cm)
:なんでファニおじとゲス栗でリュー先生を挟んだ、言え!
:ゲス栗も十分身長高い方なんだけどなぁ
:身長差18cmもあるから並べるとゲス栗が小さく見える不思議
リューセンの登場に盛り上がりを見せるコメント欄。
リューセン自身は動画配信者と言う訳では無いが、ファニーと同じく動画への出演機会が多い為ある種名物キャラのような扱いとなっており人気があるのだ。
ちなみに、コメント欄ではリューセンの身長が195cmであると認識されていたが、実は最近また背が伸びたので実際の身長は196cmである。
スト天とダンジョーへの挨拶を済ませたリューセンは、アイテムボックスからある物を取り出した。
「そうだダンジョーちゃん。ちょっとアクシデントがあったけど、今日本当はダンジョーちゃんをお祝いしに来たんだよ。遅くなったけど、チャンネル登録者十万人突破おめでとう、これからもずっと応援しているよ」
そう言ってリューセンは青い薔薇の花束をダンジョーへと手渡した。
リューセンが片手で持てる程度の大きさのそれは、リューセンと比べて圧倒的に小さい少女であるダンジョーにとっては両手で抱えるほどの大きさだった。
「わ、綺麗。ありがとうリュー先生! すっごく嬉しい!!」
「……これ、どうしたんだメー? 園芸系ジョブのプレイヤーが作った青薔薇は何種類か見た事あるけど、こんな色合いのを見るのは初めてだメー」
「え、そうなのストさん?」
受け取った花束に純粋に喜ぶダンジョーに対し、スト天は生産職としての知識から目の前の青薔薇が市販に出回っている物では無い事に気付いた。
スト天の指摘を聞きキョトンとした顔をするダンジョーが抱える青薔薇は、スト天が知るどの青薔薇とも違う『紫みを帯びた濃い青色』をしており、金粉にも見える黄色い花粉が花弁に散らばる事でまるで『夜空に浮かぶ星々』の様も見えた。
その特徴に、スト天は心当たりがあった。
「……これ、もしかしてラピスラズリを意識してるのかメー?」
「お、正解。いやぁ、折角のお祝いの品だから凝ったものを用意したくてね。闇魔法で品種改良したんだけど、この瑠璃色を出すのに苦労したよ」
スト天の質問に正解と返したリューセンは、ダンジョーと視線を合わせるようにその場に片膝をつき、花束の青薔薇を指さしながら説明した。
「青薔薇の花言葉は『夢が叶う』、ラピスラズリの宝石言葉は『幸運』や『成功の保証』だ。この『瑠璃薔薇』はそう言った意味を込めて作ったんだよ」
そう言って柔らかく微笑むリューセン。
ファニーほど極端では無いが、それでも十二分にイケメンと呼んで差し支えないそれを至近距離から見せられたダンジョーは、頬を赤らめ顔を持っている青薔薇の花束へと埋めた。
「え! あ、そう……うわっ、ヤバイ。嬉しさと気恥ずかしさで顔あっつい。ってかリュー先生の笑顔が近い! ヤバイ、マジでヤバい! ファニおじもそうだけどリュー先生の顔も好み過ぎる! 推しのイケメンのニコポマジヤバい! マジで無理シンドイ! あぁ、しゅきぃ……」
:てぇてぇ
:てぇてぇ
:本日のてぇてぇポイント!
:おお、ダンジョーちゃんが限界化しておられるぞw
:ダンジョーちゃんがイケメン相手に限界化するのはいつもの事だろw
:滅多に素顔を見せないイケメンの優しい笑顔とかダンジョーちゃんじゃなくても限界化不可避なんだが?
:顔だけならファニおじの方がイケメンだけど、行動と言動のイケメン度はリュー先生の圧勝だよね
:それよりもあの奇跡的な色合いの青薔薇について語りたい生産職ワイ
盛り上がるコメント欄と可愛いでは無くだらしない感じの笑顔で「うぇへへ」とか言っているダンジョー。
苦労して用意したプレゼントが喜んで貰えたことに満足げに頷いたリュー先生。
この状態のダンジョーはしばらくそっとしておいた方が良いと判断したリューセンは、スッと立ち上がるとスト天に声を掛けた。
「スト、ダンジョーちゃんへの用も取り敢えず済んだし、私はそろそろマカロン君に謝って来るよ」
「大丈夫か? 栗の奴は兎も角、ファニおじはお前が行ったらまた荒れるんじゃ……」
「なに、その辺は考えてあるさ。任せとけって」
「不安だメー」
自信たっぷりにヒラヒラと手を振りながらファニーとマカロンの下へと近付くリューセン。
その姿を見ながら、どうせ碌な事にはならないだろうとスト天は長年の付き合いから予想していた。
ちなみに、作中世界でのVRアバターはリアルの体格と同じ位にするのが主流。(リアルの体格と違いが大きいと、感覚のずれで上手く動けない場合が多い為)
スト天やダンジョーちゃんはリアルとの体格差に完全適合出来る珍しいタイプ。




