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気球だった (詩集<独白>より)
ししむらは 気球だ ったのだろう
命を背負い 心を降ろす ための 羽を
まるめて 重ねて 明日へ 流れて
夕暮れは 沈むので 美しい 焔の骸
昼の群青 夜、暮色を 灯す だから
輝く あの 茜染めが 繋がって
針は進み 愛は救い 天は映え
世界は怪我をした まま 叶うなら
人類平等 世界平和 アルカディア
哲学者が叫ぶ 黄ばんだ牙が 見える
嗤ったのは 猿だったのか? はたして
抱きしめるには 尊すぎて 幼すぎて 我ら
綺麗だと思う 美麗には 届かないけれど
完全な円より ちょっと歪んだ楕円が 良い
だから 仕方ない この世界 好きになるのは
ししむらは 気球だ ったのだろう
命を背負い 心を降ろす ための 体で
傷付いて それでも 世界を 飛んで




