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死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?  作者: わんた


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かわいい……

「――……戦争………………回避不可…………」


「彼が…………勝…………」


「…………驚異…………大国への………………」


「……………………間に合う…………………………」


 話し声が聞こえたので重い瞼をもち上げる。真っ暗だ。どうやら目に布を巻かれているみたいで外は見られないようになっているみたい。


 手を後ろに回して縛られていて足首は拘束されている。


 控えめに考えても拉致監禁されたというのがわかった。


 バングルは外されていて使えない。


 モゾモゾと動いて抜け出そうとするけど、固く結ばれているので失敗に終わった。


「おはよう。気分はどうだ?」


「その声はヘンリエッタさん?」


「そうだ。姿を見なくても私の名前を当ててくれるなんて嬉しいよ」


 温かい手が頬に触れた。


 優しく撫でられている。


 指が唇に触れた。


「かわいいね。理性が崩壊しそうだよ」


 見えなくても何をしようとしているのかわかる。キスするつもりだ。


 彼女の顔が近づく気配を感じる。


「そこまで!」


「いだっ!」


 叩かれたのかな? 気配は遠ざかった気がする。


「イザベル王女もいるんですか。僕を解放してくれませんか」


 本能に振り回されているヘンリエッタさんじゃ説得は無理だと諦めていたけど、王族として理性的に行動できるよう鍛えられた人がいるなら別だ。


 話は通じる。


 僕たちはわかりあえるのだ。


「残念ながらそれはできない」


「どうしてですか!?」


 まさかの拒否だ。男のお願いであれば叶えてくれるんじゃなかったの?


 予想外の返事に驚いてしまった。


「今、イオディプス君に逃げられたらナイテア王国と全面戦争になってしまう。ヘンリエッタが暴走したせいで迷惑をかけていることは重々承知しているが、我が国の命運が関わっているのでもう少し待って欲しい」


 スキルランクD程度の男とは違って僕はSSランクだ。自分でいうはちょっと恥ずかしいけど、戦争をしてでも取り返さなければいけないほどの価値がある。


 慎重に行動したい気持ちは分かった。


 何度も女性に捕まって襲われそうになったので、拉致されたことに対して怒りは感じてない。イザベル王女の気持ちをくんであげてもいいか。


「わかりました。手と足はこのままで大丈夫です。目隠しだけ外してもらえませんか?」


「……いいだろう」


 イザベル王女が僕の前でしゃがんだようで、頭の後ろに手が回って布を外してくれた。


 視界が確保された。


 目の前にイザベル王女のかっこいい顔がある。ちょっと近づけば唇が触れてしまうだろう。


「どうしました?」


 動かない。じーっと見られている。


「かわいい……」


 抱きしめられてしまった。拘束されているので抜け出せない。


 お尻に手が伸びてむにゅむにゅと揉まれている。


「柔らかい。ずっと触ってたいぞ。ああ、もうダメ。我慢できないっ! 限界だっ!!」


「イザベル王女! 正気になってください!」


「君が魅力的な体をしているのがいけないんだ。私に責任はない」


 上着をめくられてしまった。腹筋を撫でられてしまう。


 ルアンナさんを見ると鼻血を出しながら見ているだけ。助けるつもりはないようだ。


 このままじゃ、イザベル王女に食べられてしまうっ!


 体をくねらせて暴れる。


 男を傷つけたくないという本能が働いたのか、イザベル王女が離れてくれた。


 芋虫のように動いて距離を稼ごうとする。


「こらこら。そんなことをしても、お姉さんからは逃げられないぞ」


 イザベル王女が濁った瞳で僕を見ながら、ゆっくりと歩いてくる。


「国の命運の話はどうなったんですか!?」


「知らん。後で考える」


 ダメだ。理性が吹き飛んでいる。


 逃げ出さなきゃと思って周囲を見た。


 フカフカの赤い絨毯が敷かれていて豪華な天蓋付きベッドや大きな鏡、化粧台がある。王女の部屋って感じだ。


 当然のようにドアやバルコニーに出られる窓は閉まっていて、今の僕じゃあけられそうにない。


 部屋をぐるぐると回って逃げるしかなさそうだ。


「つーかまえた」


 いつのまにか近くに来ていたヘンリエッタさんに体を持ち上げられてしまった。


「イザベル王女なんかよりも私の方がいいよね」


「ほぅ。この私に逆らうつもりか?」


 ピシッと空気が張り詰めた。


 二人が僕を奪い合おうとしている。


「どっちがイオディプス君に相応しいか勝負だっ!」


 ヘンリエッタさんが叫ぶと、僕はベッドの方に投げ捨てられる。


 取っ組み合いのケンカを始めた。立場なんて関係ないみたいで服を引っ張り合っている。ビリビリと破けて下着が見えるけど気にした様子はない。


 今のうちに距離を取ろうとして後ろを見る。ナイトテーブルに果物ナイフが置いてあった。


 チャンスだ。


 バレないように移動して口でナイフをくわえる。二人には背中を見せて、足につけられた紐を切った。


「暗殺スキルを使って確保したのは私だ! 最初に楽しむ権利があるはずだ!」


「王族に逆らうのであれば処刑するぞ!」


「やれるものならやってみろ! イオディプス君と一緒に亡命してやる!」


 ケンカは終わる気配がない。腕を前に持ってくると手首につけられた紐も切断できた。


 これで自由だ。あとは気づかれる前に部屋を出ればミッションコンプリートだぞ!


 振り返って二人がどうなっているか確認する。


「…………」


 服が破けて下着姿の二人と目が合ってしまった。


 最悪だ、拘束を解いたとバレてしまったようだ。


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