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死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?  作者: わんた


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せっかくだから楽しむとするか

 ダイチの襲撃事件から一週間が経過した。


 彼らは逃走してしまい、男性特区は閉鎖が続いている。ケガが完治したテレシアさんは外国の騎士ヘンリエッタさんと共同で捜索を続けているみたいだけど、発見には至ってないみたい。


 町は厳重な警戒態勢を続けていて、隠れて外に出るなんて不可能な状況だ。


 まだどこかに潜んでいるはず。


 そんな感じだから僕は家に帰ることはできずスカーテ王女の屋敷に滞在を続けている。もちろん、大いに怒られてから解放されたレベッタさんや他の仲間も一緒だ。ちょっとだけ退屈で窮屈だけど平和の日々を送れているので文句はない。


 今日は捜査から帰ってきたヘンリエッタさんの上司……というか国の王女が希望して、スカーテ王女と三人で晩ご飯を食べることになった。


 大きい食堂に入ると端っこにスカーテ王女が座っている。


 手招きされているので彼女の右斜め前の席に移動。正面にはイザベル王女がいた。


「すみません。遅れちゃいましたか?」


「気にするな。男性を待つと言うのも悪くはない。二人で妄想しながら楽しく過ごしていたさ」


 何を話し合っていたのか気になったけど、聞いたら怖いのでスルーしておこう。


 王女たちの後ろに護衛として立っているルアンナさんとヘンリエッタさんに軽く手を振って挨拶すると椅子に座った。


「ほう。女に優しい男性が本当にいるのか。話には聞いていたが、この目で見るまでは信じてなかったぞ」


 緑色の髪を肩まで伸ばした女性、イザベル王女が品定めするような目で見ていた。体格はいいし、つり目だからちょっと怖い。


 少し気圧されてしまった。


 蛇に睨まれた蛙みたいな感じだ。


「我が国の宝だから手を出すなよ」


 即座にスカーテ王女が釘を刺してくれた。


 絶対に渡さないという意思を感じる。


「わかっているよ。善処しよう。だから彼のことを詳しく教えてくれないか?」


 視線が僕からスカーテ王女に移った。


 これが今回の目的だったのか。


 ヘンリエッタさんの前でスキルブースターを使ったから、報告がいったんだろうな。


「せっかちな女は男性に嫌われるぞ。まずは食事を楽しもうじゃないか」


 涼しい顔をして受け流したスカーテ王女は手をパンと叩く。


 ドアが開いて侍女が銀のカートを押して食事を持ってきた。


 目の前に前菜が置かれ、グラスにワインを注がれる。


 お酒が飲める年齢じゃない。断ろうとしたけど、この世界は子供でもワインぐらいはたしなむことを思いだした。ドワーフなんてミルクの代わりに酒を飲むと言われているぐらいだ。


 この体だって人間に見えるだけで、地球の人たちと全く同じではないはず。


 酒を飲んでも大丈夫な体になっているのだろう。


「せっかくだから楽しむとするか」


 イザベル王女がワイングラスを手に持って香りを楽しんでいる。表情からして悪くはなさそうだ。


 口に含んで味を確認してから飲み込んだ。


「美味い。これほどの上物はテルルエ王国でも滅多にお目にかかれん」


「今日はイオディプス君との食事会だ。特上品を用意させてもらった」


「気合いを入れているな。いいところでも見せようとしたのか?」


「最高の男性がいるんだから当然だろ。イザベル王女だって今日はやけに着飾っているじゃないか。私と同じじゃないか」


 なんだかちょっとだけトゲを感じるやりとりだ。


 同盟国と聞いているけど仲は悪いのだろうか。


 疑問に思っているとルアンナさんが僕の後ろに回って、口を耳に近づけてきた。


「お二人は立場や年齢が同じなのでライバル視しているんですよ」


 息が耳にかかって心臓の鼓動が早くなってしまう。


 教えてくれるのは嬉しいんだけど、興奮して内容が頭に入りにくい。


「よくわかりました。ありがとうございます」


「どういたしまいて」


 笑顔のまま顔が離れるついでに、少しだけ背中を触られてしまった。


 一瞬だったけど間違いない。近くに来たからついでに触れたかったのだろうか。


 イザベル王女の後ろに立つヘンリエッタさんが、悔しそうな顔をしているのが印象的だった。


 まだ二人は言い合っているのでワイングラスを持って香りを確認してみる。


 うん。よくわからない!


 初めて飲むんだから当然だよね。


 かっこつけるのは諦めて口に含むと、苦みと甘みを同時に感じた。


 これ美味しいの……?


 よくわからない。


 飲み込んでみると胃の中が少し熱くなった。


 まだ酔った感覚はない。


 空になったワイングラスを置くと侍女が注いでくれたので、もう一回飲んでみた。


 うん。味はさっきと同じだ。酒を楽しむのは諦めよう。


 フォークを手に持ってキャベツみたいなサラダを食べながら、王女はどうなったか確認してみる。


 じーっと見られていた。


「えーっと、食べないんですか?」


「もう食べ終わった」


 スカーテ王女の言葉は本当のようで、二人の皿は空になっていた。


 ワインを飲んでいる間に食べちゃったの? 早くない?


「私たちのことは気にせず食べてくれないかな」


 なんか急に息が合ったように感じる。まぁピリピリしているよりかはいいか。


 サラダを口に入れる。ドレッシングの味が濃いので喉が渇きやすい。食べ終わるまでにワインを四回ほどお代わりしてしまった。


 なんだか楽しくなってきたなーーーーッ!

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