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死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?  作者: わんた


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テレシア:あれは男だ。間違いない

 衛兵所に戻る途中、先ほどの尋問を思い出していた。


 手を握ったときの違和感が気になってしまい、姿を見かけたときには衝動的に声をかけてしまった。


 かたくなに無言を貫く態度から、まさかという思いが高まり、最後の質問で喉に突起があることで確信を得る。


「あれは男だ。間違いない」


 無意識のうちにペロリと自分の唇を舐めてしまう。


 しかも年下の男だ。私の好物である。背が低めなのもポイントが高い。誘拐しやすいからな。


 布の下に隠された顔を見てみたい。可愛ければ先に男を手に入れた友人に自慢できるぞ。ああ、早く手に入れたい!


「私に黙ってるなんて酷いじゃないか」


 あいつらが酒場で暴れたとき、何度も取り押さえた仲だというのに。


「仲間に入れてもらわないとな」


 どんな方法を使って男を手に入れたなんてどうでも良い。違法な手段であっても問題はない。私にも分けてくれるのであればな。断るなら一生牢獄に入れてやる。


 あの子の素顔を妄想しながら衛兵所に入ると、階段を降りて地下に行く。


 牢屋を警備している部下がいたので声をかけた。


「しばらく持ち場を離れろ」

「隊長?」

「素直に従え。斬るぞ」

「は、はいっ!!」


 部下は敬礼すると、逃げるようにして階段を上っていった。


 もしかしたら不信に思われたか? いかんな。男が関わっているからか焦っているようだな。


 深呼吸をして気持ちを落ち着けてから細い通路を歩く。レベッタたちをぶち込んた牢屋の前に立った。


 二人とも床に座りながら私を睨みつけている。


「元気そうだな」


 嗤ってみせると、レベッタが立ち上がろうとしたので剣を抜いた。


「大人しくしろ。騒げば殺す」


 殺気を放ったこともあって二人とも大人しくなった。私のスキルはAランクの剣術。全力を出せば鉄格子だって簡単に斬れる。そのことをよーく知っているから、命令には従うだろう。


「お前たち、私に隠していることがあるだろ?」


 ヘイリーは反応しなかったが、レベッタはびくりと肩がうごいた。わかりやすい女だ。


「そうだな。言わなければ、お前たちが守っていた顔を隠していた子を捕まえ――」

「やめてっ!」

「それだけは許さない」


 普段は物静かなヘイリーですら殺気立っている。それほどあの男を大事にしているのだろう。


 いい男の可能性が高まってきた。絶対に可愛い顔をしている! 妄想が膨らみ少しでも気を抜けば、だらしない顔をしてしまいそうだ。


 ますます手に入れたくなった。


「お前たちが、そこまでして庇おうとする人だ。特別な存在なんだろ? 正体を教えろ」

「なんでそこまで執着する?」


 レベッタの口を手で押さえたヘイリーが聞いてきた。


 あの顔からして私が真実を知ったと察していそうだ。


「あの子、男だろ?」

「そんなわけないでしょ。テレシアの勘違い」

「隠しても無駄だ。確認は終わっている」

「……」


 とどめの一言を伝えると、ヘイリーから力が抜けて黙ってしまった。この勝負、私の勝ちだな。


「何を求めている?」

「取引だ」


 男を独り占めしたいなんて思わない。他の女と子供を作っても気にしないし、側にいて欲しいとも思わない。男は私を彩るアクセサリーでしかないのだ。男持ちの女というステータスさえあれば、他はどうでもよい。


「お前たちが男を手に入れたという事実を黙っておいてやる。その代わり私を紹介しろ」


 いくら私が騎士という称号を持っていても、男を無理やり従わせるような権力はない。この国の女王だってスキルランク次第では無理だろう。


「他に私たちのメリットは?」

「今すぐ釈放してやる」

「取引成立」


 ヘイリーが交渉を終わらせた途端、レベッタは口を押さえつけていた手をはね除け立ち上がった。


「私は認めない! テレシアは関係ないじゃないっっ!」

「だったら、お前だけずっと牢屋に入っておくか?」

「ぐっ」


 ようやくレベッタも私の取引に乗るしかないと理解したみたいだな。


「横暴だ! 権力の不当利用だ! 訴えてやる!」


 知っている難しい言葉を並べて叫んでいるだけで、本人は意味を分かってないだろう。付き合う必要はない。


「市民を暴行したのは事実なんだ。普通なら一週間の強制労働コースだぞ。レベッタは、そんな処罰がお望みか?」

「やだーっ! 私はイオディプス君とずっと一緒にいるっっ!」


 ほう。良い名前だ。覚えておこう。


「だったら取引に応じろ」

「…………わかった。でも一番は私だから」

「好きにしろ。私は順位には興味ない」


 ようやくバカの説得も終わったので、鍵を取り出して牢屋を開ける。


「装備は保管庫だ。イオディプス君は近くのベンチで待っている。すぐに行ってやれ」


 私の言ったことを聞いてなさそうなレベッタは、すぐに走り去ってしまった。あの元気なところだけは私より優れている。マネしたいとは思わないが。


 ゆっくりと歩くヘイリーに声をかける。


「今晩、お前たちの家に行くからな」

「わかった。歓迎する」


 言葉とは違って拒否するような声だった。


 強引に割って入ったんだから、そのぐらいは当然の反応だろう。女と仲良くなりたいとは思わないのでどうでもいい。


 イオディプス君。私は君の評価だけが気になっているのだから。

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