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死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?  作者: わんた


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我に屈服するがいい

 圧倒的な力を持っているからか、グロリアーナ女王は慢心している。僕の股間を押しつけるだけで、手足は自由にさせているからだ。


 足を上げてグロリアーナ女王の体に巻き付けると、起き上がる勢いを使って倒した。


 快楽に酔っていたからか、抵抗なんてされない。完全に隙を突いたのだ。


 逃げられる前に、僕は腰を胸の上あたりに落として座り込みつつ、足で腕を押さえつける。馬乗りになって、グロリアーナ女王を見下ろす形になった。


 格闘家であれば顔を殴ってダメージを与える所なんだけど、僕は女性を傷つけたくはない。手を出さず、口で勝負する。


「男に屈服させられる気分はどうですか?」

「……悪くはないな」


 屈辱的に思うのではなく、むしろ喜んでいる。

 この人はSでありMでもあるのか。


 精神的に余裕がありそうで、すぐに降参はしないだろう。


「先ほどの技術は素晴らしかった。自らの力で身につけたのか?」

「ナイテア王国の女性達に教わりました」

「我の方針とは異なるが、よい国だな」


 考え方が違っても認めるなんて、人としてすごい。男の扱いはどうかと思うけど、他の部分は尊敬できる。


 ナイテア王国の人を賞賛してくれたのだから、今後は見下すような言動を減らしてくれるだろう。


 対等とまではいかないけど、格下扱いはしないはず。


 模擬戦に参加した目的は達成できた。


「だが、我は負けを認めたわけではない。ここから逆転させてもらうぞ」


 グロリアーナ女王の足が僕の首を挟んだ。プライドの高い彼女らしく、似たような方法を使ってやり返したのだろう。すごい柔軟性だ。


 気道が締められて苦しい。木剣を捨てて両手を使いほどこうとするけど、完全に力負けして抜け出せなかった。


 投げられてしまって、地面をゴロゴロと転がってしまう。


 追撃はなかった。立ち上がると腕を組んで僕を見ている。


「力の差はわかっただろ? 我に屈服するがいい」


 言葉とは反対に、まだ楽しみたいと思っているような目だ。


 簡単になびくような男はいらない。そうなんでしょ? 付き合いは短いけど、濃い時間は過ごしてきたんだからわかるよ。全力で戦って勝ってほしいと。


 大国の女王らしく要求難易度が高い。


「まだ、戦えます」


 木剣を拾う余裕はくれないだろう。グロリアーナ女王は武器を持っているので、殴りかかっても拳は届かない。


 攻めよりも守り。カウンターを狙った方が良さそうだ。


「いいぞ! 我が認めた男だけあるっ!」


 挑発するまでもなく、喜びながらその場で木剣を振るってきた。


 不可視の攻撃スキルだ!


 勘で跳躍すると避けられたみたいで、背後から衝撃音が聞こえた。


 観客席の心配をしている余裕はない。グロリアーナ女王が次々と剣を振るってくるので、円を描くように走りながら回避するので精一杯だ。


 止まったら攻撃をくらってしまう。


 体力に余裕があるのは、短いながらも冒険者として活動していたからだろうか。未熟な僕を鍛えてくれてありがとう! 今、すごく実感しているよ。


「あはははっ! まだ避けるか! 面白い!!」


 テンションの高い笑い方だ。


 楽しそうでいいな。僕は走りすぎて苦しくなってきたよ。スキルの発動には体力を使うので、そろそろ打ち止めになってもいいんだけど、止まる気配がない。


「だが逃げてばかりでは我に勝てないぞ! イオディプスよ、どうする!?」


 言われなくても分かっている!


 スキルを何度も見てきたので、剣を振るってから衝撃がくるまでの時間はわかった。今度は僕が攻める番だ。


 (かかと)を使って急ブレーキをかける。地面を削りながら止まり、方向転換をしてグロリアーナ女王に向かって走った。


 不可視の斬撃を跳躍して回避し、距離を詰める。


 歯をむき出しにして笑っているグロリアーナ女王の顔がハッキリと分かるようになった。


 美しい顔は殴れない。懐に入り込んで、腕を掴もうとしたら強い衝撃を受けてしまい、吹き飛ばされてしまう。痛みによって思考が停止して、頭が真っ白になる。


 僕は何をされたんだ!?


「がはっ、ごほっ、ごほっ」


 内臓を痛めてしまったみたいで、少量だけど血を吐き出してしまう。口の中が鉄臭い。転生して初めての大けがに心が折れそうになってしまったけど、気合を振り絞って耐える。


 フラつきながらも立つ。


 グロリアーナ女王が目の前にいた。


 片手で首を掴まれると体が持ち上がる。


 足をばたつかせても逃げられない。


「罠にはまったな。我のスキルは予備動作なんて必要ないのだ」


 出会ったとき、ルアンナさんが吹き飛んだのを思い出した。


 そういえば剣を振るうような動作はなかった。対等に戦えると思っていたのに、僕はグロリアーナ女王の手のひらで転がされていたんだな。


 男相手なら対等以上に戦えたのに悔しいな。


 実力不足。経験の差。それが今回の模擬戦で出てしまったのだろう。


「ああ、股が濡れて下着がぐっしょりだ。妊娠してないのに母乳が出そうだぞ。早く、お前の子供を作りたい。順番を飛ばしてしまおうか。この場で服を破り捨て、陵辱プレイも悪くないっ」


 大勢の配下がいるのに何を言っているの!?


 痴女レベルが高すぎる。


 本能が暴走しかけているのであれば、僕の貞操が危ない。


 どんな手を使ってでも逃げようと思っていると、観客席の方が騒がしくなった。今までとは質が違う。殺気立っている。


 首が動かせないので目だけを動かして視線を向けると、王城にいるはずのユーリテスさんがいた。


 待ち構えるんじゃなく、乗り込んできたみたいだ。


 予想外の動きにグロリアーナ女王すら驚いていた。

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