表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

151/189

アグラエルさん?

 オークの群れを倒した後、帰ることも検討したけど探索を続けることになった。


 決め手は「もう一回、キスするチャンスがあるかも」と、ヘイリーさんがボソッと言ったことにある。普段の生活で皆と会うことは多いけど、濃厚接触する機会はほとんどない。


 監視の目がない、何でもできる状態は珍しいのである。


 スキルブースターさえ使えば、この辺の魔物は相手にならず安全性が高いということもあって、真面目なルアンナさんでさえ欲望に従ってしまった。


 そんな経緯もあり、僕はメスゴブリンを筆頭に、メスオーク、メスウルフなどと昼過ぎまで戦い続けた。


 * * *


 昼食は泉の近くで取ることにした。


 日本みたいに手の込んだお弁当なんてなく、干し肉やドライフルーツがメインだ。夜は野菜も入れてスープとか作るみたいなんだけど、昼食はお腹さえ満たせればいいという考えみたい。


 日本の食生活に慣れている僕としては、毎回ものたりないなって思っちゃうけど、それは贅沢なんだろう。


 お腹は満たされたけど、午前中に動き回ったこともあって体は疲れている。


 睡魔が襲ってきて座りながら寝そうになっていたら、膝枕をしてくれた。顔を見るとアグラエルさんだった。


「ね、寝心地は悪くないか?」


 恥ずかしいよりも、緊張しているように見える。


 一緒に生活して僕には慣れてくれたと思ったんだけど、こうやって接触するのは、まだダメみたいなんだ。もっと仲良くなれば変わってくるのかな?


「すごく気持ちがいいです。良い匂いもしますし」

「ば、ばか! なんてことを言うんだ!」


 顔を背けながら、ドラゴンの尻尾で僕の足をペチペチと叩き出した。


 力は入ってないので痛くない。照れているだけなんだ。


 この世界の女性は肉食系ばかりなので、こういった反応は珍しい。かわいいな。


 そう思ったら自然と手が伸びてアグラエルさんの頬を触っていた。


「イ、イオ君!?」

「すべすべですね」

「これ以上さわると自制心が……」

「ごめんなさい」


 そうだよね。アグラエルさんだって、この世界の女性なんだ。隙あれば襲いたくなるのは当然だ。


 頬から手を離して起き上がろうとすると、止められてしまった。


「も、も、も、もうちょっとこのまま……」


 お腹がいっぱいで眠くて体がダルいので、アグラエルさんの気持ちを受け入れた。


 膝枕は継続だ。


 仰向けのまま視界に映る胸を凝視していると、股間に誰かの頭が乗った。視線を下に向けるとメヌさんだった。うつ伏せになっていて臭いを嗅いでいる。しかも手を僕のお尻に回して揉みしだいていた。

 

 相変わらずのセクハラ癖だ。顔をグリグリと、ほどよい強さで押しつけてくるので、ムクムクと大きくなりそうである。


 メヌさんにどいてもらおうと思ったら、左脇にレベッタさん、右脇にはヘイリーさんの頭が乗った。


「イオ君成分補充ーーーーっ!」

「私も補充」


 身動きが取れなくなっちゃった。こうなったら、彼女たちが満足するまで解放してくれない。


 唯一の希望である騎士の皆さんは、羨ましそうな目をしながら周囲を警戒している。護衛の仕事をしているみたい。職業意識が高い!


「みんなズルい。私も、もっと……」


 恥ずかしがっていたアグラエルさんの手が伸びて、僕の服の中に入ってきた。胸を触っている。


 いやいや。ズルいとかじゃないと思うんですけど!


「アグラエルさん?」

「私はダメ……なのか……?」


 なんて言われたら、僕は何も言えない。


「優しくしてくださいね」

「将来の夫なんだ。もちろんだとも」


 んん? 聞き間違いかな?


 突っ込んだら負けだと思ったのでスルーしておこう。


 いつかは皆と結ばれる日も来るとは思うけど、それは今じゃない。世界が自分を受け入れてくれて、立場が安定してからだ。


 特にブルド大国の問題を解決しないといけないしね。


「アグラエルさん」

「どうした?」

「ブルド大国について知っていることあります?」


 来訪が決まっているけど、僕は大きい国ってこと以外何も知らない。


 今さらだけど情報を集めようと思ったのだ。


「少しだけな。貴族は男を侍らせることをステータスとしている。だからなのか、少ない男を手に入れるべく、他国の侵略をしているのだ」


 ナイテア王国は男を中心にハーレムを築くことが多い。というか、それがこの世界では普通だ。女性が多すぎるんだから当然だよね。


 でも、ブルド大国は逆らしい。逆ハーレムを作ることが正義で権力の象徴としているのであれば、SSランクのスキルを覚えている僕は最高の獲物だろう。


 今の話を聞いただけでも行きたくはなくなったけど、約束は守らないと……。


「そういうこともあってブルド大国だけ、男性が多めなんだ。だから男性優遇施策も少ないし、あっても他国に比べて質は低い。イオ君が住むにはふわさしくない場所だ」

「大丈夫ですよ。僕が帰る場所は、みんながいるナイテア王国ですから」


 勘違いして不安になって欲しくないので、ここだけはちゃんと言っておいた。


 第二の故郷は僕を拾って、良くしてくれたのはナイテア王国だけ。他の国に行ってみたいと思うけど、最後に住む場所は決まっているのだ。


 そのことを伝えたら、アグラエルさんだけじゃなく警備をしている騎士たちまで、涙をポロポロこぼしていた。


 みんなが喜んでくれるのであれば、僕にとってこれ以上の喜びはないよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宣伝
8e83c4k0m4w6j1uz35u7mek5e1km_ca_2fw_3h0_biiu.jpg
AmazonKindleにて電子書籍版が好評販売中です!
電子書籍販売サイトはこちら

矛盾点の修正やエピソードの追加、特典SSなどあるので、読んでいただけると大変励みになります!
※KindleUnlimitedユーザーなら無料で読めます!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ