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死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?  作者: わんた


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今度は私の番だ

「グリュフフ~~ッ!」


 剣を振り上げながらメスゴブリンが襲いかかってきた。


 口から涎が出ていて目が血走っている。魔物は特に本能が強いと聞いているけど、その表現は正しくない。上限突破して暴走しているんだ!


 本能をブーストしたような動きは、恐怖心を呼び起こしてくるけど、気合いでねじ伏せる。


 突進してきたメスゴブリンが近づいてきたので、横に飛んで回避すると背中を斬った。


「浅いっ!」


 両断するイメージだったんだけど、タイミングが合わなくて軽く血が流れる程度のダメージしか与えられなかった。僕の刃は筋肉に届いてない。


「ガフッ、フッ、フッ、フゥ~」


 攻撃されたってのに、振り返ったメスゴブリンは鼻息荒く興奮している。


 メス臭も強くなっていて、もしかして興奮している……?


 ドMだ。一生理解できない性癖だよ。


 今度は僕から攻撃を仕掛ける。


 数歩前に出して突きを出すと、刀身の腹を叩かれて軌道をずらされてしまった。勢いに抵抗せず、くるりと横に回転しながら剣を振るう。


 手応えあり、だ。


 メスゴブリンは剣で防ごうとしたみたいだけど、遠心力を使った僕の攻撃には耐えられず、腕に深い切り傷を与えて吹き飛ばした。


 木の幹に頭を当てて倒れている。


 足が開いて股が丸見えだ。ねちゃっとした粘液が見えて近寄りたくないけど、チャンスは見逃せない。


「たあぁぁぁっっ!!」


 生物を殺す嫌悪感をかき消すため、大声を出して剣を振り下ろす。


 頭蓋骨に当たって硬い感触が手に伝わる。さらに力を込めるとパキッと音が鳴って刀身が脳にまで到達すると、メスゴブリンの目が飛び出し、鼻から血が流れ出た。手足は痙攣していたけどすぐに止まった。


 完全なる死だ。


 戦いが終わったと思ったら、力が抜けてしまい剣を手放すとペタリと座り込んでしまう。


「僕が……殺した…………」


 望んでやったことだけど、実際に殺してみると心がずしんと重くなった。


 覚悟が足りなかったのだろうか。でも、この世界で生きていくなら必要なことで、慣れていかなきゃいけない。


 平和ボケした生活から卒業するべきなのだ。


「イオ君! 大丈夫~!!」

「うぁぁっ」


 目に涙を溜めたレベッタさんが飛びついてきた。支えられず押し倒されてしまうと、頬をスリスリとされ、手が僕の腹を撫でる。


「怪我してないよね?」

「うん。大丈夫だよ」


 レベッタさんの手は、僕のお尻にまで移動して揉みしだいてくる。


 ……心配してたんだよね? どさくさに紛れてセクハラしてるんじゃないんだよね!?


 無抵抗のままでいると、メヌさんがレベッタさんの頭をガシッと掴んだ。メキメキって音がしている……。


「痛い! 痛いって!」


 腕力自慢のドワーフだけあって、レベッタさんを片手で持ち上げるとポンと投げてしまった。


 ようやく解放された僕は立ち上がろうとしたけど、胸を押されて倒れてしまう。


「今度は私の番だ」


 メヌさんの手が服の下に入って、股をまさぐってくる。逃げようとしてもつかまれて動けない。さらにヘイリーさんが背後に回って耳を舐めてくる。ぶるっと体が震えた。


「あぁ、そこは触っちゃダメっ!」


 野外なんて上級者プレイ、無理だから!


 助けを求めていると、氷の塊が僕を襲っている二人の頭上に落ちた。


「やりすぎだ。離れなさい」


 腕を組んだアグラエルさんが睨んでいた。さすがに二人もやり過ぎたと思っていたみたいで、渋々といった感じで僕から離れる。


「大丈夫だった?」


 まだ僕と話すのが恥ずかしいのだろうか。照れくさそうに言いながら、ドラゴンの尻尾が体に巻き付き、体が持ち上がる。


「うん」


 セクハラの連発で、生物を殺した忌避感みたいなものはすっ飛んでいる。三人はコレを狙っていたのだろうか。多分違うと思うけど、あえてそう思うことにした。


 尻尾に巻き付かれたまま、アグラエルさんの前に来ると抱きしめられる。お互いの顔は見えない。唇が耳に触れた。


「私の旦那は、格好よかったぞ」


 かーっと顔が熱くなった。女性から頑張ったことを褒められたことがないので、嬉しいと恥ずかしいが混ざって照れてしまったのだ。アグラエルさんの顔を見ると赤くなっているから、彼女も似たような気持ちなのかもしれない。


 真面目なアグラエルさんはセクハラなんてすることなく、地面に降ろして解放してくれた。


「イオディプス君、いい戦いだったぞ」

「ありがとうございます!」


 ルアンナさんを代表として騎士のみんなが取り囲んでくると、ハイタッチをして健闘をたたえてくれた。僕と一度触れただけで「もう手を洗わない!」なんて言う人も出てきたのは驚いたけど、きっとオーバーな表現をしただけだろう。


 一回戦っただけで、これほどの騒ぎになったんだけど、僕の戦いはまだまだ続く。


 実戦の緊張感というのも慣れなきゃいけない。


 僕たちは、さらに森の中へ入っていく。


 そこで倒れている冒険者パーティを発見してしまった。5人全員が一目で致命傷を負っていて、既に死んでいると分かる。血の固まり具合からして数時間前までは、生きていそうだった。

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