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んちゅぅ……

 ポンチャン教の聖女ミシェルさんに誘拐されて、しばらくの間、聖地で彼女たちと生活をしていた。


 男のアレ……棒を信仰の対象としているため、ちょっと変わった性格の人たちが多かったけど、安心して過ごせてたんだよね。


 もちろん、貴重な男を奪われたナイテア王国のスカーテ王女は黙ってない。


 国として動くことは難しかったようで、僕を最初に見つけてくれたレベッタさんを含めた、民間のパーティで救出作戦を実施してくれた。


 無事に潜入して合流したんだけど、ここで大きな問題が発生する。


 ブルド大国が僕の居場所を見つけて、聖地に乗り込もうとしてきたのだ。


 騎士を連れた船が海岸に到着する。


 このままじゃ一緒に過ごしてきた彼女たちが酷い目に遭ってしまい 、最悪は殺される。


 そんなこと許せない。


 かといって戦う力を持っていない僕は、武力だと止められない。


 悩んだ末にビーチレスリングの3本勝負をすることにした。


 試合は順調に一勝一敗まで進んで、ついに運命の3試合目。戦っている途中で、海の魔物である大量のシーサーペントが襲ってきた。


 皆を助けるためスキルブースターを発動させて全滅させたんだけど、試合の結果は引き分けで終わってしまい、ブルド大国へ訪れると約束することで平和的に解決した。


 ブルド大国の騎士が帰るとき、甲板に出ていた皆が「またねーーーー!!」と手を振ってくれたのは嬉しかったな。


 一時は敵対していたけど、勝負がつけば全てを忘れて仲良くしてくれる。


 この世界に悪い女性はいない。


 改めてそう思ったんだ。


 * * *


 ポンチャン教から解放されて、僕はナイテア王国に戻ってきていた。


 帰還の挨拶をするためにスカーテ王女の屋敷を訪ねると、来客室でなぜか正座をさせられてしまう。


 手に扇子を持ち、眉を釣り上げて怒っているスカーテ王女がいる。ドアの前にはルアンナさんが立っていて、逃げ道は塞がれている。


 僕、何か悪いことをしたかな?


 内心でドキドキしていると、スカーテ王女が口を開く。


「聖地から無事に帰ってきてくれて、本当にありがとう」


 お礼を言ったというのに威圧感が増している。


 冷や汗が出ていた。


「ブルド大国に行くなんて話がなければ、手放しで喜べたんだがな……」


 ふぅ、とため息をつかれてしまった。


 貴重な男だという自覚はあるし、ナイテア王国に迷惑をかける取引をしたという認識もある。だから今回のお説教は、言い訳せず受け入れていた。


「いつ行く予定なんだ?」

「決めてません。数年後でも良いかなーなんて……」


 ボンヤリとしたことを言ったら、またスカーテ王女はため息をついてしまった。


「ブルド大国が、そんなに待ってくれるわけないだろう! すぐにでも特使を送って期日の交渉をしてくるはず。イディオスプ君が行くと言ったのであれば、我々に拒否権はない。調整できるとしたら滞在期日だけだが、それでも先方の意向を最大限尊重する形になるだろう」


 国力に差がありすぎるから、スカーテ王女は強気に出られないのだろう。


「それで、イオディプス君」

「はいっ!」

「ブルド大国に行っても戻ってきてくれるか?」


 今まで見せていた強気な姿勢と違って、弱々しい。


 勝負は引き分けだったから、ブルド大国へ行くことをうやむやに出来たはずなのに、僕は行くと明言していた。


 だからスカーテ王女は、僕がナイテア王国を去って行っても不思議ではないと思っているんだろう。


「もちろんです。僕の故郷ですから」


 前世は日本で生まれ育ったけど、この体の持ち主はナイテア王国生まれ……のはず。


 それにレベッタさん、ヘイリーさんといった素敵な女性と出会い、関係を育んできた国を簡単に捨てるなんてできない。僕は薄情な男じゃないんだ。


 守ってくれてた恩もあるし、骨を埋める覚悟がある。


「よかった。そう言ってもらえたことが唯一の収穫だよ」


 スカーテ王女が椅子に、どさっと座った。


「イオディプス君も座りたまえ。今後について話したい」

「はい」


 ようやく正座から解放される。


 立ち上がると足が痺れてよろけてしまう。


「あっ」


 テーブルに手を突こうとして失敗すると、スカーテ王女の胸を揉んでしまい押し倒してしまう。


 椅子がひっくり返ってしまった。離れようとするけど、腰回りに足が絡みついてきて動けない。頭に手が回ると、スカーテ王女の瑞々しい唇が重なった。


「んれっ、んちゅぅ……」


 この人、何してるんだ……。王女様だというのに男を襲っている。舌まで入れてきて絡まり合い、お互いの唾液を交換していく。


「あんっちゅ、んふっ、んんっ!」


 興奮してきたのかスカーテ王女の頬が赤い。理性は吹き飛んでいる。手が僕のズボンに伸びてきてパンツごとずらそうとして……ルアンナさんに抱き上げられた。


 ドアの前から移動して、助けてくれたようだ。


「大丈夫?」

「はい……」


 涎が付いた口を拭ってから、スカーテ王女を見ると目をウルウルとさせていて、物足りなさそうにしていた。


 二人きりだったら絶対に最後までいっていたはず。ルアンナさんにお礼を言わないと。


「ありがと――んんっ!」


 振り向いたら唇が塞がった。


 なんと、今度はルアンナさんがキスをしてきたのだ。


 体を持たれているので動けない。手足をばたつかせても、男の俺じゃ力が足りないので、どうしようもない。スカーテ王女は立ち上がると服を脱ぎだした。


 あぁ、これは最後まで襲われるかもしれない。


 諦めて手足の力を抜く。


 初めては優しくしてね。


 そう思って目を閉じると、ドアが蹴破られる音がした。


「イオ君~~~~!!」


 入ってきたのはレベッタさんだ。僕たちの姿を見てすぐに状況を察したようである。


「無理やり男を襲うのは王女であっても大罪! 許さないんだからっっ!!」


 半裸のスカーテ王女を蹴って倒すと、飛び跳ねてルアンナさんの背後に回る。首を絞めた。


 僕を抱きかかえているので抵抗できない。


 ルアンナさんは首を絞められたまま、意識を失うまで僕とキスをしていた。

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