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70.渡りに船、キター

テーブルの前に立つと横に立っていたお付きの人に


伯爵様がお目通りを許すので挨拶するように言われた。


「お目通り、名乗りの名誉をいただき、ありがとうございます。


バルツ男爵の庶子、エアヴァルト・バルツと申します。」


胸に手を当て、頭を下げて、片膝を軽く曲げて。


挨拶は短く、はっきりと。上手くできたかな?


「私がフルオロだ。伯爵などと言われているが


 領地も持たない一代貴族だ。そう緊張しなくても良い。


 その年齢で礼儀にかなった見事な挨拶おそれいる。」



伯爵は人間語、標準語というべきか、で俺に話しかけてきた。


あれ?マンチェス伯爵領って広大だって話じゃなかったっけ。


領地なし?


「君の話はバッチャから聞いた。残念ながら私は辺境伯ではない。


君の身分保障はマンチェスの町でしかできない。」


ええと、頭を下げているから相手が良く見えないけど伯爵と辺境伯って


違うのか?


「顔をあげて良いよ。その姿勢は苦しかろう。


 理解できていないようだから教えてあげよう。


マンチェス家はこの地の寄り親にしてシャーフラント東半分を治める


辺境伯だ。私は功績により伯爵と名乗る事を許されているが、


君と同じ庶子だよ。


いや同じではないな。私の母はエルフだから

正妻にはなれない。」


俺が混乱した顔をしていたせいだろう、伯爵は言葉を続けてくれた。


「ごく稀に人とエルフの間に子供が産まれる事がある。私もその一人だよ。


世の中にはラバと呼ぶ者もいるがな。」


先程のドワーフが蒼白を通り越して真っ青な顔色をしている。


「言い忘れていた。君から話しかけても良いよ。」


「有難うございます。光栄の至りでございます。」


「礼儀作法はきちんとしているではないか。


 先程の将棋の腕も見事だったし、バッチャの言う通り


 良くできた子だ。・・・ジョージ、明日の船3人分余裕はあるな。」


俺の横で直立不動で立っていた人が答えた。


「はい閣下。問題ありません。」


「エアヴァルト君、話は聞いた。


我々はマンチェスに帰る所だから、良ければ同行しないか?


心配はいらない、船は用意してある。」




渡りに船っとはこの事だろうけど、これ甘えて良いのか?


バッチャは頷いていて乗る気満々のようだけど。


まあ断るのも失礼か。エライ人と同乗って疲れそうだけど


良い人みたいだし。




「お誘いありがとうございます。ご厚意に甘えさせていただきます。」


エノラさんに仕込まれた礼儀作法及びマナー本、こんな場面まで


無かったから正しいかどうかわからないけど、9歳の子供という事で


大目に見てもらえるだろう。




回りの人の反応もおおむね良い。




そんな事をしていると この地の領主、クロム男爵がやって来た。


ドワーフさん達が何やら言い訳をしていたけど、


伯爵が無礼なぞ受けた覚えはないと言ってお開きになった。




明日船着き場で落ち合う事にして


伯爵様は男爵館へ、俺たちはホテルの部屋へ帰った訳である。

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