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十六話

『なるほど喰い系の上位スキルね。厄介な事になりそうだ。』

 一通りの話が終わり、雄二さんが言った。喰い系ってなんだ。

 その表情を見たのか、説明される。

『喰い系と言うのは珍しいスキルの一つで、石喰いなどの特定の対象を食べる事が出来るスキルだよ。』

 だが――――

『それだけなら問題無いですよね。』

『それだけならね。』

 部屋の中央にあるテーブルを挟み話が続く。明るくなった外と反比例するように部屋の中は暗い。

『昔、獣喰いと言うスキルを持つ男がいたんだ。彼はいわゆる小心者と言うやつで、人の後ろにばかりいる臆病な性格だったらしい。でもある日、獣喰いと言うスキルを手に入れた。』

『その日から彼は多彩なスキルを使い出し、周囲では知らぬ者がいないほどの強者に変わったそうだ。』

『多彩なスキル?』

『そう、彼の仲間が言うには彼が狩った獣を食べた後、今まで使えなかったスキルを使えるようになったらしいんだ。それも狩った獣が使っていたスキルを。』

 食べた後にスキルを使うという事は、

『食べた獣のスキルを得たという事ですか!?』

 それではまるで――――

『そう君のスキルと似ているね。』

 確かにそうだ。話に出た彼は獣を食べスキルを得ていた。対して自分は殺したカニの魂を喰らってカニが持っていたスキルを得た。とても似ている。

『その彼はどうなったんですか。』

 自分とよく似た彼は――――

『彼は、獣ばかりが出ると言う迷宮を暴走させて死んだよ。』

 死んだ?

『その彼は獣を食べるそのためだけに迷宮の周辺の町をすべて破壊し一つの国を滅ぼしかけたんだ。最後に彼を見た人は、彼のあまりの変わりように言葉も出なかったらしい。』

 たった一つのスキルでそこまで変わるなんてと思うが、支部長の目の鋭さに信じざる負えない。

『そういう事もあり得るスキルなんだよ。もちろん皆が危険な事をするという確証はないけどね。』

 テーブルに置かれたコーヒーに口をつけるも、乾いた喉を潤すはずが温くなって飲めたものじゃない。

『そして君のスキルだが。』

 コーヒーを飲み眉を顰めた支部長の話が続く。

『君は生物の魂を食べる。つまり生物なら何でも・・・・・・・食べられるという事だ。』

『なんでもって……』

『おそらく人間も可能(・・・・・)だろう。』

『なっ!!自分はそんな事――――』

『もちろんその気があると思ってはいないさ。』

 遮るように言う。人間を殺すなんてそんな。

『君のスキルは、君をこの世界で最強にできるスキルだ。しかしそれには、力に流されない強い心も必要になるだろう。』

『自分は――――』

『私がいる。』

 今まで黙っていた愛華さんが話し始めた。

『私がそんな事にならないように見てるから大丈夫。』

 そう言って、一枚の紙を取り出し支部長に渡した。

『……本気かい?』

『ええ本気。』

『分かった。彼のギルド所属を認めよう。カードはこれだ、無くさないように。』

 そう言って以前見たカードと同じものを渡された。自分の名前が書かれている。

『ありがとうお父さん。充吾行くわよ。』

『えっあっうん分かった。失礼しましました。』

『またいつでも来てくれ。』

 いまだコーヒーに悪戦苦闘する支部長に見送られ部屋から出た。

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