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コーヒー
台所で翔子はコーヒーを淹れている。
「ほら、光太郎。出来たぞ」
「ああ、ありがとう」
「………………」
「ずず…………うん、美味い」
「なあ」
「ん? なんだい?」
「コーヒーのどこが美味いんだ?」
「どこがって…………苦いところ?」
「ふーん。あたしにゃその良さがさっぱりだ」
「なんて言うかな。私の場合は仕事で小説を書くときに必須だし、言わば頭を切り替えるスイッチ、みたいな部分もあるかな。たまには飲んでみる?」
「んー、じゃあ一口」
「はい」
「ずず…………苦い……」
「ははっ、それはブラックだしね。まあ、翔子さんも大人になれば分かるよ、って痛っ!?」
「あたしは大人だ! 馬鹿やろうがっ」




