賭博黙示録
部屋で一人財布の中身を確認し、まきるは感じていた。
このままでは今月の小遣いがピンチだ。
寒さに負け、学校帰りに買い食いをした記憶。ふと見かけて衝動買いした小物達。
それらは正に、現在まきるを苦しめている一因となっていた。
その時、まきるの脳裏に閃光、走る……!
ざわ……ざわ……
まきるはリビングに降り、ソファでくつろぐ光太郎に話しかけた。
「お父さんっ」
「どうしたんだい? まきる」
「勝負、しようよっ」
「勝負? いきなり唐突だね」
「どうしても今月欲しい物があるんだ。だから」
「つまり、まきるはお小遣い欲しい、と」
「うん」
「まあ、理由は分かったけど、私にメリットが無いじゃないか。それじゃ不公平だよ」
「あるよ。もし私が負けたら……」
「負けたら?」
「最近お母さんがこぼした『物凄く欲しいモノ』の情報をあげる」
「あの翔子さんが欲しがるモノ!? あんまりそう言う事を言わない翔子さんが……」
ざわ……
「そう、あのお母さんが思わずあたしにこぼす程、欲しがるモノ。もしお父さんがそれをプレゼントなんてした日には、お母さんが惚れ直すこと間違い無しのモノだよっ」
「ゴクリ……」
光太郎は迷っていた。いかに欲しい情報と言えども、娘と賭け事が教育上良いはずが無い。もし自分が負けでもして娘が味を占めたら、それこそ妻に嫌われてしまう。
しかし……
同等に…… ある感情……! 感覚が光太郎を支配していたっ……!
それはっ……!
(欲しいっ……! クリスマスの失敗っ……! あの失敗…… 失態を帳消しにするチャンス……!)
ざわざわっ……
その思考は光太郎を絡めとるっ……!
底無しの……! 暗く濁った……! 欲望の沼へっ……!
「……分かった。受けて立とうじゃないか」
「お父さんなら、そう言ってくれると思ったよっ」
「それで、勝負って何をするんだい? 言っておくけど、格闘ゲームとかは駄目だよ。私が不利だから」
「大丈夫! 勝負の方法はいたって簡単。このティッシュペーパーの箱にクジを入れて、先に当たりを引いた方が」
「あ、それ駄目。漫画で見たことあるよ。イカサマするつもり満々だよね?」
「あれっ。バレてるっ!? あたしの賭博黙示録が……!」
「面白いよね、カイジ。映画は見てないけど。さて、勝負はもちろん続行するよ?」
「ぐっ……この勝負……予測不能っ……!」
続くっ……!
ざわざわっ……!




