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鍵再び
翔子は手作りのクッキーを光太郎とまきるの待つテーブルに置いた。
「ほら、夕食前だからあんま食い過ぎるなよ」
「ありがとう、翔子さん」
「ありがとー、お母さん。……うん、美味しいっ! もぐもぐ」
「おう。あ、光太郎、あたしの車の鍵知らないか?」
「鍵? ああごめん、さっき車に忘れ物を取りに行ってた。はい」
「ん」
「翔子さん」
「んだよ」
「翔子さんの心の鍵を、私がそっと解いてもいいかい?」
「ば、ばっかかおまえはっ! 娘の前でんな冗談言うな!」
「ふふっ、翔子さんはからかいがいがあるなぁ」
「うるせっ」
「もぐもぐ…………はー、お腹いっぱいお腹いっぱい。いつもの事だから慣れてますよー」