生まれた瞬間から人生ベリーハード
これはとある男の話。
「二人揃って最低。本当にクズ。その赤子諸共地獄に堕ちろ。人間の姿をしたケダモノ共。」
「不倫二人に慰謝料と養育費を一括で払って貰う。断ったらこの証拠の画像とメッセ内容を色んな人たちに見て貰うからな。」
「こんなクズ共の間に生まれた子供が哀れね。悲惨な末路になる事に幸あれよ。」
「全くだ。お前たちは勘当だ。二度と敷居を跨ぐな。もうすぐ社会的に抹殺されるからその子供も救われんよ。」
「…。」
「そ、そんな…。」
ある日のとあるホテル。眠る褐色肌の赤子を連れたまま盛っていた中、浮気の現場を抑えられたその不倫二人。
その赤子は不倫二人の間に生まれた瞬間から過酷な人生がスタートする。
多額の慰謝料と養育費を取られ、設備が整った部屋から一気にボロ屋へと不倫二人は叩き落とされた。
も、
「俺は子育てなんか絶対しないからな!テメェの所為で俺は職も家も家族も金も全部失った!!」
「私も同じよ!馬鹿!!それでも私達は産んだ責任としてこの子を育てなくちゃいけないから!!だからアンタもー」
「嫌って言っただろ!!俺は餓鬼が嫌いなんだ!!あくまでも世間体の為に作っただけだ!!」
「最低!!アンタこそ人間以下のクズ外道じゃない!!アンタみたいな制御できない下半身脳みそゲス野郎は滅びろ!!死んでしまえ!!地獄に堕ちろおおおおお!!」
「うるさい!うるさい!うるさい!!うるさいいいいいい!!!その褐色肌の汚い餓鬼に養育費なんぞ絶対払わないからなあああああああ!!」
不倫男は産んだ赤子から逃げるように消え去り、残された不倫女は産んだ責任…否母親としての最低限な役目を果たすべく必死に育児を一人孤独にやっていた。
「大丈夫。大丈夫よ。【ニジ】。」
「お金も家もなくても、私が絶対に貴方を立派に育ててみせるから。」
しかし虚しく育ててきた赤子…ニジが5歳になった頃にて、
「ごめんね。ニジ…。私…ここまで、かな…。」
ニジ「お母さん…。」
長らく外の生活をしてきた母親が倒れ、幼いニジは酷く痩せ衰え末期の病に掛かった母親を静かに看取る。
「こんな最低な…お母さんで、ごめんね…。お金もなくて…学校にも…行かせられ…なくて……」
「ごめんなさい…ニジ…。貴方は生きて…。力強く…優しい子に…。」
「私達みたいに…なっちゃ…ダメ。……何がなんでも…強く、生きて……ニジ……!」
ニジ「…。」
母親の息が止まるまでニジは段々と冷たくなっていく母親の手を小さな両手で握りしめていった。
「大丈夫……いつか、何処で……貴方に、友達ができるから…」
「例え時間がかかっても…正しく、真っ直ぐに…生きていけば…ひとりぼっちになることは…ないから……。」
やがて息を引き取り、泣いていたニジは手で流れ出ていた涙を拭い取った。
後、
ニジ「生きる…何がなんでも…」
ニジ「僕は、必ず…!」
ニジは母親の遺言を聞き入れ、それから反面教師となるよう力強く生きていく事を誓った。
一人となったニジは一時保護施設に引き取られたものの、
「お前みたいな気色悪い黒肌に食う飯も部屋もない!」
「出ていけ!お前みたいな不倫カップルの間に生まれたクズは!!」
「気持ち悪い!」
「汚い!寄るな!不倫の黒人!!」
「こら!やめなさい!」
「ニジ君。気にしなくてもいいからね。ね。」
ニジ「…。」
施設の子供達のいじめを受け、顔を引き攣りながらも宥める大人達を背後にニジは静かに施設から離れた。
ニジは遠く離れた街で、
ニジ「僕流に強くなればいい。」
ニジ「毎日壁に拳を打って、道路を走って、建物の間を飛んで…」
ニジ「知識は無料の図書館に寄って最低限身につければいい。」
ニジ自己流の特訓…孤独のトレーニングをし始める。
ニジ「強く…強く…強く!!」
ニジ「倍に、倍に、倍に、倍に増やして続けていけば!!」
使われていない廃ビルの壁に毎日拳を打ち込み、道路を走り、建物と建物の屋上を使って飛んだり、無料の図書館に通って自己流に知識を学び、とにかくニジは身体作りと必要最低限の知識を身につけていった。
ーーーーーーーーーーーー
30年後 とある上層部の上級な人間達が住む立派な高層ビルの屋上にて…
ニジ「ぐぉーー……。……zzZ…。」
ポカポカの陽射しが照らされる屋上に一人の長身の屈強な体格をしたアラサー…大人の中年ニジが呑気に寝ており、ダークブルーのロングコートをお布団代わりに大きな身へ掛けるよう気持ち良い表情で昼寝をしていた。
と、
ニジ「……んぉ?。……なんぞぉー……?気持ちよく…寝てたのにぃ……。」
心地よく寝ていたニジの耳に絶えない爆発音と悲鳴、金属同士がぶつかり合う衝突音や色々と破れている音が眠りを妨げるようニジは半分寝ぼけたまま起き上がり、布団代わりにしていたコートを羽織ってそばに置いていたロングブーツを履く。
ニジ「ぁあー。煩っせぇーーな。何何ー。」
ニジは慌てず目を何度も擦って立ち上がりながら背伸びもし、大きな欠伸をしながら頭部にバンダナを被って後頭部のドレッドヘア…以降モジャ髪を綺麗に整えた。
と、
ニジ「んん?」
目が覚めたニジの目に映った光景は…
ニジ「なぁーーにこれ?ん?お?おお?おおお??」
今いる高層ビルから見える世界。
それは街のあちこちに上がる黒い煙と炎そして上空から次々と隕石…否蠢く赤黒い肉の塊が落ちてきており、やがてニジが立つ高層ビルに落下してきた肉の塊が激突し大きな破壊音が響き渡りながら揺れた。
ニジ「お?おお?おおおおーーーー??」
ニジは今いる高層ビルの揺れに全く動じず、寧ろ段々と今いるビルが斜めに傾いていくよう…
ニジ「あららー。どうしてこうなったん?」
ニジは斜めに倒壊していくビルの動きを段々と頭を下に下げつつ覗き込むように見ながら酷く傾いていく屋上に立ち続け、やがて空から落下してきたビルの各階層の部分から肉の触手が多数生え出るのも呑気に見る。
ニジ「おほ。こりゃ走らないとヤバいな。おおー。」
ニジの身は斜めから真っ逆さま…真っ直ぐになるようにそのまま下へと自然落下し、素早くビルの壁へと飛び移ったニジはそのまま下の逃げ惑う地上へ向けて、次々とビルの壁から突き出てくる肉の触手を左右に動く動作で躱しながら高速に走り始めた。
続く。




