第三十一花「侵入」
忙しくて投稿できませんでした…
紫たちが乗る飛行機の後方に、中心に一つの大きな機体と、その周りに小さな機体が複数飛んでいた。
そして中心の機体にて、一人の男が前を見据えていた。
「ふむ…No.444との通信が途絶えた。もう向こうにはバレているだろうな」
その声には重みがあった。歴戦の。
「さて……どうする?」
その声は後ろに立っていた二人に向けられたものだった。そのうちの一人が一歩前に出て跪く。
「発言失礼致します、No.25。向こうは攻めてくると考えます。根拠は、このまま私たちを連れて他の大統領に会うなど、外交問題に発展しかけないからです」
男…No.25は黙ったまま次を促す。
「……特攻隊を仕掛けましょう。そして、私たちも特攻隊に紛れて向こうの飛行機に行くのです。特攻隊だけで陥せるほど容易ではないでしょう。私たちは他に構わず、大統領だけを標的に定めて行動するのです」
覚悟の決まった声だった。でも、少し怯えもある。
「そうだな。特攻隊の奴らは命かけてくれてんだ。後のことなんて考えねぇ。それに…失敗したら、そもそも命もないしな」
空気が少し沈む。
「俺たちは捨て駒だ。「紫」そして「藍」、「華」、「沈」なんぞを取れると本部は微塵も思っちゃいない。でもよ…」
一呼吸おく。
「俺たちゃ「日中」が弱いとは思ったことねぇ」
その言葉に顔を上げる。顔は真っ黒な仮面に覆われてわからない。
「最後に爪痕くらい残そうぜ。俺たちが嫌いな理不尽なこの世界に」
「「はっ!」」
その時、天井で音がするのを彼らは捉えた。
戦闘態勢に入りながら耳を澄ます。小声ながらも微かに聞き取れる。
「痛っ!ちょっと!蹴らないでください、華さん!」
「うるさい!それに暴れないでくれない?ただでさえ狭いのにさぁ」
「それは元はと言えばあなたが座標を間違えたんで……っ!だから蹴らな…あ、すみません…」
「もう、そっちで何やってるのさ。……華さん?何をしようと…ってストップストップ!」
――次の瞬間。
「ズガァァン!!」
天井が内側から爆ぜた。
中から三人が降ってきた。
「本当に何やってるのさ…ん?なんで華はそんな顔が赤いの?」
「本当にすみません…」
自分たちを無視して話している彼らをしばらく唖然と見つめていた。が、No.25は我に帰り奇襲をかける。
油断しているなら今がチャンス。
元々乗っていたわけではなさそうだ。どうやってここに来れたかはわからないがおそらく大統領の護衛だろう。
腰に隠していたナイフを取り出して、懐に入る。
取ったーーそう確信した瞬間、本能が警報を鳴らす。
気づけばバックステップで距離をとっていた。態勢を整え、カウンターを警戒してナイフを前に構えたところで、それに気づいた。
ナイフの刃がなかったのだ。自分が気づかないぐらい速く、そして音もなく、刃は折られたのだ。
圧倒的。「勝てる」という文字が自分の頭の中から消えたようだった。
そして確信する。
「……おまえさんが「紫」か」
先ほど切りかかった相手に向けてそう言う。
彼女は、その紫の髪についた埃を払い、折ったナイフの刃を床に投げ捨て、言った。
「ご名答だよ。さっきのかっこ悪い登場は無かったことでよろしくね、テロリストさん?」




