第三十花「手際のいい尋問」
「さて、色々聞きたいことがあるので口を割らせましょうか」
そう言って藍が胸ぐらを掴んで顔を近づける。
何を言っているのかは聞き取れないが、その内通者は一向に口を割ろうとしない。
どうするのかと思っていたら、華が近づいていった。
そして、頬を蹴り抜いた。今度は窓へと叩き飛ばされた。
痛そう…と思い、思わず自分の頬に手を当ててしまったほどだった。
そして、もう一度藍が胸ぐらを掴み、何かを問いかける。
すると、その内通者は目を見開き頷いた後、口を開いた。
藍は顎に手を当てながら、話を聞いていた。
そして話が終わると他の護衛に身柄を預けてこちらに来た。
「メインの異能持ちがいる機体が一つ、そしてこちらの機体に突っ込む用の爆弾を抱えた小さな機体が十あるそうです」
特攻隊がいるってことね。普通なら面倒くさいけど、ここには藍がいる。
藍の異能「重呑」。対象に重力を乗せる能力。どれほどまで乗せられるかはわからないが飛行機は落とせるとのことだ。
「では、この内通者に連絡してもらい、特攻隊をこちらに向かわせるようにしましょう」
なるほど。メインの機体に乗っているテロリストは後で話を聞くのか。
「一人で全部やるの?」
「いえ、半分は沈さんに任せようかと」
確かに、沈の異能がどのようなものかは詳しく知らないが、弓を使ってたからいけるはずだ。
「私はみなさんに作戦を伝えてきますね」
そう言って奥へと歩き出す。
そこで私はふと思い出したように尋ねた。
「そういやさっきどうやって口を割らせたの?」
藍は歩みを止め、こちらを向いて答えた。
「あのような者は普通に尋問しても答えません。ですから一度痛い目に遭ってもらい、自分達はあなたの命を握ってますよということを再確認させます。その上で捕虜の提案をするのです」
「捕虜となっても、任務が失敗した自分にもう命はないと思っているでしょうから大人しく従うとは限りません。そこで、情報を出してくれれば組織を壊滅させるから安心しろと言うのです。こうすることで素直に吐くことが多いのですよ」
「うわぁ……でも藍っぽいな〜」
そう言うと藍が私を見て言った。
「あなたは変わりましたね、四年前と比べて」
……確かにそうだ。私は以前、もっと消極的だった。
四年間は夢のように儚く、一瞬で過ぎた。でも私は変わった。
「そうだね。……楽しかったから、かな?」
「まあ、前向きになるのはいいことです。戦いにおいての勝率も上がります」
その言葉に私は思わず笑ってしまった。
「藍は変わらないね」
それぞれが配置につく。
「では、作戦開始です」




