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故郷捨テル  作者: 智葉亜紗芽
小学校編
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15/19

中野~鳥小屋強制幽閉事件~

 さて、皆さんは「中野」と聞いて思い浮かべる人物は居るでしょうか?サンプラザくんを思い浮かべたり、五つ子の女の子達を思い浮かべる等、様々だろう。今の私なら夫と出会ってから知り合った知人が思い浮かぶが、昔の私だったら…


 今回はそんな「中野」という女にまつわる話をしよう。


 中野との出会いは、世矢幼稚園からになる。当時の私はみんなと打ち解けようと必死だった。しかし、中野はそんな私が気に入らないのか、一緒に遊ぼうとしなかったり、ある事ない事を先生や周囲に言いふらしてしまったのである。ちなみにこの時の中野の一人称は下の名前だった。


 小学校に進学しても、中野は私にだけ辛く当たる事が頻繁だった。そして、何故かニタニタ笑うのだった。私はそれが一番気持ち悪いと思った。おそらく、中野は私を格下だと判断し、見下していたのだろう。


 そして、小学校二年生の時にある事件が発生した。当時、私の家は「リッティー」という一匹のゴールデンレトリバーを飼い始めた。この時の私は犬が苦手で、リッティーに触る時も、近寄る時もオドオドしながらだった。そんな事情も露知らず、中野は「犬を飼っているから、動物は平気」だと判断したのだろう。第三者から見たら、「謎理論」だと一蹴されるが。


 ある日の事だった。私はまっすぐ家に帰ろうとしていた。そこへ、中野が私に駆け寄り、チャボ小屋に連れて行った。本来なら飼育委員の上級生がチャボ達の世話をするのだが、あろう事か中野は私をチャボ小屋に押し込み、こう言った。


「犬、飼ってるんでしょ!」


 それとこれとは話が別だ。当時の私はインコですら触れなかったのである。そして、中野は私をチャボ小屋に入れたまま鍵をかけたのである。私は絶叫し、激しく泣き出した。そして、それに気づいた先生と飼育委員の上級生が鍵を開け、私は小屋から解放されたのだった。その場に中野はいなかった。いや…中野は逃げたのだ。悪質なイタズラと関係ない事を装う為に…


 それ以来、私は鳥という鳥に触る事に対して、拒絶反応を起こすようになった。現在はぬいぐるみや食肉なら平気にはなっているが、今でも本物の鳥を見ると、その道から遠ざかってしまいたくなる。

 まぁ、それをしでかした中野自身は忘れているだろうが、やった事は悪質だ。


 現在、その諸悪の根源である中野がどうなったかは分からない。世矢中学校を卒業後、中野の両親に会う機会はあったが、中野本人は成人式に出席したかどうかですら忘れてしまった。まぁ、少なくとも何処かでのうのうと家庭を持って暮らしているのだろう。


 余談だが、中野には著名な同姓同名が存在する。一人は絵柄に癖のあるレディースコミック作家で、もう一人は水球の選手だ。彼女達の名前は敢えて伏せるが、気になる人は調べて欲しい。

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