96、欲の魔女サジェスタ
メノウと共にダンジョンの奥に潜ろうとしていたら復活したリゼルに慌てて止められた。
「エル、ちょっと待て!?彼女はどうするんだ?いいのか、あのままで?」
リゼルが指差したのはメノウの捕縛君試作16号(力加減の調整のため16号まで行きました。)
によりグネグネと頑張って捕縛を抜けようとしていたサジェスタだった。
「ん~!?ん~~~!!」
涙目を向けながらこちらに頑張って何かを訴えようとしているが完全に口を塞がれているのでわからない。
少し考えたあと彼女の回りに無効魔法結界をかけて顔の部分だけ捕縛君を外す。
「ぷはっ!ひどい目に会いましたわ。簡単なお使いのはずが何故こんなめに![幻惑]!」
口が自由になったのを幸いにすぐに仕掛けてきた。
サジェスタは私達に幻惑をかけ逃げようとしたようだが何も起こらず首をかしげる。
「?[サキュバスの誘惑]!....あら?」
体から少しピンク色の煙が出たような気がしたがすぐに霧散する。
「無駄だ。無効結界が張ってある、あらゆるものを無効化する。何も対処せずに拘束を弛める訳がない。まあ、結界を張らなくても誘惑等の弱いスキルにかかるのは低レベルの者だけだろがな。」
メノウが転がっているサジェスタを見下げながら言い放つとサジェスタの目にうっすらと涙が溜まった。
「魔神様が復活なされたらお前など八つ裂きにして頂けるのに!」
悔しそうに唇を噛んで睨み付け頑張って起きようとするがやはり蠢くだけだった。
「はぁ、とりあえず手足だけ拘束して。」
ちょっと可哀想になってきたのでメノウに指示するとサジェスタが紅い顔で慌てた。
「待って!?待って!?服がヤバイことになってる気がするの!お願いだから背中を向いていて欲しいですわ!?」
今の状態はグルグル巻きで顔と足先が出ているのみなので分からないが、確かに勢いよく巻かれた捕縛君を外すと中は大変な事になってるかも知れない。
「....わかった。皆、向こうむいてて。私が良いよって声かけるまで。」
「........。」
(わかった。)
「「わかった。」」
「面倒だからそのままに(ギロッ)....わかった。後ろを向いたら捕縛君16号に手足だけ残して戻させよう。」
リゼル達が後ろを向いたのを確認して、メノウも何か言いたげに後ろを向くと指を動かして蔦に指示する。
捕縛君の16号は手足の部分だけ残るとシュルシュルと弛みメノウの所に行くと思ったがそのまま通りすぎラピスの袖に入って行く。どうやら護衛君三号の兄弟....元は同じものなのだろう。
「....ラピスがここにいるってことは向こうの本体はエルノラに消されたってことか?なら保険もバレてるのか....ヤバイな。」
メノウが聞こえない程の小声で呟いたのをラピスの声を拾うために風魔法を常に使用している私はしっかりとメノウの声も拾っている。
「メ・ノ・ウ?全部聞かせて貰うからね。」
後ろを向いて分からないがメノウの顔色は今一番悪いだろう。
「さて、確かに凄いことになってるかも。」
サジェスタを見ると、元々薄着だったベビードールの服は破れ辛うじて繋がっているのみで下着姿が丸見えである。その下着も破れてギリギリな感じだ。
「グスッ、恥ずかしい思いをして頑張って着たのにあんまりですわ。」
座り込んだが手足は拘束されているので身体を隠す事は出来ずにサジェスタは涙ぐんだ。
「恥ずかしいって、サジェスタだっけ?貴女サキュバスなんでしょ?」
サキュバスはサジェスタが着ていた服?を好んで着る者が多い。もっと露出が激しい者もいる。レベルの高いサキュバスは大事な部分しか隠していない者が多い。
「私は確かにサキュバスですわ。でも稀に私のような者も生まれるんですの。戦闘服を恥じるなんて出来損ないですわ....。」
「サキュバス以外は恥じるね。間違いないよ。」
レベルの高いサキュバスの服は服ではなく飾りだ。あれは変態さんだよ。何の防御力もないからね。
「そうですわね。サキュバスに生まれなければこんな悩みも無かったですわね。でも私の御姉様達が魔神様を甦らせれば私達の願いが叶えてくださるのです。ですからその為に奥にある膨大な魔力を手にいれるのですわ!!」
急に立ち上がり勢い良く私に向かい体で体当たりしてきたが軽く避ける。
「あ~あ、下着が落ちた。」
立ち上がった勢いで破れた場所が広がり体当たりした拍子にブチッとなりポトリと落ちた。
「き!きゃあーーー!!」
倒れ込んでいるので隠せないサジェスタは丸見えだ。心の中でモザイクはかけているがリゼル達はこちらが合図するまで振り向かないとわかっていても焦るだろう。
「そうなるのは分かってたでしょ....。」
呆れた目で見ると顔を紅くしながらサジェスタが吠える。
「何か身体に掛けて隠してあげるとか同じ女ならするでしょう!?」
「え~、敵にかける情けはないな~。」
「おのれ~~~....。ごめんなさい~!!お願いします~何か布でいいので掛けて下さ~い!!」
サジェスタはあまりの恥ずかしさにプライドを捨てたようだ。泣きながらお願いしてきたので色々聞き出すことにした。
「この奥には何があるか知ってるの?」
ピラピラと身体が隠せる位の大きな布をちらつかせながらサジェスタに質問すると手足を縛られ俯せに倒れこんだ状態で軽く赤い顔だけあげて答えた。尻は丸出しなのでサキュバスの尻尾が震えている。
「ダンジョンで採れる魔石でしょう?かなり強い魔力だから石ではなく大岩程かしら?」
「ククッ....」
メノウが鼻で笑った。
「本当にムカツク男!!ダンジョンで見つけた魔石は早い者勝ちでしょ?」
「メノウの方が先に来てたんでしょ?どちらにしろ貴女に権利はないね。」
「うぐっ、まだその場には着いていないのですからありますわ。」
「なら、このままにして私が先に到着しよ「ごめんなさい、貴女のものです~。」よろしい。」
サジェスタの体を起こして布で体を包んでやる。
「あ、ありがとうですわ。」
顔は赤いままだが素直に礼を言われたので頷いておく。
「闇ギルド[魔女の宴]三女、サジェスタ。貴女達の目的は魔神の復活よね?」
「ええ、そうですわよ。御姉様達の願い事は知らないですけど魔神様を甦らせれば何でも願いをひとつ叶えてくれるそうですわ。」
「ずいぶん素直に喋るのね?」
サジェスタはキョトンとした顔になると「別に隠すことではありませんもの。」と答えた。
「子供達を拐って奴隷にしているのは何故?」
「アルアネシス御姉様が魔神様の依り代を探されているのですわ。最近、獣人の子供を拐う計画をたてていたようですけれど....。」
「ああ、あれね。私が計画を阻止したから。」
驚いた顔を向けられた。
「嘘はいけませんわ、貴女ではなく「面白い獣人の女の子に邪魔されたけど気に入ったから次に会う計画をたていますのよ。」って仰っていましたもの。」
「幻影魔法は貴女の種族もお得意でしょう?」
言葉と同時に一瞬だけ彼女から離れクルッと回ると猫耳娘のエルに変わる。
「で、でも、なら御姉様は....貴女は本当に何者なんですの?アルアネシス御姉様はこの世界で一番の魔力の使い手、ハイエルフと人族のハーフですのよ....その御姉様の目を欺ける魔力の持ち主なんて....。」
水晶玉の向こうにいたドリルヘアーの女性は特徴の耳が隠れていたので気付かなかったが、確かに魔力の使い方が派手だった。遠見の魔法と毒霧魔法と転移魔法を水晶玉と魔石の媒介とはいえ多数使用していた。
今の世界のレベルを見ている限りでは世界一といっても過言ではないかもしれない。
「私は賢者様の弟子ですから。魔力の扱いはお手のものですよ?」
とりあえずこの言葉で様子をみる。後ろで激しい咳払いが聞こえたが気のせいにしとこう。




