34、パーティー結成と初任務
ギルドカードを受け取るとカードの表面にある[ナハト]の名前を見てナハト自身に[鑑定]をかけてみる。
[名前] ナハト
[性別] 男 [種族] ダークエルフ
[年齢] 6歳 [職業種] 魔術師
[HP] 400/400 [MP] 1000/1000
[加護] 魔神の目(千里眼)
前とは違いちゃんと名前が入り、体力も戻っている。ナハトにカードを渡すと嬉しそうに眺めてからリゼルをみた。
「リゼルはギルドカード持ってるの?」
「ああ、Bランクで登録してある。エルノラが登録したときに一緒に登録したからな。」
リゼルがカードを取り出しナハトにみせるとロイが「皆さんのギルドカードをパーティー登録しますか?」と提案してきた。
パーティー登録すれば、依頼金の報酬8割が分割されてギルドカードに入る。残りの二割はパーティー資金として共有される。主に武器や防具、旅の食費や薬の購入等だ。一人で依頼を受けられないものも多々あり、そして報酬金が高い規模の大きい依頼が主の為登録するものが多い。
「お願いします。今、私のギルドカードに入ってる分もパーティー資金に半分入れてください。」
「俺のギルドカードからも頼む。」
「しょっ、少々お待ちください.....ぜっ、全部でこれだけになりますが本当にいいんですか?」
ギルドカードの情報は登録された魔力を流して見る事ができる。魔力は少しづつ人によって違うらしい。
魔力を流してギルドカードを見ると数字が浮かぶ。
《ギルドカード》
[名前] エルノラ [ランク] A
[P] リゼルディス・ナハト(B)
《所持金》
538,000グルー
《ギルドパーティー所持金》
1000,000グルー
「わ~お、ナニこの金額....?」
「恐らくハルネーゼを助けた報酬とか色々?」
ギルドカードの金額は知らない内に結構な額が入っていた。王様がダルタスに頼んでいたらしい。
「まあ金は入り用だからありがたく受けとるけどリゼルは半分も入れていいの?」
「ああ、ギルド銀行の方に所持金の四分の三がカードとは別にあるから問題ないよ。」
カードを見せてもらうと私の所持金と同じような額が入っている。
騎士団で冒険者になるために貯めておいたお金らしい。これから依頼を受けていけばあまり使う事もないだろう。
「僕だけお金入れれない....。」
しょんぼりするナハトにロイが肩に手をポンとのせる。
「今日登録したばかりだからね、これから沢山活躍をすればお金が手に入るよ、それまではパーティーに甘えたらいい。」
ロイの言葉にナハトはコクンと頷いた。
「ではギルドカードのパーティー登録は以上です。他にご用命はございますか?」
「これから魔国バルデナに向かうつもりなんだけど何かオススメの依頼はありますか?」
「エルノラさん....もうアルネストを離れてしまうのですか?」
ロイが私の手を握り瞳を潤ませている。
「...ええ、冒険者ですから....。」
私の後ろから二つの殺気を感じる。冷たい殺気にロイの顔色がどんどん青くなり握っている手が震えだした。 パッと手を離しワタワタする。
「しっ、失礼いたしました。....獣王国ゼノンへ荷物を運ぶ仕事が一件あります。魔国バルデナに行くなら獣王国ゼノンを通過するのでいかがですか?」
「えっ!?船では行けないの?」
世界地図では協帝国アルスの南都アルスラが港町の為そこから船で魔国のある北大陸に行けると思っていた。
「魔国バルデナの海域には渦潮が多数発生している為、今は船で行けないんです。そこに行くまでも海竜が出没するらしく漁師も船が出せずに困っています。アルネストの海域はまだ安全みたいですけどね。」
海竜とは青い鱗を持つ竜で尻尾が魚の形をしているのが特徴だ。他竜とは違い飛ぶことはできず海を素早く泳ぐ事ができ船に絡み付いて沈没させたりする。勿論、海のフィールドで戦闘するので闘いにくくレベルも竜種モンスターの中では下から二番目に強かった。
竜種モンスターには地竜、火竜、氷竜、海竜が
おり力関係は地→海→火→氷の順番だ。(低→高)
今のメンバーで向かえば確実に私以外はあの世行きだから船は諦めた方が良さそうだ。
「協帝国アストの北都アストレからホロネイ山道を通るしか道がないな。」
ドルタスから貰った地図を広げながらリゼルが呟く。行商人達もギルドで護衛を雇いホロネイ山道を通って獣王国や魔国に行っているのだとロイが教えてくれた。
「ホロネイ山道を抜けて火の国ランバへ行き獣王国で荷物を渡して水の国シズクを通過して魔国に入ると良いとおもいます。」
「リゼルとナハトはそれでいい?」
「うん。」
「はい。」
二人が同意したのでギルド依頼を受けることにした。
「では、依頼を受託します。荷物をお持ちしますのでお待ちください。」
ガチャ
「ん?依頼をうけるのか?」
応接室から出てきたダルタスに話しかけられる。
「獣王国へ荷物を運ぶ仕事を受けました。魔国に行くのに通るから。」
「ああ、船なら直接魔国に入れるが今は近場の漁船以外は出てないからな~。海竜と渦潮は自然災害の様なもんだ。」
実はこの自然災害は自然では無いのだが今は黙っとこ。
「お待たせ致しました。」
ロイが持ってきたのは三つの封がされた小さな箱だった。
「小さいし量も少ないけど報酬金が1000グルーって訳有りなのか?」
やはりリゼルも同じ事を思ったようでロイに確認する。
「訳ありです。中身は封がしてあるので見えませんが魔石が入ってます。封は魔石が依頼人に手渡されるまで解かれません。貴重な魔石なので防犯の為と依頼が達成されなかった時の違約金が高いので余り受けてくれる人がいない為この報酬になります。」
「違約金が報酬の二倍....。」
「誰も受けなかった依頼をお前達が受けてくれるのはありがたいな!そろそろ期限が迫ってたから俺が行かないと行けないところだったからな~ワハハ!」
ダルタスがリゼルの肩をバシバシ叩いているのを横目にロイに聞く。
「これを獣王国のどこに持っていくの?」
「王都ゼノインにある魔石商の所です。魔石を渡したら依頼達成証明を貰って獣王国のギルドで報酬を受け取って下さい。達成証明をギルドに出したら達成に成るので忘れないようにお願いします。受付は一人でもパーティーに達成金を振り分ける事ができますが、なるべく一緒なのが望ましいです。以上ですが他に質問はありますか?」
「いいえ、大丈夫。説明ありがとうロイ。」
ロイから箱を受け取り失くさないようにするためアイテムボックスの《大事なもの》にいれた。




