35、事前対策は大事です
その後、道具屋 薬屋に行き、旅に必要な物を買いつつ値段をゲーム時代の時と照らし合わせると相場が五倍程上がっていて、上級回復薬や状態異常に特化した万能薬等はレシピの消失などで作れる人が減っていき滅多に出回らないので幻化している事に驚いた。
黒と白に相談して少しずつ協力者を介して広めていくことにした。
宿屋に戻り明日の朝一番に出発する為早く就寝することになり、リゼルとナハトと部屋で別れた。
明日は北門からでて街道から協帝国アストの北都アストレに向かう。街道は整備されており歩きで二日半程の距離だそうだ。
ホロネイ山道はモンスターがよく出るがゴブリンと呼ばれる少数で行動する物理型の低級モンスターが主でナハトを鍛えるには丁度いいだろう。ナハトは魔力が多いのでギルドカードにあった魔術師にピッタリだ。
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朝早くから街道を三人で歩いて進む。
歩きながらナハトに魔術師の基本を叩き込んでいくとナハトは目を輝かせながら凄いスピードで吸収していく。
「魔法って面白い!」
基本から相対まで理解するのも早く、魔術師スキルもどんどん上がっていった。
「兄上より凄いな。途中から意味が解らなくなってきたよ」
リゼルは始めの内は一緒に聞いていたが途中から飽きたのか剣に重りを付けて素振りをしている。
「基本は完璧だから次にいくよ、常に魔力を体に纏って身体能力を向上させつつ一定に保って。魔力値を底上げする為に魔力切れになるまで続けてね。」
「はい!」
「リゼルも素振りしながらでいいから魔力を体に纏って身体能力向上を常にかけてね。」
「....了解。」
魔力は精神の力に通じるので魔力切れは気絶を意味する。要は気絶するまで頑張れ!ということだ。リゼルは苦笑いした。
私は気付かれない様に二人に少しづつ負荷をかけていく。
丸三日かけて協帝国アストの北都アストレに着いた。
北都アストレで山に登るための買い出しを済ませると慣れてきた負荷を更にかけていく。まだ気づいていないようだ。
「ホロネイ山道はゴブリンが多いから弓や罠に気を付けてるんだよ。山の中腹に山小屋があるから一度そこで休憩を取るといいね、四日で山を抜けるからしっかり準備していきな!」
アストレのホロネイ山道に入る門前にコッコ鳥の串焼き屋台を出している恰幅のよい女性が声をかけてくれた。
甘辛いタレをたっぷりと絡められた串肉から垂れた肉の脂とタレがポタポタと落ち炭火に当たって焦げた瞬間の香ばしさが堪らない。
「串!三本下さい!!」
「四本買えば二本オマケするよ!」
私と女性はニヤリと顔を見合わせた。
「買いで!!」
「まいど!」
熱々の串を一人二本づつ受け取り近くの岩に腰かける。
アイテムボックスから魔力回復効果のある冷たい飲み物(味は紅茶)を取り出しナハトとリゼルに渡す。
「ありがとう...カバンに飲み物入れて大丈夫なの?」
見た目はただの革カバンなのでナハトが不思議がっているのでカバンの中身をみせる。
「?何も入ってないよ?回復薬とか着替えがない...落とした!?」
ナハトがワタワタしだした。
「フフッ、大丈夫だよ。見た目には入ってない様にみえるけど異空間に繋がる特殊な魔法がかかっていて欲しい物を思い浮かべて手を入れると手に入るの。ガバンに入れた物だけだけどね。」
ナハトの目が輝いた。
「僕も欲しい!買える?」
「買うのは難しいけど造ることはできるよ。」
「「えっ!!」」
静かに聞いていたリゼルもナハトと同様に驚いた。
「それはヤバイ、基本的にエルノラの話を聞くときは常に防音魔法をかけておかないと!」
「わかった。すぐにかけるね。《防音》」
リゼルとナハトが防音魔法と回りに人がいないように見張る索敵魔法を先に覚えたいと言ってきたので教えてあげる。索敵魔法は常に発動させておくようにと伝えながら。
リゼルも魔力の多いナハトもまだ完璧ではないがちゃんと覚えた。まだ発動が遅いのと発動時間が短い。
そういえば、ゲーム時の様に剣士は魔法が使いにくいや魔術師は剣が持てない等の職業の縛りは無くなっているようだった。
自分は全て使うことが出来る[全能]を取得していたのでよく分からなかったがリゼルとナハトに協力して貰うことにした。
「ナハトは魔法を沢山覚えたい?」
「うん!!」
「一度に沢山の命を奪ったり、死ぬほどの怪我を負わせるとしても?」
私の言葉にナハトは青ざめて私を見つめてくる。
「剣は自分で切る感触があるから自覚が出来るけど魔法は離れてても殺める事が出来るし巻き込まれて知らない内に命を奪っていることもある。ナハト、魔法は凄いけどちゃんと向き合わないといけないよ。」
まだ小さいナハトには難しいかも知れないがちゃんと伝わるはずだ。ナハトの魔力は彼の意識が無くても守りになるほど成熟していた。
それも精神が大人に近い程に。
「僕は絶対に傷つけないとは言い切れないけど無駄に傷つけたりしないと誓う!あと出来るなら回復魔法も必ず覚える!!」
私はナハトは大丈夫だと判断した。
真髄シリーズの《魔法の真髄》をアイテムボックスから取り出しナハトに渡す。
「今はまだ少ししか読めないかも知れないけど魔国に着くまで貸してあげる。」
ナハトの手から離れると私の所に戻る様に設定しておく。
「その本には異空間魔法が書いてあるから覚えればアイテムボックスがカバンじゃなくてもポケットにも付けれるよ。リゼルは魔力が足りないからアイテムボックスのポーチをあげるね。」
覚えられないと聞いてガッカリしたがポーチをあげると言ったらパアッと笑顔になった。




