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七人目は偽勇者?  作者: 木南
第三章
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第七話

ギリギリ年内!

もしかしたら少し話を変えるかもしれないので、次の話も遅れるかもですが、お許しを。



顔を真っ赤にして俯いてしまった北川先輩につられるかのようにして俺も顔を赤くしてしまう。


(何でも、ってことはあんな事やこんな事、果てはそんな事まで……!)


無駄に豊かな想像力を働かせた俺は、血走った目で先輩を二度見する。

そしてそんな視線に気づいたのか、ただでさえ赤かった顔を更に赤くして、視線を遮るように長い髪で隠してしまった。


そんな先輩の仕草に昂る(どこがとは言わない)俺に、呆然としていた西原先輩が叫んできた。


「楠、立ちやがれ!俺はお前を何が何でも殺す!」


……なぜだろうか、すごく安っぽく聞こえる。かすかに紅く目を光らせる先輩を見て、思わず微妙な顔になる俺。

とはいえ、実際に命の危機になりそうな事には変わりないので、色ボケた頭を戦闘するために切り替える。……すでに戦うことを受け入れている時点で、色々とお察しなのだが。


「いいでしょう、受けて立ちます。さっさとこんなところから脱出しなきゃいけないのに、西原先輩とこれ以上くだらない喧嘩なんてしていられません」


「そうだな、ここから脱出するためにも、さっさとお前を殺さないとな!」


そういって、不意打ち気味に切りかかってきた西原先輩。横一文字に放たれた斬撃を、後ろに下がり北川先輩と距離を取るようにして避ける。


「ちっ」


あっさり避けられて、鬱陶しそうに舌打ちをする先輩。

いや、あんたの性格からしてどうせやるだろうと思ってたし。そんな面倒そうな態度されてもなあ。


「ふぅ」


細く息を吐きながら、腰の剣を抜き、ついでに鞘を西原先輩に向けて放り投げる。


「うぜえ!」


当然のごとくそれを打ち払った先輩は、勢いはそのままに突進してきた。

お互いに振りかぶった一撃を打ち合わせると、甲高い音を立てて俺の剣が弾かれた。

どうやらただの力だけで言うと俺の方が下のようだ。微かに腕が痺れている。次からは受け流さないと。


態勢を整えて西原先輩を見ると、俺と同じことを考えたのか少しニヤついていた。


「どうした楠、その程度か!?」


「う、うぜえ。少し自分が上になったからってすぐに調子に乗るのかよ」


小物臭漂う物言いに、イラっとした俺はついタメ口になってしまう。


「ああ!?何言ってんのか、聞こえねえ……よ!」


「ぐっ!」


言葉と共に叩きつけられた剣をまともに受けた俺は、そのまま力ずくで壁まで吹き飛ばされてしまった。


「楠くん!」


そしてそこでようやく北川先輩もこちらに気がついたようで、吹き飛ばされた俺を見て悲鳴を上げた。


「なあ麗、見たろ?こいつはこの程度なんだよ。ただでさえ偽物だってのに、しかも弱い。こいつがいて何になるって言うんだ?もういなくたって構わないだろ?もう……殺したって、構わないだろ?」


イヤらしい笑みを浮かべながら、狂ったことを言う先輩の狂気に、少し引き気味になる北川先輩だったが、気丈にも胸を張りながら言い返す。


「いいわけないでしょう!?元の世界に戻った時、貴方が殺したって言えるの?第一、偽物かどうか何て分からないでしょう!?」


おおう、なんか恥ずいな。余りこういう風に言われるのには慣れてないからなあ。

いや、ありがたいことなんだけど。


……にしても。


「ちょっと聞き捨てならない事を聞いたんですけど……。誰が弱いって?」


「なっ!?」


立ち上がった俺を見て驚愕の表情を見せた西原先輩。そんなに驚く事でもないだろうに。現に北川先輩は全く驚いてないし。そう言えばさっきも「弱い」って部分にはノーコメントだったな。


てことはまあ、


「人の力量を見切る能力が全く無い先輩がおかしいだけ、か」


「てめぇ…!」


図星なのか、顔を真っ赤にする西原先輩。

いや、いくら不良(に見える)とはいえ煽り耐性なさすぎだろ。これで勇者って、心配になってくるな。


「まあ、偽物らしい俺には関係ないってことで」


「何をブツブツ言ってやがる!食らえ、【ファイアー・バレット】!」


「誰が食らうかよ、【グラビティ・ウォール】」


またしても不意打ちしてきた西原先輩だったが、半ば予期していた俺の負荷魔法であっさりと止められる。


「くそッ、何で当たらねえんだよ!」


「こんなもん、当たる方がおかしいんだよ」


呆れながらそう返す俺。

案外小賢しいってイメージを持ってたけど、そうでもないのかね。

何か、ただの単細胞なバカにしか見えないんだが。


「【ファイアー・バレット】!【ファイアー・バレット】!【ファイアー・バレットォォォ】!」


「……【グラビティ・ウォール】」


暴食の迷宮にいた時の強さは何だったのか。そう思ってしまうほどに魔法の威力が低い。

ついでにいかれっぷりもあの時とは比べものにならない。

一体どういうことなのか。


……やっぱり何か裏があるんだろうなあ、面倒くさい。

これ以上厄介ごとはごめんなんだけど。


そんな事を考えながら、ひとまず指示を仰ぐために一度北川先輩を見ると、冷めた表情で口を動かした。

曰く、




ーーー【とりあえず一回黙らせろ】。


……了解です。



何やら弱体化している(というより元に戻ってる)西原先輩!

果たして彼の未来は!?

次回、「不良、散る」!お楽しみに!


……いや、冗談ですよ?

まだ彼には生きていてもらう予定です。

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