第26話
「アルト、こっちだ!」
「今行くよ!」
アルトがセドリックとガイゼルの元へと駆け寄ると、ガイゼルが掲示板を指差した。
「ほら、オレ達三人、同じAクラスだ!!」
「本当だ!!」
掲示板にアルト達三人の名前が並んでいる。
セドリック・ローゼンベルク。
ガイゼル・グランフォード。
そして――アルト・レイン。
「やったぁ!!」
「お? なんだ、アルト。あれと一緒のクラスなのがそんなに嬉しいか?」
「もちろん! だって、二人は僕の学院に来て初めての友達だからね!! 毎日一緒にいられると思うと嬉しいよ!!」
アルトが屈託のない笑顔で応える。
すると、ガイゼルの顔はみるみる赤くなっていった。
「......おい、ガイゼル。何を固まっている?」
「ハッ!! すまねぇ。なんでもない。......オレも、その。お前のこと、ダチだと思ってるぜ?」
「本当?! ふふ。嬉しいなぁ」
アルトとガイゼルが笑い合っているのを見ると、セドリックは胸をモヤモヤさせた。
――アルトは、オレの......。
オレの、なんだ?
突然浮かんだ疑問に、セドリック自身も戸惑う。
「......セドリック? どうしたの? 具合悪い?」
「なんだぁ? お前までオレ様と一緒のクラスで嬉しいってか?」
「......そんなわけあるかバカゼル」
「んだとう?!」
「もう! ケンカしないの!! ......ふふ」
アルトが笑いを零すと、セドリックもガイゼルも笑顔になった。
「これから、よろしくね! 二人とも!」
アルトの言葉を皮切りに、三人は顔を見合わせる。
そして――。
「「「よろしく」」」
三人は笑い合った。
この二人に出会うまで、アルトは学院生活は一人になるかもしれないと思っていた。
レベルは四。
周りは自分よりずっと強い人ばかり。
それに、アルトには知られてはいけない秘密がある。
だからこそ、友達なんてできないかもしれない。
そう思っていた。
だけど――。
「アルト! 昼飯一緒に食おうぜ!!」
「いいね!」
「......二人とも。その前に教室の場所はきちんと分かっているのか?」
「「あ......」」
「ハァ。まったく。先が思いやられるぞ?」
セドリックのため息に、アルトは恥ずかしくなり、ガイゼルはというと――。
「バ、バカにすんじゃねぇ!! それくらい分かってらぁ!!」
「......ほう? じゃあどっちだ?」
「......こっちだ!!」
ガイゼルは自信満々に左を指差した。
しかし、セドリックは呆れてため息をついた。
「ハァ。まったく。逆だバカゼル」
「な、なにぃ?!」
「ふふ。ガイゼルったら。」
アルト達は笑いながら、校舎の中へと歩き出した。
セドリックが先頭を歩き、アルトがその隣を歩く。
そして、少し遅れてガイゼルがついてくる。
「おい待て! オレ様を置いていくな!!」
「遅いぞ、バカゼル」
「~~!! さっきから何度バカゼルって呼んでくるんだ!!」
「バカだからに決まってるだろう?」
「ふふっ」
こんな風に三人で笑い合う時間が、ずっと続けばいい。
アルトは、そんなことを思っていた。
――ここから、アルト達三人の学院生活が始まる。




