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レベル4の落ちこぼれ勇者候補、死にかけたら勇者の力が覚醒しました  作者: 朱音小夏


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第21話

 ***


 ――夕食を食べ終え、アルト達は寮の部屋へと戻っていた。


「ふー。食べた食べた! お腹いっぱい!!」

「......その細い身体のどこにあれだけのものが入るのか......」

「んふふ。ご飯はいっぱい食べなきゃ力が出ないからね!!」


 そう言うと、アルトは満足そうにお腹をさする。

 その隣でセドリックは呆れたようにため息をついた。


「お前に張り合って、ガイゼルまでとんでもない量を食べていたせいで、コックたちが困惑していたぞ」

「ガイゼルも凄いよね!! 僕についてこれる人初めてだったよ!!」


 ――セドリックは知っている。

 食後、ガイゼルが口を押えトイレに向かって行ったことを。


「さぁ、明日は入学式だ。早めに寝るぞ」

「そうだね。......ん?」

「どうした?」

「外から何か音が......」

「......音?」


 セドリックが耳を澄ませる。

 ――カタン。

 たしかに聞こえた。


「......誰かいるな」

「見に行ってみよう」

「危険だ。オレが行ってくる」 


 アルトはセドリックに「待って」と言った。

 そして――。


「守られていたら勇者にはなれないよ。セドリックも知ってるでしょう? こう見えて僕は強いんだからね!!」

「......まったく。仕方ないな」


 そして二人は音のする方へと向かって行った。




 ***


「......ここか」


 寮の裏手。

 そこには、数人の男達が集まっていた。


「アルト・レイン......。食堂で見たけど女みてぇな顔してやがったな」

「オレ達に話を持ってきた連中も男にしてはなかなかな顔だったが、こいつには勝てねぇな」

「おい。あんまり無駄口叩くな。人に見つかったらどうする」


 一際大きい男が他の男達を制する。

 ――こんな連中がこの学院にいるなんて。

 アルトは心底ガッカリした。

 そして、木剣を握りなおすと、バレないように近づいた。

 しかし、足元の枝を踏んでしまい、パキリと音を立てた。


「!! 誰だ!!」

「チッ!! こっちだよ!!」


 アルトはそういうと地面を強く蹴った。

 一気に跳躍し、男の頭上へと躍りでる。

 そして、男に向けて力いっぱい木剣を振り下ろす。

 大男の脳天に直撃し、男は気絶する。

 それを見た他の連中は怯みだし、逃げようとしたが、セドリックがそれを許さない。


「せ、セドリック様......。ご、ごきげんよう......」

「ごきげんよう。さようなら」

「ぐあっ!!」


 セドリックは男どもを一人残らず蹴散らした。


「セドリック!! 大丈夫?!」

「こっちは一掃した。......!! アルト!! 後ろ!!」

「え?」


 ――油断した。

 まさか後ろにも隠れていたとは。


「へ、へっ!! 油断大敵だぜ?」

「......せ」

「あん?」

「離せって言ってるんだよ!!」


 アルトはそういうと、肘打ちをお見舞いした後、怯んだ腕を掴んだ。

 ――そして。


「父さん直伝!! ――一本背負い!!」


 大柄な体が宙を舞った。


「......れ、レベル四じゃ......なかったの、かよ」

「レベルが低いからって、僕が弱いとは限らないよ」


 その言葉に、セドリックは思わず微笑んだ。


「......そうだな」


 ――やはり、アルトは強い。

 そして自分が守るのは彼女の身体だけではない。

 彼女の抱いている、この夢そのものなのだ。

 その夢が、誰かに踏みにじられないように。

 自分は、この少女の傍にいるのだ。

 ――そう心に決めた。


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