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ブランクアームズ ‐隻創の鎧‐  作者: 秋久 麻衣
第二十七話 -天才の玩具箱-
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殉教の群れ


 白の重装が猛進し、身の丈以上はある騎槍を振り回す。槍の斬撃は黄金の衝撃波を伴い、首のない化け物達を次々と両断していく。コアを破壊されたアロガント達が、次々と爆散する。

 エイトとゼロの《アーマードロウ》レリクスは、ひたすらに前進と斬撃を繰り返していた。首のない化け物、アロガント達は胴体にある口腔を開き、ご馳走を喰らおうとするも近付く事すら出来なかった。

 翡翠と黄色の軽装、緑と光の《シールディア》レリクスも、《アーマードロウ》と同じく前進していた。手には棒状の大剣、ストライクソードを握ってはいたが、まだ一度も振るっていない。周囲を飛び交う三基のサテライトシールドがそれぞれ光輪と化し、近付こうとするアロガントを引き裂いては炸裂させていた。

「この数、まさかここまでするとはな。度し難い」

 正面から突っ込んできたアロガントを騎槍で叩き潰しながら、エイトは、《アーマードロウ》は珍しく毒突いた。

「レリクトの残滓が観測出来ました。おそらく無色無臭に加工されています。それを使って、施設を丸ごと汚染したようです」

 たまらず逃げようとするアロガント、その背を光輪で穿ちながら緑は、《シールディア》は惨状を説明する。

 アロガントのステージ数は低く、体躯もまだ成長しきっていない。それ故に、どこか人間らしい装いをしている個体もいる。千切れ掛けた白衣が肉の間にはためいている個体に、実験体が着用しているような患者衣が足に引っ掛かっている個体もいる。

「ドクターも実験体も関係なく、全てを。酷すぎます」

 緑が吐き捨てるように告げる。

「ここに唯がいなくて良かった。少なくとも俺達だけなら冷静を保てる」

 《アーマードロウ》と《シールディア》は同時に足を止めた。《シールディア》は三基のサテライトシールドを呼び戻し、それらを盾として展開する。一方、《アーマードロウ》は身構えるだけで良かった。

 壁面や天井がひっくり返り、レリクトで強化されたボールベアリング弾が射出される。肉という肉、物という物を引き裂いたボールベアリング弾は、しかし二騎のレリクスには及ばなかった。《シールディア》のサテライトシールドは素早く動いて弾を防ぎ、《アーマードロウ》の重装にはそもそも効いていなかった。

「トラップか」

「ですね」

 エイトと緑が互いの無事を確認していると、垂れ下がったスピーカーがノイズを鳴らし始めた。

『なかなかやるじゃん! 白い方の鎧は飾りじゃないみたいだし、緑の方が使ってる子機は想定よりもバカ速い! さすがはレリクスって感じ? じゃあこういうのどうよ!』

 軽薄な声に口調、ドクター・ミリだ。

 部屋の奥から機械の兵士達がぞろぞろと現れた。それは簡素な量産機、《アウター》レリクスだ。以前見た個体と違い、空洞だった筈の胴体に一本のシリンダーが装填されていた。

 一歩踏み出そうとする《アーマードロウ》を、《シールディア》がストライクソードで静止する。《シールディア》はサテライトシールド一基を光輪にし、《アウター》レリクスを撃ち抜く。

 その瞬間、比喩ではなく空間が揺れた。胴体に組み込まれたシリンダーがひび割れ、瞬く間に爆発したのだ。

「初歩的なレリクトボムです。技術としては基本系ですが、それ故に破壊力は馬鹿に出来ません」

 爆発の間を縫うようにして、射出したサテライトシールドが《シールディア》の下に帰還する。

「遠距離戦か、これと同程度の速度で避けるしかないです。組み付かれたら、その装甲でも穴が空きますよ」

 緑の、《シールディア》の説明を受け、《アーマードロウ》はふむと頷く。

「留意しよう。助言感謝する」

 連鎖爆発によって、正面にいた《アウター》の群れは全滅していた。しかし、そこかしこの壁面がスライドし、その度にぞろぞろと湧いているのが見える。

『ネタばらしも速いって笑えないんですけど? まあ、本番はこれからだし? オド、じゃんじゃん出してこ!』

 ミリの耳障りな声を無視しながら、《アーマードロウ》はブラスターパックを形成し光弾を連射しながら前進する。

「アロガントにトラップ、自走機雷への対処をしつつ、ドクター二人を確保か。それも、逃げ足だけは速い相手を」

 《シールディア》は膝に戻していた二基のサテライトシールドを再展開し、一基を膝に戻してレリクトを充填する。アクティブになった二基を適宜射出しながら、《アーマードロウ》と共に前進していく。

「やっぱり唯くんがいた方が良かったかもですね」

「《ブラスト》や《アブレイズ》がよく機能しそうな局面だな」

 共通の友人の名を出し、二騎は束の間であっても笑みを交わす。

「……突破する!」

「駆け抜けます!」

 モンスターハウス兼トラップハウスと化したプラトーの施設を、二騎のレリクスは愚直に突き進んでいった。

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