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前世の記憶?厨二ノート?無駄に派手な異世界冒険譚!  作者:
【第8章】新たな拠点、街づくりの始まり

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【77話】黒歴史から思い出へ

銭湯の暖簾を初めて掲げた日、ノクシアはいつも以上に賑わっていた。


「おお、広いな!」


「これが噂の風呂か!」


浴場からは冒険者たちの声が響いてくる。


湯気の立ち上る大きな浴槽。

洗い場には順番待ちの列までできていた。


「石鹸入浴剤、もう一つください!」


受付ではフィオナが忙しそうに動き回っている。


「はい!ただいまお持ちします!」


セラは腕を組みながら浴場を見渡した。


「思った以上に来てますね」


「うん」


隣にいるリュカが静かに頷く。


「これなら、しばらくは忙しくなりそう」


ルシアは楽しそうに笑っていた。


「いいじゃないか。街って感じがする」


その様子を、俺は少し離れた場所から眺めていた。


最初は、冒険者を目指して旅に出た。


そこから少しずつ仲間が増えて、

商品を作って

食堂ができて、

店が広がって、

そして銭湯までできた。


気がつけば、この場所は立派な街になっていた。


「トウマさん!」


フィオナが駆け寄ってくる。


「石鹸入浴剤、すごく売れてます!」


「それはよかった」


俺は少し笑った。


「今日はこのまま忙しそうですね」


「はい!」


フィオナは元気よく頷くと、また受付へと戻っていった。


銭湯の営業が終わったのは、夜も遅くなってからだった。


街は静かになり、灯りだけがぽつぽつと残っている。


俺は銭湯の前に立ち、ノクシアの街を眺めていた。


湯気の残る屋根。


食堂の灯り。


遠くから聞こえる笑い声。


「ここにいたんだ」


後ろから声がした。


振り返ると、リュカが立っていた。


「少し街を見てただけだ」


俺が言うと、リュカは隣に並び、同じように街を見た。


「すごいね」


ぽつりと呟く。


「最初は小さなお店だったのに」


「そうだな」


俺は少し笑う。


「気がついたら、ここまで来てた」


しばらく二人で街を眺めていた。


そしてリュカが言う。


「覚えてますか?」


「何を?」


「前、黒歴史ノートを見せてくれた時」


俺は思わず苦笑する。


「忘れてくれ」


「無理」


リュカは小さく笑った。


「でも」


少しだけ間を置いて言う。


「そのノートがなかったら」


「この街も、なかったんだよね」


俺は何も言わず、街を見る。


灯りのある家。


笑っている人たち。


賑やかな食堂。


そして湯気の上がる銭湯。


リュカが静かに言った。


「悪くない黒歴史だったと思う」


その言葉に、俺は少しだけ笑った。


その時だった。


「トウマ様!」


食堂の方からセラとフィオナの声が聞こえる。


「風呂空いたぞー!」


ルシアの声まで混ざっていた。


リュカがくすりと笑う。


「呼ばれてるね」


「だな」


俺は頷いた。


二人で食堂の方へ歩き出す。


黒歴史ノートから始まったこの物語。


けれど今は、もう違う。


ここは――


俺たちの立派な思い出だ。


夜のノクシアには、まだ灯りが残っていた。


そして今日も、この街は賑やかだ。

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