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竜機兵物語~難易度ベリーハードのシミュレーションRPGの世界に転生しましたが、鍛え上げたアバターと専用機で無双します~  作者: 河原 机宏
第十五章 蒼穹の果てには

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機動天使ヴァーミリオン

 俺がシステムTGについて色々と考え込んでいるとヒシマさんが口を開いた。


「ヤマダと話してみたんだが、システムTGには何か別の思惑があるんじゃないかと思うんだ。それを確かめる事が出来るのは、ハルト……多分お前だけだ。あいつに勝って奴の本音をぶちまけさせろ。その為に俺とヤマダがしっかりサポートする」


「はい、ありがとうございます!」


「良い返事だ。心配すんな、俺とヒシマがちゃんと付いてるからな。――さて、それじゃある意味ここからが本題なんだが……ハルトよ、『機動天使ヴァーミリオン』ってロボットゲーム知ってるか?」


「ヴァーミリオン? ちょっと待って下さい。どこかで聞いたことがあるような……」


 多分俺がプレイした事の無いゲームだ。でも、その名前には聞き覚えがある。

 ――っ!! そうだ、思い出した!


「血染めのヴァーミリオン! 確かラストステージ直前で攻略不可能レベルの超弾幕ステージがあって全面クリアを成し遂げた者がいないと言う死にゲーじゃないですか!」


 死にゲー……それは攻略が難しく文字通りプレイアブルキャラクターが死にまくるゲームだ。

 この難易度の微妙なさじ加減でやり応えのある神ゲーになるのか単なる調整ミスのクソゲーになるのかに分かれる。


「おっ、よく知ってたなぁ。俺たちが前世のガキだった頃のロボットアクションゲームなんだが、その弾幕ステージの悪評と主人公機ヴァーミリオンの機体カラーが赤だった事から血染めのヴァーミリオンとか言われてたんだよ。マジで死にまくったからなぁ」


「そのレトロゲームがどうかしたんですか?」


 ロボットゲームだから興味はあったものの古い上にクソゲー認定されていたゲームだったから動画配信もされていない謎の存在だった。

 噂ではロボットのデザインは秀逸だったらしいがゲームの評価が今一だったのでロボットの立体化には恵まれなかった。非常に残念。


「その『機動天使ヴァーミリオン』なんだが、ある惑星での戦争とそこで活躍する主人公のストーリーになってる。まあ、ビーム兵器とかミサイルとかで戦うリアルロボット系の作品だな」


「へえ、俺そう言うの好きですよ。大量のミサイルが放物線を描いて目標に命中する瞬間とか大好物です」


「俺たちもそのシチュエーション好き。それで主人公が物語中盤から搭乗する機体がヴァーミリオンなんだが、こいつは空を飛ぶ時に頭上に天使の輪みたいなものが発生するんだよ」


「へぇ、天使の輪ですか。綺麗ですねぇ……えっ! 天使の輪っか!?」


 頭上に天使の輪が発生する機体なんて既視感にも程がある。そんなの熾天セラフィム機兵シリーズの特徴と丸かぶりじゃないか。何たる偶然!


「そんでもってストーリー中には軌道エレベータやマスドライバーも出てきてそれらの施設の防衛ステージもあった」


「ちょちょちょ、ちょっと待って下さい! それってまさか――」


「そう、『機動天使ヴァーミリオン』は『テラガイア』の前身となった世界での出来事を描いている。今から何十万年も前に惑星を滅ぼしかけた全面戦争だ。俺もヒシマもこんな昔のゲームの事なんて忘れていたし、まさか『竜機大戦ヴァンフレア』と同一世界なんて思わなかったからさ。でも軌道エレベータとかマスドライバーの話を昨日聞いてな、その時に思い出したんだよ」


「で、でも軌道エレベータやマスドライバーは色んなSF作品に出てきますし、必ずしも同じ世界って訳じゃないのでは?」


 かなり共通点は見られるが勘違いと言う可能性もある。でも、自信満々な表情をしている二人の様子からするとまだ二つのゲームを繋ぐ共通点がありそうだ。


「ちなみにシステムTGが残したデータの各施設の情報なんだが、ヴァーミリオンの攻略本に載っていた設定とまんま同じ。ちなみに劇中のラストステージはオービタルリングでの戦闘でした」


「マジですか……」


「ちなみにヴァーミリオンを作ったのは『株式会社モノアイ・ソフトウェア』だ。当然、聞き覚えがあるだろ、ハルト?」


「……当たり前でしょう。それって『竜機大戦ヴァンフレア』を作った会社じゃないですか。もうこれ確定じゃないですか! ヴァーミリオンとヴァンフレアは同じ惑星の話でしょうよ!!」


 俺が認めると二人は大笑いしていた。それにしても二つのゲームが繋がっていたなんて興味深い。

 『機動天使ヴァーミリオン』をプレイしていなかった事をこんなに悔やむ日が来るとは思いもしなかった。


「あの会社はヴァンフレアもそうだが、攻略難易度がやたら高いゲームを作ってくるんだよな。一般的にはクソゲーかもしれないが、やり応えがある分、俺たちみたいなゲーマーにとっては神ゲーなんだよなぁ。時々完全に難易度調整ミスるけど……」


「俺とヤマダはヴァーミリオンを夢中でプレイしていてな。攻略本はすり切れるほど読み込んだし、例の弾幕ステージも含めラストステージもクリア済みよ」


「本当にヤマダさんとヒシマさんはハンパないですね。もしかしてお二人が先発隊なのは……」


「お察しの通りよ! 俺たちは攻略本を読み込んだって言ったろう。その半分ぐらいは設定集みたいなものだったんだが、そこには軌道エレベータやオービタルリングの内部構造に関する設定も載っていたんだ。システムTGのデータには無かった情報もあったんで、それはマドックさん達に情報提供した。それらの情報を諸々合わせて今回の作戦を立てたんだよ。その上で先発隊に志願したわけ。俺たち以上の適任者はいないだろう?」


「確かに。これなら不測の事態が起きても心配なさそうですね」


「……とは言っても、何が起きるか分からないからな。一応お前にも俺たちが覚えている設定集部分の話をしておくよ」


 二人から聞いたのは随分と濃密に作り込まれた設定の話だった。途中でティリアリアが用意してくれた軽食と飲み物を飲み食いして休憩を挟み、気が付いたら日付が変わっていた。

 作戦に関する重要な話ではあったが、俺たちの趣味に関する話でもあったので情報はすんなりと頭の中に入ったし実に楽しい時間だった。

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