EPISODE.60話〘四天王集結!洞窟に潜む黎極黒虹翼龍〙
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翌日、俺たちは【光冥乃氷輪】のギルド団宿舎で朝を迎え、部屋でゆっくり過ごしていた。
すると、部屋の扉がノックされた。
俺がドアを開けると、そこにはインザクさんが立っていた。
「やあ、昨日はよく眠れたかい?」
「お陰様でゆっくり休めました。」
「そうか。それは良かったよ。」
インザクさんは少し表情を引き締める。
「ところで、本題に入るけど……実は君たちの力を借りたい。ある討伐依頼クエストなんだ。」
「その討伐する敵の名は?」
「……黎極黒虹翼龍オードラレックだよ。」
「「な……黎極黒虹翼龍オードラレック!!」」
俺たちは予想外の名前に驚きを隠せなかった。
「でも、何故俺たちに協力依頼なんすか?」
「実はオードラレックの出現場所が……」
「その先の話は、私が説明しよう。」
突然聞こえた声に、俺たちは振り向いた。
「「商業ギルド長ルージュさん!?」」
「トレン、リョウ。久しぶりだね。」
ルージュさんは静かに頷きながら話を続ける。
「先程インザクが言った出現場所だが……グラディア山岳の洞窟だ。しかも、君たちの所有している洞窟だよ。」
「な……何故そこに、黎極黒虹翼龍オードラレックが……!?」
「実は、我々【光冥乃氷輪】が討伐依頼クエストを受けていたんだ。」
「だが、ヤツは……アイツらが居なくなった事で縄張りを拡大し始めてな。」
その言葉を聞いた瞬間、俺とリョウはすぐに察した。
「もしかして……俺たちが殲滅した敵、虹翼ルガーギス。」
「そしてもう1体、【月乃轟璃雷】と共闘して倒した黒炎翼ラウザーバードっすか!?」
「……その通りだ。」
「「そんな……!!」」
俺たちはしばらく言葉を失っていた。
インザクさんは静かに話を続ける。
「オードラレックは現在、君たちの所有する洞窟に居る事は間違いない。」
「ただし、所有者である君たちの許可が無ければ正式な討伐が出来ないんだ。」
インザクさんによると、俺たちが以前採掘した場所までの範囲なら討伐は可能だったらしい。
しかし討伐の最中、ヤツは俺たちがまだ採掘していない洞窟の更に奥へ逃走したという。
そして、その説明と共に、今回俺たちへ招待状が届いた経緯も話してくれた。
「内容は理解しました。許可しますよ。」
「俺たちも黎極黒虹翼龍オードラレック討伐協力依頼クエストに参加します。な、リョウ。」
「当然っす。やるっすよ。」
「そういう事で、インザクさん。一緒に討伐しましょう。」
インザクさんは小さく笑みを浮かべた。
「トレン、リョウ……感謝する。」
「君たちの協力は本当に助かる。」
「俺たち【光冥乃氷輪】だけじゃない。【月乃轟璃雷】も君たちに協力する事になった。」
「そしてもう1つ――【炎國乃黎闘翠】も協力すると言ってきてくれたよ。」
「俺たち各ギルド団は、君たちに全面協力する。よろしく頼むよ。」
「これで決まりだな。」
「では本日より、【ギルド四天王】とトレン・リョウによる共闘討伐依頼クエストを正式に提出しておく。」
「「【ギルド四天王】!?」」
俺たちは思わず顔を見合わせた。
すると突然、アナウンスが流れる。
【おめでとうございます。初めてNPCギルド団【炎國乃黎闘翠】と友好関係になりました。今後、協力・護衛などの支援要請が可能になります】
――ちょっと待ってよ!!
何で今このタイミングなんだよ!?
【炎國乃黎闘翠】の皆さんが居ないのに、何で友好関係になるんだよ!?
しかも【ギルド四天王】って情報の直後にアナウンス!?
情報量が多過ぎて整理追いつかないんだけど!?
なんでそうなるんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
俺は心の中で怒涛のツッコミを叫んでいた。
「トレン、リョウ。1時間後、ウルティと一緒に作戦室へ来てくれ。」
「分かりました。」
「じゃあ後でな。」
インザクさんとルージュギルド長は部屋を後にした。
部屋に静けさが戻る。
「……とんでもない事になって来たっすね。」
「……ああ。」
「【ギルド四天王】だったとはな。」
「【月乃轟璃雷】【光冥乃氷輪】【炎國乃黎闘翠】……その3つの最強ギルド団が共闘するって事は、それだけヤバい敵って事だ。」
「そうっすね。とりあえず準備しますか?」
「いや、作戦会議が終わった後でいいだろ。すぐに向かう訳じゃないはずだ。」
「了解っす。」
俺たちは色々と話しながら、作戦会議までの1時間を過ごした。
すると再び扉がノックされた。
「トレン君、リョウ君。居る?」
聞こえて来た声に反応してドアを開ける。
「ウルティさん。」
「呼びに来たわ。作戦室へ案内するわね。」
「お願いします。」
俺たちはウルティさんに案内され、作戦室へ向かった。
「インザク、トレン君とリョウ君を連れて来たわよ。」
「来たか。これで全員揃ったな。」
「ちょっと待って! アイツらは? まだ来てないけど?」
「あいつらは別件の討伐依頼に出ていてな。今回は来れなかった。」
「あの、ウルティさん。アイツらって誰なんですか?」
「そっか。トレン君たちはまだ会ってなかったわね。インザク、まだ話してなかったの?」
「ああ。でもその内、トレンたちも近いうちに会う事になるだろう。」
「とりあえず作戦会議を始めるぞ。」
俺たちは不思議に思いながらも、作戦会議へ集中した。
「今回討伐するのは黎極黒虹翼龍オードラレックだ。」
「本来ならグラディア山岳火口内部に生息していたはずなんだが、1週間前、突然縄張りを拡大し始めたという報告が入った。」
「その前は、黒炎翼ラウザーバードが火口付近を縄張りにしていたが、徐々に行動範囲を広げていた。」
「その時、俺たち【月乃轟璃雷】とトレン・リョウ達によって殲滅された。」
「更にその前は、虹翼ルガーギスがグラディア山岳中腹の草原地帯を縄張りにしていた。」
「それは俺たちが殲滅した。」
「そうだ。」
「だが黎極黒虹翼龍オードラレックは、本来なら火口から出て来ないはずなんだ。」
「だが、俺たち【光冥乃氷輪】が調査した時、冒険者達の装備品が大量に散乱していた。全員死亡していたよ。」
部屋の空気が重くなる。
「それだけじゃない。」
「原因は死亡した冒険者達にある。ヤツらは黎極黒虹翼龍オードラレックの卵を狙っていたんだ。」
「っ!? ま、まさか……!」
「ああ。卵を捕獲する目的だった。各ギルドでは特定危険種の卵捕獲は禁止されている。」
話を聞いている内に、俺はある可能性に気付き、インザクさんへ質問した。
「インザクさん。その死亡した冒険者達の装備品って、今どうしていますか?」
「装備品なら我々が保管しているが……何故だ?」
「少し気になる事があるので……。」
「分かった。作戦会議後で良いかい?」
「大丈夫です。」
「よし。では話を続けるぞ。」
インザクさんはそのまま作戦内容を説明していく。
「討伐決行日は2日後。」
「俺たち【ギルド四天王】とトレン・リョウで黎極黒虹翼龍オードラレックを殲滅する。」
「それまで各自準備を頼む。以上だ。」
作戦会議は終了し、それぞれ解散となった。
その後、俺たちはインザクさんに案内され、とある部屋へ向かった。
「これが死亡した冒険者達の装備品だ。」
俺はインザクさんに聞こえないよう、小さく呟きながら【鑑定】を発動した。
すると案の定――装備の所有者はプレイヤー達だった。
……この装備じゃ、まず勝てないだろ。
レベルだけなら俺たちより上だ。
だが、装備構成も連携想定も甘過ぎる。
正直、俺から言わせれば無謀だった。
多分、運営側からも何らかのペナルティは入るだろうな……。
「インザクさん、もう大丈夫です。装備品を見て、かなり危険な敵だって理解しました。」
「そうか。ならいいが、トレンたちも無理だけはしないでくれよ。」
「じゃあ2日後、ギルド団ホーム前で頼むな。」
「「了解!!」」
俺たちはそれぞれ部屋へ戻り、迫り来る決戦に備えるように、ログアウトして静かに夜を迎えるのだった。
明日も1話分投稿になります。
ご了承下さい。
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