EPISODE.142話〘託されし双刃と覚醒火喰種獣最終戦〙
覚醒した黎極麗火獣ヴォルレッグタイガーは、異様な気配を放っていた。
その姿は、もはや災厄そのもの。
だが――。
トレンとリョウは静かだった。
火の大精霊イフリードライムから事情を聞いている二人は、怒りを押し殺しながら、冷静にヴォルレッグタイガーを睨みつけていた。
そしてトレンは気付く。
ヴォルレッグタイガーの身体へ絡み付く火の精霊たちから、今なお魔力が吸い取られている事に。
その瞬間――。
トレンの集中力がさらに高まった。
本人は気付いていない。
だが明らかに、周囲へ凄まじい威圧を放っていた。
[行くぞ!! リョウ!!]
[了解っす!!]
トレンとリョウは同時に装備を切り替える。
トレンは双剣。
リョウは二刀。
そして次の瞬間――。
[まずは俺が先に行く!! 【超龍神速】!!]
ドシュッ――!!
トレンは地面を強く踏み込み、一気に加速した。
ヴォルレッグタイガーですら、その姿を見失う。
[どこを見ている――俺はここだ!!]
[喰らいやがれ!! 【斬影天翔】!!]
トレンは【黎極黒神龍双剣】を回転させながら、凄まじいクロス斬撃を連続で叩き込む。
[カォォォォォォォォォ!!]
さらに追撃。
[まだだ!! 【暗黒神龍斬】!!]
ザシュッ――!!
ヴォルレッグタイガーの尻尾が切断された。
[ギャァァォォォォォ!!]
その瞬間――。
エアネスが即座に尻尾を回収する。
そしてトレンは迷わず【ワープ】を発動。
エアネスを瞬時に離脱させた。
なぜトレンが尻尾を切断し、即座に回収させたのか。
それは戦闘前――。
トレンが【捜査】によって、火の精霊たちの拘束位置を把握していたからだった。
精霊たちは三箇所に囚われていた。
尻尾。
背中。
そして――体内。
ヴォルレッグタイガーは、火の精霊たちを喰らい、胃の中で魔力を吸収していたのだ。
だからこそ、トレンとリョウは攻撃よりも先に、“救出”を優先していた。
さらに【翠烈陣氷帝】のメンバーたちも、それを理解し、精霊たちへ被害が及ばないよう連携していた。
[オラァァ!! 【牙突一閃連撃】!!]
デルタスが巨大な大剣を槍のように繰り出し、連続突きを叩き込む。
その直後――。
背後から現れたギールオルドラが構えた。
[ハァァァァァァァ!!]
[喰らえ!! 最終型闘格奥義――【煉舞烈脚衝撃乱舞】!!]
ついに放たれる。
師匠ネイザーラルファ直伝――最終型闘格奥義。
ギールオルドラの蹴撃が、ヴォルレッグタイガーを空中へ打ち上げた。
そこから始まる怒涛の連撃。
舞うような高速脚撃。
回避しようとするヴォルレッグタイガーを逃さず、さらに追撃を重ねていく。
そして最後――。
[ハァァァァァァァ!!]
ドゴォォォン!!
ギールオルドラの蹴りが炸裂し、ヴォルレッグタイガーを地面へ叩き落とした。
[今だ!! トレン!! リョウ!!]
[[ハァァァァァァ!!]]
[【黒神龍双】!!]
[【居合抜刀剣】!!]
ザンッ――!!
ヴォルレッグタイガーの背中が斬り裂かれる。
[ナイトディラン!! 【狼神速】!!]
[ワォォォン!!]
ナイトディランが音速で突っ込み、背中から浮き上がった火の精霊たちを回収する。
その瞬間、トレンが再び【ワープ】を発動。
ナイトディランを即座に離脱させた。
[これでようやく本気でやれるな、リョウ]
[そうっすね。残るは体内だけっす]
その時だった。
ヴォルレッグタイガーが凄まじい速度で突撃してくる。
[[トレン!! リョウ!!]]
【翠烈陣氷帝】のメンバーたちが叫ぶ。
だが――。
トレンとリョウは冷静だった。
[[ハァァァァァァ!! オラァァ!!]]
ドゴォォォン!!
二人は拳でヴォルレッグタイガーを殴り飛ばした。
[カォォォォォォォォォ!!]
ヴォルレッグタイガーは岩壁へ激突する。
[覚悟しろ、クズが……!!]
[テメェは俺を怒らせた!!]
[容赦しねぇぞ!!]
[ここからは、俺たちを舐めてた事を後悔しろ!!]
二人の集中力は、さらに高まっていく。
そして――。
ついに“ゾーン”へ到達した。
[……リョウ。アレを使うぞ]
[…了解っす]
再び装備チェンジ。
その瞬間――。
【翠烈陣氷帝】のメンバーたちは息を呑んだ。
[……な、なんだ……あの武器は……]
[凄まじいオーラが漂ってる……!!]
[異常な気配すら感じるぞ……]
[ギールオルドラ? どうした?]
ギールオルドラは静かに呟く。
[……トレンたちの武器から、“今まで倒してきた敵”の気配を感じるんだ]
[[[[えっ!?]]]]
[確証はない……だが、そう感じる]
ミューレイミたちは驚愕する。
だがローリエナは静かに頷いた。
[……今は、トレンたちを信じましょう]
[ああ。最後は二人に任せるしかねぇ]
ギールオルドラは静かに笑う。
[トレン、リョウ……最後は任せたぞ]
その瞬間――。
[カォォォォォォォォォ!!]
ヴォルレッグタイガーから漆黒のオーラが噴き上がった。
[まだ隠してたのかよ……!!]
[でも、これで最後っすね]
[ああ――]
トレンは双剣を構える。
[行くぞ!!]
[ヴォルレッグタイガー――最終決戦だ!!]
こうして――。
トレンとリョウによる、覚醒黎極麗火獣ヴォルレッグタイガーとの最終決戦が幕を開けるのであった。




