EPISODE.139話〘受け継がれる武神覚醒と反撃の狼煙〙
【翠烈陣氷帝】ギールオルドラ・ヴァイザー・デルタスVS黎極麗火獣ヴォルレッグタイガー激闘編を
お送り致します。
最後まで読んで頂けたら幸いです。
トレンの激闘を目の当たりにした【翠烈陣氷帝】のメンバーたちは、自然と身体が動き出していた。
誰一人として立ち止まる者はいない。
トレンとリョウを救うため、全員が戦場へ駆け出していく。
………………………数分前…………………………
トレンとリョウが、黎極麗火獣ヴォルレッグタイガーと激闘を繰り広げていた頃――。
ギールオルドラは、その戦いを見つめながら、自問していた。
(トレンとリョウの集中力……異常だ)
視線は、一瞬たりとも二人から離れない。
(だが、あの領域の動きは……師匠、ネイザーラルファだけが辿り着いていた領域のはずだ)
ギールオルドラは無意識に拳を握り締める。
自分には、まだ何かが足りない。
何が違う? 何が欠けている?
強くなったはずだった。
それでも、まだ届かない。
そんな時だった――。
トレンが大ダメージを負いながらも、エアネスを庇い、即座に奥義を発動したのだ。
[なっ……!? 自分の血を代償にする奥義だと……!?]
ギールオルドラは戦慄した。
凄まじい執念。
諦めない信念。
決して折れない闘争心。
トレンとリョウの戦いから、それら全てが伝わってくる。
その瞬間――。
ギールオルドラの中で、何かが弾けた。
本能が理解したのだ。
[……そうか]
師匠ネイザーラルファの言葉が脳裏に蘇る。
『まだ足りない。自惚れるな。 今のままでは、強いだけだ。 本当の強者には届かん。 それに気づかなければ――死ぬぞ』
[……やっと分かった気がするよ、師匠]
ギールオルドラは、ついに答えへ辿り着いた。
そして――。
[トレン、リョウ……本当に感謝する。今度は、俺たちがヤツを倒す!!]
……………………そして現在………………………
[ローリエナ!! ミューレイミ!! 援護しろ!!]
[ええ!!]
[任せて!!]
[俺たちがトレンとリョウを助ける!! いくぞ!! ヴァイザー!! デルタス!!]
[[了解!!]]
その瞬間――。
ギールオルドラの身体から、凄まじい闘気が溢れ出した。
[ハァァァァァァァァァァ!! 我が名はギールオルドラ!! 今こそ解放せよ!! 汝の力、我に応えよ――【聖賢武神】!!]
轟音と共に、神々しい闘気が解き放たれる。
[ギールオルドラ……まさか……!]
[師匠ネイザーラルファ様の【聖賢武神】……ついに覚醒したのね]
ローリエナとミューレイミは、その力に気付いていた。
ネイザーラルファの継承スキル――【聖賢武神】。
これまでギールオルドラが扱えていたのは、その前段階である【賢武闘】のみ。
だが今、ついに覚醒したのだ。
真なる継承者として――。
[ギールオルドラ……ついにやったな]
[話は後だ。ヴァイザー、デルタス。今はトレンとリョウを救出してくれ。ヤツは俺が時間を稼ぐ]
[わかった。だが、トレンとリョウをローリエナたちに預けたら、俺たちも加勢するからな]
[トレンみたいに無茶するなよ]
[当たり前だ。安心しろ……信じてるからな]
ギールオルドラは、巨大な災獣を真っ直ぐ見据える。
[行くぞ――ヴォルレッグタイガー!! 【超聖神速】!!]
シュンッ――!!
次の瞬間、ギールオルドラの姿が掻き消えた。
あまりの速度に、ヴォルレッグタイガーですら反応できない。
警戒したヴォルレッグタイガーが周囲を見渡した、その時だった。
[どこを見ている……俺はここだ!! 喰らえ!! 【闘神覇拳】!!]
[カォォォォォォォォォォ!?]
ドゴォォォンッ!!
ギールオルドラの拳がヴォルレッグタイガーへ直撃する。
拳圧だけで大気が震え、凄まじい衝撃波が巨体を吹き飛ばした。
ヴォルレッグタイガーは岩壁へ激突し、大ダメージを受ける。
だが――。
ギールオルドラの追撃は止まらない。
[ハァァァァァ!! 【流演武舞】!!]
舞うような動きで接近し、連続攻撃を叩き込んでいく。
[カォォォォォォォ!!]
ヴォルレッグタイガーも迎撃するが、その攻撃は全て空を切った。
それはまるで、“流れる武術”。
無駄のない連撃。
そして――。
[【クロスナックル】!!]
強烈な一撃がヴォルレッグタイガーを上空へ打ち上げる。
さらにギールオルドラは間髪入れず跳躍した。
[【廻天鳳烈脚空舞】!!]
[【レイジーヴォール】!!]
[カォォォォォォォォォォ!!]
回避する暇すら与えない猛攻。
上空で繰り出される連撃が、ヴォルレッグタイガーを容赦なく追い詰めていく。
その戦いを見たメンバーたちは、思わず息を呑んでいた。
[凄い……流れるように繋がってるわ]
[【聖賢武神】へ覚醒した事で、完全に無駄な動きが消えてる……]
[ああ、一つ一つの技が独立してねぇ。全部が“一連の動作”になってるぜ]
[まるで師匠ネイザーラルファ様の戦い方だな……]
ヴァイザーは静かに呟く。
そして視線をローリエナたちへ向けた。
[それじゃ、トレンとリョウを頼む。俺とデルタスはギールオルドラの援護へ向かう]
[ええ。二人の回復は任せて。従魔たちも心配してるしね。]
ヴァイザーとデルタスは頷き合い、そのまま戦場へ駆け出していった。
一方――。
ギールオルドラは、ヴォルレッグタイガーの視線が完全に自分へ向いている事を察知していた。
(ヘイトは完全に俺へ向いたか)
[ふぅ……本当にタフだな。よくトレンとリョウはここまで戦っていたもんだ]
ギールオルドラは小さく笑う。
だが、その表情に慢心はない。
[俺はまだ未熟だ。だが……トレンとリョウが回復するまで、俺たちが時間を稼ぐ!!]
その直後――。
ヴォルレッグタイガーが再び咆哮の予兆を見せた。
[来るか……!! 【多重障壁】!! 【プロジェクトバリア】!!【マジックミラーシールド】!!]
瞬時に複数の防御障壁が展開される。
そして――。
[カォォォォォォォォォォォォォォォ!!]
ヴォルレッグタイガーは二度目の“狂乱状態”へ突入した。
シュンッ!!
再び巨体が掻き消える。
だが――。
[そこだ!! 【掌圧拳】!!]
[カォォォォォォォォォォ!?]
ドゴォォォンッ!!
ヴォルレッグタイガーは死角からギールオルドラを狙っていた。
しかし、ギールオルドラは既に殺気を察知していたのだ。
[ギールオルドラ!! 加勢するぞ!!]
[ああ!! だが気をつけろ!! ヤツはまだ本気じゃなかった!!]
ギールオルドラは真剣な表情で二人へ告げる。
[ここからは全開で行かなきゃ、確実に殺られるぞ!! 頼む!! ヴァイザー!! デルタス!!]
[[了解!!]]
その瞬間――。
ヴォルレッグタイガーの身体から、これまでとは比較にならないほどの灼熱の闘気が噴き上がった。
[カォォォォォォォォォォォ!!]
[やっぱりな……今までは俺たちを舐めてやがったか]
[でも、トレンとリョウの戦いを見てたら、不思議と力が湧いてくるね。本当に感謝だよ]
[お喋りはそこまでだ!! 行くぞ!!]
[[おう!!]]
こうして――。
ギールオルドラ、ヴァイザー、デルタス。
三人による、黎極麗火獣ヴォルレッグタイガーとの激戦、第2ラウンドが幕を開けるのであった。
次回もお楽しみに
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