15 王都を散策する_18
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これから一日は、丸々フリータイムだ。
私(英子)にとって、こんな休暇はホンと久しぶりのことだった。
ホンの数か月前、……。
私は連日連夜、エース展という老舗の美術展公募対策に、日々を費やしていた。
バイトの合間のわずかな時間を工面して、ただひたすら絵筆を疾らせ続ける。
その結果、何とか締め切りには間に合ったんだけど、……。
でも、せっかく出した自信作が選外という扱いとなり、……。
私は、身体も心もボロボロとなった。
その後しばらくのことは、現在でも記憶が曖昧なんだけど、……さ。
私が深夜のコンビニバイトを終えて帰宅しようとした時、誤って大通りに出ちゃってさ。
危うく大型ダンプカーに引かれるところを、寸でのタイミングで斎木さんが救ってくれたんだ。
私は斎木さんに介抱され、そのまま意識を失ったと思ったら、……さ。
目を覚ましたら、何とそこは大病院の大部屋の一室だったんだ。
どうやらその時の私は、極度の疲労と寝不足と栄養失調で、いつダウンしてもおかしくなかったそうなんだ。
ふふっ。それが若さ故の過ちってヤツなんだろうね。
入院中、私のことを救ってくれた斎木さんは、毎日必ず会いにきてくれた。
ホンと、嬉しかったんだよ。
私って、こんな見た目をしているから、……。
元々、周囲からは大事にされ易かったりもするんだけどさ。
でも、こちらから誰にも連絡できなかったものだから、バイト先の人も友人達も、誰も病室までお見舞いにはきてくれなかったんだ。
これは、後で斎木さん本人から直接聞いた話なんだけど。
私が入院したという話は、極めて内密な話として、箝口令が布かれていたそうなんだ。
つまり、私が病院に隔離されたことで、斎木さんは異世界ゆきのプロジェクトのリクルーティングを、始めたってことらしいんだ。
それだけ、斎木さん達役所の人は、私が異世界に転移することを期待していたし、……。
そのためには、形振り構わず、役所の権限をフル活用して、私を囲い込んでしまおうとしたみたいだね。
王都にきてから、そのことで斎木さんから直接謝罪を受けたんだけど。
まぁ、こちらとしても、……。今さら怒ったりするつもりもないからさ。
その謝罪を、ちゃんと受け容れて上げましたとも。
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