ラビリンス。
まさかとは思うけどこれが扉を開ける合言葉?
書かれてる、というか落書きのように扉に刻んであるその言葉。
まるでわたしたちの声に反応するかのような赤い筋が光って走るその扉。確かにこの扉はまだ生きている。それに。合言葉は扉を開けるのに相応しいのかもしれない、けれど?
でも。
「まさかひらけごまだなんてね?」
そうわたしが呟いた、その時だった。
キランと青白い線が扉を周回するように走り、そして。
ガチャン、と鍵の外れる音。
その扉はズズズっと横に開くようにあき、中の通路がわたしたちの前に現れた。
それは、それまでのまるで肉の塊のような赤い壁ではない、金属のようなそんな通路だった。
「ははー。これは驚いた」
「何かの言葉に反応したのでしょうか? それとも生体反応? 魔力?」
っていうか間違いなく開けごまなんだけど、ちょっととぼけてみる。
「まあ、なんでもいいじゃないか。開いたんだから入ろうぜ」
「ジルはお気楽デスね。罠があるとか考えないんデスカ? アタクシがサーチの魔法を使ってますからもう少しお待ちなさい?」
っていうかなんでひらけごまで開いたのかはよくわからない。言葉の意味? イメージ? 少なくとも発音じゃないって事なんだろうけど。
ただ一つ言えるのは、この装置を作った人もしくはここにカタカナでオープンセサミと書いた人は日本人? なのかもしれない。って事。
それか、転生してきた誰か?
内部に敵影らしきものは見当たらないからというアマリエの言葉に、わたしたちはその無機質な廊下を進んで行った。
殺風景な無機質な壁。発光ダイオードか何かが仕込んであるのか天井の隅がぼんやりと明るい。照明としてのLEDの寿命なんてそんな何百年も持たないだろうに、そもそもここに供給されてる電気はどこからきてるんだろう? そんなことを疑問に思いながら歩いて。
壁や床の材質はアルミのようなそんな軽い音。コツンと壁を叩いてみたけどやっぱりそんな感じで。
しばらくそんな細い廊下を進んで行くと、少し広めの空間に出た。そして、そこにはいくつかの扉。
さっきの扉のように音に反応するわけではない、ドアノブが付いたものだった。
「どうする?」
「ドアは三つ。ひとつずつ開けてみるしかないだろう?」
「別れていくのは得策じゃないデスわね?」
「とりあえずこのドア全部開けてみましょう?」
そう言ってわたしは一番右側のドアを開けた。ここまでくる間にまったく魔獣らしきものを見なかったせいか完全に油断してたのもあったのか、何も考えずにドアノブに手をかけて。
カチャンと音がしたのを確認してドアを手前に引いていく。
「危ないマリア!」
ドン! と目の前に衝撃が走り空気の塊がドアの隙間から覗く怪物の身体を弾き飛ばした。
慌ててそのドアを閉めるわたし。
「はう、ごめんなさい」
わたしはそのまま足がガクガクっと崩れてその場に蹲み込んだ。




