2026年 皐月下旬の短歌集
霙ふる傘下でよれて縫い目なく
ほどけた笑いイ・ラーフラクタル
噛みあいのこだわり去って腑におちた
ぼくらの愛は摩擦熱だと
F1にデビューした気で挑むのは
デジタルデフも壊れる不倫
飾らない偏が揺れだし旁とび
造作もなしに鼻歌はねた
レコードで刻んだ譜割りノイジーを
今もそのまま歌ってしまう
歌詞カード紙のJacket ソノシート
父の旋律 母の追憶
骨董の店で耳した唄声に
機関車のポー船の汽笛や
熱い愛すぐ告げたくて叫んだは
「Ti amo con tutto il…」カルパッチョ!
漣波たち綺麗だねって指さして
僕だけが知る漣漪れんいに言った
熱砂ふく海に薄紅さし来たり
君の声音に乾海の雪
扉打つ左に聞いて空騒ぎ
出るか出ないか右耳迷う
立てよ立て! モビルスーツよ立ちあがれ
それは無茶だよニュータイプでも
秋に煙む白く陽炎なつかしき
そなたの諱古り難しかな
靄晴れて茶器にのこりし渋薄し
言の葉なるはゐこぼる味めく
あの花は明日ひらくと見きて朝きたり
手折られたるは花か心か
煉獄で主文をきいて項垂れた
冤罪なれど心もとなし
志 高々掲げ歓呼して
太陽さして蕩けた剣
欲づいて狂おうほどに抱きすくめ
食べし吾ぞな大蒜に死す
あれしてと言われるままのおさなき日
今も浮かぶはひき肉だんご




