第二章 「胎動」 第十話 「穏やかな眠り」
「天眼 風をみる」
第二章 胎動
第十話 「穏やかな眠り」
暫くすると、お鈴が長政の屋敷に駆けて来た。
三人での話しが始まる・・・。
お鈴「おはようございます、お菊さん、」
お菊「おはよう、お鈴ちゃん、 もう、起きてたの?」
お鈴「えぇ~、朝、一番で笛を吹くのが、私の役割なの」
お菊「あ、そうだったわね、お鈴ちゃんは、笛が、上手だものね」
龍気「さて、お鈴、「文」にも書いた通り、ここ長政殿の屋敷で、
お菊さんと一緒に住むのは、どうかの?」
龍気は、いきなり、本題に入ったが、お鈴に「気遣う」必要は無い、
ここに来た時点で、龍気の考えは、総て、お鈴には、
「わかって」いるからだ・・。
お鈴「うん、わたしも、大丈夫だと思う・・、ただ・・・、私は慣れているけど、
お菊さんの考えは、総て分かっちゃうよ
お菊さんは、それでもいいの?」
お菊「えぇ・・・、 そうね・・、 でも、一緒に暮らすって事は、
そういうものじゃ~、ないかしら。
例えば、親子でも兄弟でも、夫婦でも、お互い隠し事とか、
しないのが、「普通」じゃない。
だから、わたしにも、お鈴ちゃんが、考えている事を、全部、
話して欲しいな、 そしたら、お相子でしょ、」
そう言うと、お菊は、にっこりと笑った。
お鈴「あ~、よかった。 やっぱり、 お菊さんって、良い人ね。
「とっちゃ」が好きになるのが、分かるわ」
龍気「これ、お鈴!」
お菊「え!」
お鈴の一言で、龍気とお菊は、互いに顔を見合わせ、
気まずそうにしている・・。
が、お菊は、少女のように、はにかみ、嬉しそうである。
その様子をみて、龍気も安心した。
お鈴は、すでに龍気の気持ちを読んでいたが、
龍気の性格上、自分からお菊に対して、
その気持ちを伝える事は、無いであろうという事も、わかっていた。
お鈴は「わざと」言ったのである。
お鈴「だって、このままじゃ~、先に進みそうに無いんだもん、
はっきり、した方がいいよ。
お菊さんも、まんざらでもないみたいだし。」
ここまで来ると、お菊の顔は、真っ赤になっていた・・・。
龍気「ま・・・、その事は、別にしておこう・・、
では、お鈴も一緒に住む事に異存は、無いと言う事でよいな。」
お鈴「うん、いいよ。」
龍気「ただ、お鈴よ、そなたの役目は、お菊さんを守るという事が、
一番だという事を忘れてはならぬぞ、
もしもの時は、小鉄を走らせ、わしに報せるのじゃ、
その時は、この赤い紙を竹筒に入れよ、
それを「合図」としておく、よいな」
お鈴「うん、わかった、赤い紙は、危険の印なのね」
龍気「小鉄は、お菊さんから、「餌」をもらい、食べる事が出来る、
じゃから、小鉄を常にここ、長政殿の屋敷に
置いておく事にする、後は、臨機応変に対応することじゃ、」
お鈴「へ~、小鉄が、「とっちゃ」以外から餌を食べるなんて!
私があげても、食べないのに、ちょっと嫉妬しちゃうな、」
お菊「御免ね、お鈴ちゃん、」
お鈴「えへ、冗談だよ、お菊さん、 これから、よろしくね」
お菊「こちらこそ、よろしくね、お鈴ちゃん。
あのね、お鈴ちゃん・・、 ちょっと、こっちにおいで、」
そう言うと、お菊は、手招きして、お鈴を自分の膝の上に乗せ、
お鈴を後から、「ぎゅっと」と抱きしめた
お鈴「お菊さん・・・、」
お菊「私には、子供が居ないから、お鈴ちゃんのような子が、
私の子供になってくれたら、嬉しいな・・。」
お鈴「お菊さん、何だか、良い匂いがする・・・。」
お鈴は、暫くお菊の膝に座って、そのうち眠ってしまっていた・・・。




