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「天眼 風をみる」   作者: 魔法使い
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第ニ章 「胎動」 第五話 「安らぎ」



「天眼 風をみる」


 第二章 胎動


   第五話  「安らぎ」



   半刻(1時間)程すると、お菊が目を覚ました。 


  すぐ横には、龍気が正座して、腕を組みながら目をつむっていた。 


 寝ている訳ではないが、最小限の意識だけを残して、


  「休んで」いるのだ、何かの気配があれば、自然と気がつくように


訓練されている。


  玄海は、「勝手場」で、朝飯の用意をしている、と、いっても、


  「米」ぐらいしかなかったので、お粥を作っていた。



お菊「あ、あれ? わたし・・・、」



龍気「む、気がつかれたか、よかったでござる、 さ、水でも如何かな?」



お菊「あ、ありがとうございます、でも、何故? 龍気様が、ここに?」



龍気「覚えていないのも、無理はない、わしが駆けつけた時は、


    そこの縁側で倒れておったのじゃからの」


お菊「あ、そう、わたし、寒気がして・・・、熱が出て・・・、


   二日程寝込んでいたのですわ・・、 確か、「笛」あ、そうか、


    小鉄! そう、小鉄を呼んだのまでは、覚えています・・・、 


   その後は・・、 ダメね。」


龍気「 無理して、思い出さぬともよい、それより、腹は空いておらぬか? 


    今、玄海が、粥を作っておる」


お菊「ま~、玄海様まで、来てくれているのですか?」



龍気「玄海だけではない、先程まで、永光寺の道願殿も居られた、 


    道願殿のおかげで、そなたは、「命」を救われたのじゃぞ、」



お菊「ま~、そうでしたか、色々とご迷惑をおかけいたしました。」



    そこに、「お粥」とお茶を持って、玄海が現れた・・。



玄海「ははは、お菊さん、 一番の「命の恩人」は龍気殿じゃぞ、


    馬に乗り、正覚寺まで、薬を取りに行き、


     薬の飲めぬお菊さんに、一番効率良く、薬を飲ませ、


    いや~、見ていて、見事であった、ははは」


龍気「これ、玄海、言わんでもよい事を・・・、」



お菊「え? 薬の飲めない私に、一番効率良く、薬を飲ませて・・・、 


    え? それじゃ・・・。」


    そこまで言うと、お菊は、熱が下がったばかりなのに、


    また頬を赤らめてしまった・・・。


 

玄海「なに、恥じる事は何も無い、あの時は、必死であったからの、


    ほれ、「粥じゃ」、後は、養生する事じゃ、


     後で、何か買って来てやろう、勝手場には、何も無かったからの~」


お菊「あ、ありがとうございます、助かります、 


    あ、そうだわ、小鉄にもお礼を言わなくっちゃね、


    これで、二度目ね、命を助けてくれたのわ・・・。」



龍気「そ・そうでございますな、そうじゃ、春風にも、馬草をやらねば・・・、


    玄海殿、ここは、頼んだでござる」



   そう言うと、龍気は、逃げるように、春風に馬草をやりに行った。



玄海「お菊さん、先ほどは、笑っていたが、切羽詰まった状況だったのじゃ、


    解ってくれるかの?」


お菊「えぇ~、もちろんでございます、むしろ、私のような女に


    そこまでして頂けるなんて、感謝しても仕切れません。」


玄海「その~、それだけじゃ~ないのじゃが・・・、 道願殿がの、


    湿った襦袢じゃ、体に悪いと言っての、その~二人で


    着替えさせたのじゃが・・・。」



お菊「あ、そう言えば、襦袢が違いますね、


    えぇ・・、仕方がありませんから・・、 」



玄海「そう言って頂けると、助かる。」



    お菊は、裸を見られたと、云うことよりも、自分の為に皆が、


   必死になって看病してくれた事の方が嬉しく、


    今度は、目頭を熱くしながら、粥をたいらげた。


玄海「では、わしは、ちと町まで行って、精の付くものでも 


    買うてまいるよって、ゆっくり休まれよ・・・、」



お菊「はい、本当にありがとうございます、 


    ご好意に甘えさせていただきます」



   玄海が部屋を出ると、暫くして、馬小屋から、龍気が戻ってきた。


龍気「おや?  お菊さん、玄海殿は、どちらに行かれたのじゃな?」  



お菊「あ、町まで、お買い物でございます、 


    あ、その・・、着替えまでして頂いて、本当にありがとうございます」


龍気「あ、いや、こちらこそ・・・、 それよりも、体の具合は、


    いかがですかな? 見た所は、問題なさそうなのじゃが、


    ひどい熱であったからの。」


お菊「えぇ~、まだ、頭が「ボーーット」していますが、もう少し、


    休ませて頂ければ、大丈夫だと思います・・、」



龍気「うむ、しばらく、ここにおるゆえ、ゆっくりと、休まれよ・・・、」



お菊「はい、ありがとうございます・・・、」



   お菊は、粥を食べて、お腹も落ち着いたこともあり、 


  それとは、別の安心感を抱きながら、穏やかな、眠りについてしまった。


   傍らでは、龍気が、始めの姿勢と同じように、正座し、腕を組み、


  目をつむりながら、「見守って」いた・・・、


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