第一章 「旅立ち」 第四十二話 「お鈴の変化」
「天眼 風をみる」
第一章 旅立ち
第四十二話 「お鈴の変化」
長政は、心の一部を「はぐれ村」に置きながら、 道願殿との約束通り、
「玄海」・「龍気」・「お鈴」を連れて、永光寺へと向かう。
沢山居た、諸人達は、それぞれの目的地に向かい、
少しずつ減ってきた・・、 途中で、気がついたように、長政が言う。
長政「そういえば、お鈴、 気分は、大丈夫なのか?
永光寺では、道願殿が居たおかげで、事なきを得たが、
永光寺を離れてからは、「守り」(道願の事)が
居なくなっていたからの。」
お鈴「うん、大丈夫。 「舞」が始まって、しばらくしたら、
今度は、とっても良い「風」が吹いてきたの、みんなの気持ちが、
ひとつになって、とっても気持ちのいい風なの、
それがね、「はぐれ村」の最後の「舞」の時まで続いていたんだけど、
長末のおじいちゃんが来てから、急に風が、
途絶えちゃって聞こえるのは、
「長にい~」の声だけになったの、
あんなに沢山の「風」が聞こえていたのに、「私」と「長にい~」
だけなの・・、 こんなの初めて・・・。
何て言うのかな・・・、「長にい~」と「私」の二人だけが
存在している世界・・
二人の間に大きな「帯」みたいなのが繋がっていて、
大きな「繭」(まゆ)の中に包まれているって感じなの、
それが、今も続いているから、道願のおじいちゃんの時のように、
他の風は聞こえなくなっているのよ」
長政「ふむ、「帯」に繋がれ、大きな「繭」に包まれる感じか・・・、「繭」の外
に出ると、周りの風も聞こえてくると言う訳か?」
お鈴「うん、そうなの、 さっき、試しにやってみたけど、ある程度離れると、
いつものように、周りの風が聞こえてくるのね・・、」
長政「ふむ、この事も、道願殿に聞いてみなくては、いかんの・・・、」
長政達が、永光寺に向かう姿を、気配を悟られぬように、
二人の親子がじっと見ている。
村上親子である。
顕国「ふ~、年甲斐も無く、「熱く」なってしまったわい・・・、まるで、
勝ち戦の後の気分じゃわい・・、」
義清「まったくでございますな・・、 あの男、大日方 長政が
民、百姓、や家臣達に好かれるのもうなずけまする・・、
まっこと、素直で「熱い」男でございます・・。
あのまま、「まっすぐ」に生きていけるのか?
確かめたくなりました・・。
父上、 どうですかな?」
顕国「うむ、そうよの~、今の殺伐とした戦国の世に、
あのような、男も必要なのじゃろう、
いや、今の世じゃから、必要なのかも知れん・・・、
戦国の世は、いつまでも続くはずも無い、
戦ばかりしていたら、それこそ、国の民は、一人も居なくなってしまう。
民、無くて「国」はありえん。 長政のように、「民」に好かれる事が
「国造り」の基本なのじゃ、
義清よ、この事、わするるでないぞ。」
義清「は、 肝に命じておきまする。」
顕国「しかし、 わしも、 確かめたくなったの~、 あの男の生き様を・・・。」
その後、村上親子は、事あるごとに、
長政を支援していく事となる・・・。
途中、一行を守っていた、「忍びの者達」も里に帰らせ、
長政、お鈴、玄海、龍気の四人だけで、
永光寺に向かう、この永光寺での道願の話が、長政を始め、
四人の「考え」と「生き様」をさらに、大きく飛躍させる事となる・・・・。
それは、本当の意味での、新たな旅立ちなのである。




