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ある魔術師の日記 Ⅰ
不完全な日記。大きな破損があり、読めないところがある。珈琲でも零したのが、インクが滲んだのか、それともまた別の何かか——
『9月13日
今日は月が綺麗に見えた。妻も喜んでいた。あの月はハーベストムーンかもしれないな。さて、今日は珍しく弟子のディスキがやる気であの魔術師の水晶を貸してやった。全く、いつもこのやる気があればいいんだがな。呆れたものだ。』
『4月1日
ディスキのやつ、魔術師の水晶を無くしたと言いやがった。全く、何をしてくれているんだ。早く探さないと困ったことになる。あの日————————————だ。』
メモと新聞が挟んである。
『これだけでも予測できる。先祖レイモンドは弟子を恨んだに違いない。私が代わりに取り戻さねばならない。R.A.』
『6月2日 アルカヌム新聞社 朝刊
「魔術師の水晶の行方は!?」
偉大なる魔術師レイモンド氏の屋敷から、魔術師の水晶が消えていたことが発表された。魔術師の水晶はアルケイナー家の最高傑作の一つである。これに対し、レイモンド氏は自身の不手際とし、これ以上の追求は控えてほしいと声明を出した。』




