最終話 とある外交官の遺書
最大のネタバレになります。本編が完成しているのであれば最後に読むことを推奨します。本編が投稿されるまでは読んでもいいと思います。物語の結末もすべてわかるのですが。
愛国心成分注意。政治的考察が入っているので苦手な方はブラウザバックへ、どうぞ。
ちなみに初投稿なので、コメント、批評、改善案、大歓迎です。筆者が死ぬほど悦びます。
それと一つ、ルビのつけ方がよくわかりません。誰か助けて。
春暖の候、皆様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
皆様がこの書記を読んでいるということは、私はもうすでにこの世に別れを告げているのでしょう。
まず第一に言いたいことは、これは自殺ではないということです。意味のある死だから自殺ではない、などという話でもありません。普通の老衰、もしくは何らかの病によるものでしょう。およそ二週間ほど前から書き始めているので、恐らくは前者だと私は考えています。
これは私の今までの生涯記録、終活に近いものになります。長文にはなりますが、まぁ、最期なので許していただけるとたいへん嬉しく思います。
さて、最期というわけですから、堅苦しい文章はここら辺までにしておきましょう。
ここから綴るのは、私の人生、そして人生観です。それらを大きくひけらかすことになるので少し恥ずかしいのですが、まぁいいでしょう。
十歳前後のころから、私は魔法少女を管理する国家というものに嫌悪感を抱いており、当時としてはかなりひねくれた考えを持っていました。
理由としては、まぁ、すっかり有名人となってしまった私なのでご存じの方もいるでしょう。
私は幼少のころから日向瑠奈、通称アルファと交流を持っていました。
そして彼女はよく言っていました。
「私は強い。しかしこの日本を、魔法少女の死と引き換えに発展する社会を変える強さは持ち合わせていない。私も結局は制度の中に組み込まれたものに過ぎない。しかし、目の前の皆様くらいなら救ってやることができる。」
「瑠璃、皆様はおそらく魔法少女になる器を持っている。しかし断れ。全力で断れ。」
そう口酸っぱく言われました。
しかし最後にはこう付け加えられました。
「もしなるというのなら、この制度を根本からひっくり返す強さを得ろ。少なくとも私を軽く超える程度には。」
その影響もあって、当時魔法少女を神格化していた時代の中で、私は幼いながらも制度に反骨心を抱く、少々面倒な人間に育ちました。
そして十六歳の春、転機が訪れます。
やはり、というか遅かったなという認識のほうが強かったのですが、学校帰り、精霊から契約して魔法少女になってほしいと言われました。
私は即座に答えました。
「嫌だ。」
と。
あの子、アニマスは慌てました。本当に慌てていました。
当時の私からすると醜くあがいているように見えたのですが、今思い返せば、小さな体でじたばたしながら何度も懇願している姿はとても愛らしいものでした。
まぁ、最終的には彼、彼女、どちらなのか未だによく分からないのですが、「契約してくれないと消滅してしまう」ということと、どこで覚えたのかも分からない渾身の土下座に心を打たれ、うっかり契約してしまいました。
そうそう。
結局最後までアニマスに性別を聞きそびれていました。
聞いたところで性別はないようです。
なら、これからもアニマスと呼ばせてもらいましょう。
当時、鬼ともいえる私はアニマスに三つの条件を提示しました。
性能に制限がかかってもいいので、変身をしないまま魔法少女としての力を行使できる半変身状態にできること。
変身時間は五秒以内であること。
そして、どこの組織にも所属しないこと。
まぁ最後の条件は、ユスティおよび肥前さんの企業に入る形で破綻してしまうのですが、結果的には良かったと思っています。
それは後述するとして、魔法少女としての契約を終えた後の私は、毎夜毎夜、親の寝静まった後に、魔法少女たちが活動を止めている時間を狙ってこっそり魔獣を倒し、魔石を持ち帰るという生活を繰り返していました。夜更かしする悪い子です。
そして私の最大の武器である魔石食いも、ちゃっかりと遂行していました。
今から考えればなかなか危険ではありますが、当時の思考としてはかなり理にかなっていたように思います。
そうして上級魔獣を討伐したり、中部地方の災害級をつまみ食いしようなどと悪だくみをしている中で、前述のとおり、肥前さんと出会います。
最初は魔石食いがばれて国家に収容されるのではないかと恐怖していました。
しかし実際には、彼女は魔石食いのことを知っていたものの、その力をもって魔王を倒すために傘下へ入れという提案をしてきたのです。
まぁその後、手合わせを願い出て軽くあしらわれながらも、反撃のラリアットを腹部に直撃させたりなど紆余曲折あったものの、こうして私は国家の承認を受けた魔法少女となりました。
また話はそれますが、私が今も持っているライセンス、一応は世代級というゴールドカードのような肩書になっていますが、任務を無視して大半の魔獣を食べてしまっているため、まぁペーパーライセンスのようなものでしょう。
生顔が載っていて恥ずかしいので、煮るなり焼くなり食べるなり、好きにしてください。
そして彼女の会社に入社したのち、私は戦闘訓練を施されます。
そう、後に財務大臣となる紅桜綺羅さんにです。
彼女の技は流麗で素早く、それでいてこずるい、そんな古流剣術でした。
学ぶものも多く、その後参加した中部魔力災害において大いに役立ちました。
中部での戦いでは、私が主に災害級を食べ、綺羅さんが食べ忘れた、あるいは食べる価値のなかった災害級や上級魔石を回収するという、まぁ当時の国家からしたら卒倒しそうなことをしでかしていました。
そしてその時、中学からの旧友であったフォルティナ――東雲浪花ちゃんと再会します。
彼女は私より一年ほど早く魔法少女になっており、後にラボナ、雨貝扇さんの力を一部借りていたことが分かりますが、まぁ、よく死なずに上級まで上り詰めたなぁという感激と、魔石食いという異例の存在である私に忌避感を抱き、嫌われてしまうのではないかという恐怖がありました。
しかし幸いにも、彼女はそんな私を受け入れてくれました。
この縁は、二年ほど前に扇ちゃんと浪花ちゃんが亡くなるまで続いた、生涯の縁でありました。
そして、少し時がたち、来る第四次魔力災害。
中部地方において超巨大災害級が複数出現したことによる、魔力災害の発展形といったものではありますが、私も動員されることになります。
オービス、三角環ちゃんとはそこで初めて出会いました。
彼女は自身をオービスと呼ぶことを好むため、ここでもオービスちゃんと呼ばせてもらいます。
とにかくオービスちゃんはギリシャ哲学の変態のような子でした。
しかしその心の中には、魔法少女の死を許さないという確固たる意志と、魔獣災害そのものの根源消滅という野望がありました。
力強く、そして聡明な子でした。
そこで私は、当時の国民の皆様にはかなりの衝撃を与えたでしょうが、自らの戦闘映像を生中継させました。
死屍累々と横たわる少女たち。
超巨大災害級の強大さ。
そして魔人の出現。
すべてを公開させました。
少々意地悪な言い方をしますが、当時の国民は魔法少女を国を守ってくれるアイドル、あるいは神のような存在だと思っていたのでしょう。
私はその現実を覚まさせようとしました。
あなた方国民は、十一歳から二十歳ほどの少女たちの血と涙と死体の上に、この生活を享受しているのだと。
そして私たちは人間であり、決して万能の神ではないのだと。
その現実を知ってほしかったのです。
そして浪花ちゃんによる渾身の一撃で魔人を討伐したことにより、この魔力災害は何とか収束しました。
浪花ちゃんの射は、とにかく極限の集中によって構成されていました。
まさに状況を変える一射だったと言えます。
そしてご存じのとおり、一年間の猶予が発覚します。
まぁ、あれだけのことを見せたのが功を奏したのか、当時の国民の皆様方は中部地方からの一斉避難に非常に協力的でした。
私自身も、国民からの魔法少女に対する捉え方の変化を感じていました。
まぁ、そこで私の野望は半分達成されたようなものなのですが、後は魔王討伐という大仕事が残っています。
私は一年間、戦闘力の強化と、ベータ、月ちゃんとの共同戦闘訓練に励みました。
月ちゃんはとても真面目で、私とは正反対のような子でしたが、幸いにも連携を深めることができました。
そして来る第五次魔獣大災害。
について私は話したいのですが、正直なところ、魔王との一騎打ちに忙しすぎて周囲のことをあまり把握していませんでした。
この時に分かったことと言えば、魔王が恐ろしく強かったこと。
そして私たちどころか、地球そのものを食べる予定だったこと。
さらに、それを幾度となく繰り返してきた存在だったことです。
そしてオービスちゃんがオービスシステム、まぁプロトタイプだったようですが、そういった防衛機構を作り被害を抑えていたこと。
オービスちゃん自身が魔人を討伐し、その魔石を私の元へ持ってきてくれたことです。
最終的に私は魔王との一騎打ちを行い、そのまま魔石を喰らう形で討伐に成功しました。
かくして第五次魔獣大災害は鎮静化へ向かいます。
フォルティナちゃんの活躍については後々知りました。
歴史家の皆様が調べ上げた結果もありますし、何より本人たちから後に聞かされました。
私としては、本当に皆のおかげで勝てた戦いだったと思っています。
その後私は高校を卒業し、大学へ進学し、卒業し、外交官としての道を歩みました。
理由はいくつかあります。
まぁ、一番大きかったのは、我が国日本がオービスちゃんによって安全を担保された以上、次は世界における日本の地位向上ができると考えたからです。
まず私の目標は、国際連合安全保障理事会の常任理事国へ日本を追加指名させることでした。
そのためには何が必要か。
そう。
我々日本が巨大な経済網を作り上げ、常任理事国が拒否する気をなくすことです。
APMEC。
これは私が考えた構想でした。
魔石が埋蔵されているのは極東ロシア、朝鮮半島沿岸、日本列島全域、中国沿岸部、そして東南アジア諸国です。
私は若き外交官として海外へ赴き、構想案を提示し、協議を重ね、締結を進めていきました。
この際なので言いますが、この世界は意地悪です。
とっても。
頑張ろうとする私に鉛球を打ち込んでみたり。
専用機を落としてみたり。
宿泊先の部屋を爆発させてみたり。
まぁ署名はしてくれたので、国名は伏せておいてあげます。
そういった紆余曲折を経ながらも、北はロシア、西は中国、東はアメリカ、南はインドネシアにまで及ぶ巨大経済圏を形成しました。
そこからも多少の意地悪は受けましたが、なぜか毎回やってくる私に恐怖したのか、各国の了承も得られました。
そしてついに二〇四〇年。
日本は国際連合安全保障理事会の常任理事国として追加指名を受けることになります。
私としてはそこで十分満足だったのですが、外交官、そして外務大臣としてなぜか引退させてもらえませんでした。
どんな危険地帯へ行っても帰ってくること。
老いを感じさせない見た目であること。
そして個人的な戦闘能力。
そういったものを見込まれたのでしょう。
政権が変わろうが何だろうが、私は延々と外務大臣をやらされ続けました。
本当は六十歳くらいで引退して、浪花ちゃんや扇ちゃんと一緒に世界旅行でもしたかったのですが。
まぁ、意地悪のバリエーションがどんどん増えていくのも面白かったので、結局八十年近く働いてしまいました。
まぁ最後になって、自分自身の謎について答え合わせをしておいてあげましょう。
私は見た目こそ変わらなかったものの、不老ではありませんでした。
しかし、不死ではありました。
銃弾を受けても。
爆弾で吹き飛ばされても。
飛行機を墜落させてみても。
無駄です。
各国の皆さん。
残念でした。
まぁ、結局は死んでいるのですが。
さらに言うと、魔王を食べた後から変身ができなくなりました。
同時に、完全に変身を解除することもできなくなりました。
半変身状態がそのまま固定されたようなものです。
まぁそのせいで、各国代表の皆様や国民の皆様との握手にはとてもとても気を使ったのですが。
そんなことはどうでもよいでしょう。
私は自らを神と称するものを二柱――とでも言ってあげましょう。最大限の追悼です――食べた影響なのか、ある程度から見た目の老化も止まりました。
それと同時に、ぼんやりと自分の人生の残り時間が見えるようになりました。
正確な日時ではありません。
ですが、なんとなく。
そろそろだな、という感覚です。
まぁ、それが大体当たっているようなので、今こうしてこれを書いているわけですが。
……とまぁ、これで私の人生はほとんど語り終えました。
ですが最後に、一つだけ話しておきたいことがあります。
趣味と言うべきでしょうか。
私は今までの魔法少女としての二年間と少しを、自伝風に三十万文字ほど書いております。
発端は二〇四五年。
第七世代の皆と食事をしていた時のことでした。
オービスちゃんが突然こう言ったのです。
「私は少し旅に出る。オービスシステムと共に永遠を生きる旅に。」
と。
まぁ普通は止めます。
ですが彼女を止められる人間など存在しません。
ですので私はこう言いました。
「ならせめて、魔法少女として、工学者として生きた自伝みたいなものを書いてよ。」
と。
彼女はかなり動揺していましたが、了承してくれました。
すると今度は浪花ちゃんが。
扇ちゃんが。
綺羅さんが。
皆が書くと言い出しました。
まぁ、そういう経緯で。
現在私は全員分の自伝をまとめ、構成し、一つの作品として集約しています。
どこかのタイミングで代表的な小説閲覧サイトへ投稿されるように予約をしています。
私の人生。
浪花ちゃんの人生。
扇ちゃんの人生。
オービスちゃんの人生。
皆の人生。
そのすべてがそこにあります。
もし興味があれば、読んでみてください。
歴史書には載らないことも。
教科書には載せられないことも。
少しくらいは残してあると思います。
はぁ……
なぜか眠くなってきました。
やはりそろそろ時間切れということですかね。
この抗いようもない眠気は。
まぁ、永遠の眠りというものなのでしょうか。
アニマスに聞いてみても、どうやらそうらしいです。
やはりアニマスはかわいいです。
そして、暖かいです。
人間は死ぬときには冷たくなるというので、最期にぬくもりを抱いて眠るのも悪くはありません。
最後に。
私は今、アニマスを抱き枕代わりにしながらこの文章を書いています。
本人は不満そうですが、もう知ったことではありません。
長い付き合いでした。
私が十六歳の時に出会って。
私が死ぬまで付き合ってくれました。
感謝しています。
さて。
最後です。
どんなに超人に見えても。
どんなに偉そうに見えても。
どんなに強そうに見えても。
人間は人間です。
限界はあります。
失敗もします。
調子を崩すこともあります。
そしていつか死にます。
私が死ぬことも含めて。
だからこそ、人間は面白いし、強いし、そして魅力的なのだと思います。
それでは皆さん。
さようなら。
もしくは、予約投稿がされた時に。
また会いましょう。
2099年4月5日 日本国 元・外務大臣 筑後瑠璃
筆者より
まずは読了お疲れさまでした。
注 。どこかのタイミング=筆者である私がある程度の書き込みを終え次第随時予約投稿していきます。さももう書き終わってるようにしてますが、現在私は本文を 一文字も 書いておりません。
私個人としては男主人公の異世界ファンタジーを書きたかったのですが、結論的におっしゃいますと私の技能では無理でした。。異世界ファンタジーって世界観設定難しいですよね。其れではこれから制作に着手していくので、よろしくお願いします。




