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道具完成

寄り道しまくったがついにホバーボード完成!

ジクロブ・ハフナに戻って来たらクラッグさんは早速剣作りを再開した。良い素材が手に入ったらすぐ試さないと気が済まないらしい。うちのエティも面白がってお手伝いしている。そういやぁ、親方って呼んでいたし脳筋同士気が合うのだろうな。そして俺達は大量に持ち帰った素材を仕分けつつ強制的に手伝わされている…。


「これって、材料の属性が作った道具に反映されるの?」

「必ずというわけではないようですが、属性が付与されるらしいよ。」

「へぇ。じゃいろんなの使った方がいいんだな。」

「でも属性が違うものを混ぜると、反発しあって逆に属性が付きにくくなるの。2属性とかは割とあるけど、3つは珍しいって言われていて4つ以上は国宝級って言われているはず…。」

「え、でもクラッグさんは全部入れようとしてるよね?」

「だからこそ、挑戦し続けているのでしょう。」

「楽、これなに?」


リアと雑談していたら、クルが素材の山から変な形のものを見つけて持って来た。素材は他のものと同じだが骸骨の形をしている。小さなクリスタルスカルみたいだ。


「まさかオーパーツ?なんてね…。気持ち悪いから釜に放り込んでおこう。」


骸骨を形どるなんて悪趣味だし、さっさと捨てるべく釜に放り投げておく。すると素材の燃え方が妙に強くなってクラッグさんが若干慌てはじめた。とばっちりを受けると困るので、クアワさんと道具の打ち合わせがあるって言い張って逃げ出して来た。きっとバレていないと思う。


思いがけず解放された俺はこだま、リア、クルと連れ立ってクアワさんを尋ねることにした。ハーフリングに拘束されていたし道具作りはそんなに進んでいないだろうけど、暇を持て余していたから。こっそりパクって来た光素材も持って来たのでこれでヘッドライトでも付けてもらおうかな?

クアワさんの工房に着くと中では大の男達が4人集まって、白熱の議論を繰り広げていた。


「大砲は男のロマン、これははずせんぞ!」

「酒樽置き場は?キンキンに冷やす冷蔵庫も欲しくないか?」

「剣が大量に飛び出すとかどうだ?」

「おぉ、なら剣をつくる鍛冶場も必要だな!」


全く頼んでないオプション案ばかりが飛び出している。


「それつけるとどのくらいの大きさになるんですか?」

「おぉ楽殿。そうだな…中型馬車サイズ、重さは大型馬車4台分ってところだ!魔石がたりないから、この大っきいのもう2つ見つけて来てくれないか?」

「いらーん!!そんなデカイの手に余りますし、俺一人用頼みましたよね??」


まさかのただの過剰搭載だった。鍛冶場作っても誰も使えないんですけど。


「シンプルでいいんですって。馬車クラスでの移動をしたい場合は4枚を連結してその上に櫓を乗せますから。」

「おぉ、合体か!それもまたよい案だな!大砲は?飛び出す剣はどうする!?」

「俺魔法使えないし、その辺はいらないですって。」

「えー…じゃ巨人に変形するとかは?」

「いりませんって!」

「なんじゃ、お前さんはロマンをわかっていないなぁ…。」

「時代はシンプルで洗礼されているのに高機能が求められてるんですよ?あ、そうだこれ、いい光の素材見つけたんでヘッドライト位は付けてもいいかもです。」

「むむ、シンプルか…。ちなみにクル用で試作品ならできてるぞ。」

「マジですか!?早い!!見せてくださいよー!」


クアワさんからもぎ取ったクル用試作一号は男心くすぐるロマンの塊だった。クルに合わせてコッペパンサイズくらいのミニチュアボードだった。薄くて透明、前後の先端が軽く反り返っていて、風の抵抗を利用するためか、端には溝が掘り込まれている。前の方にはうっすら丸く膨らんだ突起がついていて、グリグリするとmacのマジックマウスのように、高さとスピードが自在に調節できるようになっていた。押すとうっすら青紫色に輝き、もう一度押すと消える。押すとオンオフ、ぐりぐりして調節といった感じだ。宙に浮かせると左右に彫られた溝にもうっすら光が走り未来感演出に一役買っている。


「クル乗ってみな!」

「クル!」


本来は立って乗る用だが、真ん中に座り込み、丸いボールを両手で押すクル。ホワンと青紫に光ったら前方に撫でると上昇する。


「クル!」


上昇し、嬉しそうに俺に向かって親指を立てるクル。かわいいぜ。

今度はボールを右に撫でる。するとゆっくりと前進しはじめる。左に撫でるとスッと止まる。もっと左に撫でると後退。慣れれば自由自在に宙を飛べるようになる設計だ。すぐにコツをつかんだクルは自由自在に飛び回り始めた。風の抵抗も問題なく軽減しているのか、転がり落ちることもない。と思ったら、急停車させた勢いで転がり落ちるクル。


「完璧じゃないですか!クルのだけは安全ベルトが必要そうだけど…お願いできますか?」

「楽、おやつ入れは?」

「おぉ、こだま…おやつ入れ…」


おやついれなんて…と思ったのだがじっと見つめてくるこだま。


「うん、必要だな!おやつ入れもいいですか?」

「ずーっと立ってるのも大変だから、たまに椅子が出てくるとかあるといいと思うよ?」

「おぉリア!それいいアイディアだな!出し入れ自在の椅子とかって…。」

「結局オプションつけるのかい!しょうがないなー付けとくよ。あとはヘッドライトだな?」

「はい!それでお願いします!なるべくシンプルに…ね?」

「くぅーなんつぅ難題!腕がなる…野郎ども作戦会議だ!」


みんなに甘い俺による無理難題を追加オーダーすることになったが、こうして俺達は最高のホバーボードを手に入れた。新たに追加されることになったのは小さいボタンが3つ。押すと椅子がニュッと出てくるボタン、もちろんシートベルト付き。後方に箱型の荷物入れが出てくるボタン、そして球体に屋根ができるボタンだ。屋根はリクエストしてなかったけどありがたい。もちろんヘッドライトもついた。椅子や箱が出てくる仕組みは、原理は理解できなかったが表面を覆うコーティング成分に自由変形できるものを採用し、変形しているそうだ。カーボン的なことなのかな?


因みに商品ができたとの連絡をうけ、受け取りに来てみるとクアワさんの工房には死屍累々の4人が待っていた。創作意欲が湧きすぎて不眠不休で頑張ってくれたらしい。これは感謝のご馳走でも振る舞ってあげないと下請法にひっかかりそうだ…。ひとり危機感を覚え身震いする俺だった。

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