表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/106

結果保留でダンジョンへ

なんとここにきて初ダンジョン。

翌朝、俺はクラッグさんの家で行き倒れていた。船で飲んでいたのだが、途中クアワさんの家に移動。そこからは何を飲んで、どうやってここまできたのかさっぱりだ、まるで、社会人になりたての頃みたい。

そして、目を覚ますと朝っぱらから鉄を打つ音が鳴り響いている。


「い…いたい…!!ガンガンしないで…………!!」


頭にまで響く鉄を打つ音に悲鳴に近い声を上げると、俺に気づいたクラッグさんが顔を出す。


「情けないやつだなぁ。エティ、そこの飲ませてやれ。」

「分かったぞ!えいっ!!」

「うぐっ…ゲホゲホゲホ…何を…み、水…じゃない!にがい!!!!」

「ワッハッハ!二日酔いにはザグハフランの根っこの絞り汁だぞ!」


いつの間にかアシスタントのように鍛冶仕事を手伝っていたエティに飲まされたのは、恐ろしく苦い何かの絞り汁だった。二日酔いを忘れるくらい苦い!!幸か不幸か、お陰で少しだけ復活できたのだが…。


「朝っぱらから何作ってるんですか…。」

「剣に決まってるだろ!しかし、何かが足りないんだよな…。よし、お前ら今から素材を取りに行くぞ!」

「いや俺二日酔いで…。」

「二日酔いには素材採取だ!ほら早くしろ!」


頭を押さえながら尋ねると、何故か強制的に素材採取を手伝わされることになってしまった。二日酔いが和らいだのは不幸の方でしたか。しっかり朝食を作らされたあと、引きずって連れてこられたのはジクロブ・ハフナ王国の近くにある巨大なダンジョンだった。


「ドワーフが作るものの素材は粗方このダンジョンで手に入るんだ。ここにダンジョンがあるから、ジクロブ・ハフナがここに創られたんだからな!」


素材系ダンジョンでしょうか、クラッグさんが求める素材もここで手に入るらしい。それにしても、勝手に牢屋出てきちゃって、普通に仕事してるけどハーフリングの船の方では問題になっていないのだろうか?まぁ、いいか。

考えてみればダンジョンってこの世界に来てから始めて潜る。正直ちょっとワクワクする。ガンガン進んでいくクラッグさんの後に続いてダンジョンに入ると、そこは想像に違わないザ・ダンジョン。洞穴みたいな道を進んでいくと、突然開けて広めの空間に出る。地下なのに明るいお馴染み仕様と岩でゴツゴツなのに偶に草が生えている。薬草とか毒草とかが混じって生えているが、草に擬態した魔物もいるので無闇に触らない方が良いらしい。入り口に近い低層にはスライムなどの魔物がいて、深くなるにつれて目つきの悪い兎型の魔物やコウモリ型の魔物が現れ、深くなるにつれて大きくて厳ついのが出てくるようになる。実に教科書通りのダンジョンだ。しかしクラッグさんはどんな魔物ももろともせず進んでいく。しつこく襲ってくるやつもいるのだがでっかいハンマーで即座に吹っ飛ばしている。


「因みにクラッグさんはどんな素材を探してるんですか?」

「とにかく全属性の素材を詰め込みたいかららな。光系闇系が足りないな。」

「へー、素材ってどんな風に見つかるんですか?」

「そんなことも知らんのか。素材は大概壁に埋まってて、光系は透明、闇系は黒い結晶だ。偶に結晶が埋め込まれた魔物も現れるから、そいつを狩ってもいいぞ。」


素材って鉱物みたいなもんなんだな。しかし、壁に埋まってるって、こんなペースで進んで見落としたりしないのだろうか?

大分潜っただろうか、ひとりキョロキョロしながら後をついていくと、ふと脇の通路の先に気になるものを見つけた。突き当たりの壁に丸い石碑が埋め込まれている。


「クラッグさん、あれは?」

「あぁ、あれたまーにあるんだが、あそこは掘っても大した素材は出てこないぞ。」

「ちょっと見て行きましょうよ。」

「行っても何もないのに?」

「いやあからさまに怪しいんだから調べなきゃでしょ!」

「むぅ。仕方ないな…ちょっとだけだぞ。」


しぶしぶのクラッグさんの背中を押して脇道へと入っていく。壁に埋め込まれた丸いものは、遠目からは石碑に見えたが石ではなさそうだ。何の素材かはわからないが、非常に細かい紋様が刻まれている。


「こんなあからさまなアイテム、絶対秘密が隠れているはずですよね!」


興奮してクラッグさんにいうと、徐に石碑に手をかけぐるりと回し始める。右、左と何度か回すとカチリと音がして石碑を中心に四方に岩がずれて奥に部屋が出てくる。おぉ!っと驚くとドヤ顔のクラッグさん。なんかちょっとむかつく顔だ。奥に入ってみると中はドーナツ状の落とし穴、底が見えないほどの深さにの空洞となっていて、中央にだけ広い立てるスペースがある。そして大小様々な石の台が設置されている。その中でも最もセンターの台の上には頭上からスポットライトのように光が降りている。部屋の壁には所々丸い水晶が埋め込まれているて今までの自然の洞窟といった雰囲気と一転し人工的な祭壇、神聖な雰囲気というやつだ。


「この部屋はあの広場があるだけで、硬くて床も掘れんし何もないんだよ。」


いろいろ探し尽くした後なのか、早く先へ行こうと煩いクラッグさん。クラッグさんを気にせず、観察していく。するとよく見てみると落とし穴の一部に砂が浮いている。


「これはもしやジョーンズ先生のやつ!!?」


俺はワクワクしながら外の砂を手で掬ってきて落とし穴に撒く。すると予想通り一部が透明の道になっているではありませんか!感動しながら一生懸命砂を撒いていくと何てことでしょう、一部が中央とつながる道になっています。まさか俺がジョーンズ先生と同じ方法で道を切り開けるなんて。感動にテンションマックスで道を渡ろうとしたのだが、現実はそんな甘くなかった。底が見えない巨大な穴に細い一本の道。こんな細い道に命を容易に預けられるわけがない。石橋を叩いて割るタイプの俺は、体重を恐る恐るのせて強度を確認したあとは、命綱を何重にもくくりつけ、這うように匍匐前進スタイルで道を進む。それでも高さの恐怖に打ち勝てず、後半は目を瞑っての移動、ジョーンズ先生って想像以上に凄かったんだなと再尊敬してしまった。

漸く中央の足場にたどり着き、体を起こすと、こだま達はとっくに到達していて石の台座などを見ていた。


「楽!楽!この石簡単に動かせるぞ!」


俺の勇姿に触れることなくエティが調査報告してきます。


「…。お前達どうやってここまで?」

「オラとクラッグはジャンプしたぞ?」

「歩いてきたよ?」

「こだまも私も空飛べるので…。」


ジョーンズ先生、折角のトリックも魔法の世界では意味がないようです…。肩を落としみんなと合流すると、確かに中央の台以外は地面に設置されているわけではなく、意外と簡単に動かせます。

そして中央の台の上にはリング状のフレームに鏡のようなものが嵌め込まれている。鏡は、隙間に石のようなものが挟まっていていますが、それを取り除けばくるくると上下左右に回せるようです。何となく回していると、ふと台の正面の先の壁の水晶が目に入り、そちらに向けてみました。頭上からのスポットライトが鏡に反射して水晶に当たると、水晶もまた別の方向に光を反射します。


「楽!楽!なんだかわからないけど、それ凄いな!」

「おぉ、そんな事ができるなんて知らなかったぞ!」


ドヤ顔だったクラッグも、こんな事する発想はなかったようで、俺の行動に驚いています。エティは見た目が楽しいのかノリノリに。それにしてもジョーンズ先生!まだトリックは残っていたようです!

光の先に稼働できる石を移動させ、その上の鏡を別の水晶へと当てるように調整。それを何度も繰り返していくと、ついにすべての光が繋がった。


「楽、ここからみると文字がみえる。」


中央で眺めていたこだまが石を動かし終えた俺達に声をかけてきました。慌てて中央にもどり、こだまが指差す方向をみると、光の線が石の台に所々線が塞がれていて文字のような配置に見えなくもない。ただ、俺は文字は読めないのですけれども。


「こだまこれは文字なのですか?」


どうやらリアもこれが文字だとは認識できなかったようだ。


「こだま何て書いてあるんだ?」

「オホログ・イッタラグ…?」


こだまが文字を読み上げると、ドーナツ状の落とし穴の底から強い光が立ち上りしばらくして光が収まると、部屋の奥の方の落とし穴の一部に下へと続く階段が現れていた。


「おぉ!階段だぞ!」


何の迷いもなく先頭切って階段を降りていくエティ。ジョーンズ先生ばりの勇敢さだな。仕方なくエティに続いて階段を降りて行くと、底が見えないほどの深さだけあって階段は大分下まで続いているようです。おっさんの体力ギリギリまで使って長い階段を降り切ると、ドアにぶつかり、ドアを出ると再び神聖な雰囲気の部屋にでた。そして、


「…マーラ?」


その部屋で出会ったのはなんとクラッグさんの奥さんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ