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旅立ちの時

漸く移動手段ゲットの旅が再スタートです。

「楽さん、ジャクブズの解体が終わりましたぞ。」


ハクシクス王国に戻ったらジャクブズの素材が山積みにされていた。ジャクブズの殻は透明度がありめちゃくちゃ硬いが見た目に反してものすごく軽かった。クチバシ部分も珍しい素材のようだが何に使えるのか?使い道は想像できない。頭部分と尻尾部分には撥水性の高い毛が生えていて、それも素材になるそうだ。そして2つの魔石。ドラゴンのものと比べるとだいぶ小さいのだが、魔石としては大きいそうだ。初めて見たのがドラゴンのだから平均が全くわからない。ジャクブズの魔石は青紫っぽい色だった。重力計の魔法が使えるからだそうだ。

ドラゴン骨スープもいい感じになったし、そろそろドワーフの国へ向かう時がきた。しかし、この地底って流砂に飲まれてたどり着いた場所。どうやって地上に戻ったらいいんだろう?


「あのね、ずーっとまっすぐ森のほうに行くとね、木の根っこがあるの。根っこを登ると森に行けるよ。」


クルの意見は参考にならなかった。そもそもみっちり生えてる根っこの隙間に入れるのはクルくらいなものだ。木の根っこは簡単に切れるの?って聞いたら魔の森のは無理、だと。大人でも出れる場所はないのだろうか?


「それなら、北東方向に進むと洞窟があるのでそっちから行くといい。洞窟の中に泉があって、その泉は地上の川に繋がっているらしい。」

「川か。それってもしかしてイルーヴァントに流れる川のことかな?」


以前マチュール王国の王都でゲットした地図を見てみると、魔の森の中央にノフス砂漠があり、そこの近くからイルーヴァントに流れ込むように川が流れている。イルーヴァントとはスパイス商のパッパさん達の故郷パッパを有する東の国だ。


「わしらはこの地底から外に出たことがないから、なんて呼ばれているかは知らないが…洞窟の泉は位置的にその川に繋がっているはずですぞ。」

「ならその川から地上に出て、イルーヴァントを超えた先がドワーフの国ジクロブ・ハフナだな。結構遠いなぁ…。まぁ急がば回れ。移動手段をゲットしないと人族の国でも動き回りづらいししょうがないか。」

「今度は川に行くのか?オラ魚食べたくなってきたぞ!」

「魚。楽、早く行こう。」

「川には美味しいのあるの?」


現金なこだまとエティはもう次に食べたいものを想像して出発する気満々なようです。しかしクル…なぜお前が会話に参加しているのだ?


「クル、お前はいっちゃだめだからな。」


アルも即突っ込む。


「クル、これからは地底でラクティスの実も取れるし綿菓子機も置いていくから、地上に行く必要はないんだよ?」

「でも地下には楽いないよ?」

「な…なんて可愛いこと言うんだ…。」


シュンとする様子にまでおっさんが悶絶している中、アルは冷静に断固として止めています。まぁ、外の世界の旅に送り出すにはクルはちっちゃすぎますからね。俺だけ後ろ髪ひかれてますが、振り切って出発することに。


洞窟の入り口まではアルがジャクブズで送ってくれた。やっぱ空移動はめちゃくちゃ早い。

そして洞窟の入り口は思ってたより小さかった。大人2人が通れるくらいの幅で、高さも180cmある俺にはちょっと低く感じる。言ってなかったっけ?俺結構でかめのおっさんです。しかしくぐって入った中は入り口に反して広かった。白、黄色、ピンク、カラフルな石灰岩がたくさん生えていて至る所に水たまりができている。粗方、アルカリ、酸性入り乱れて、無茶苦茶な化学反応しているのだろう。石灰石の色に対して水は透明。とてもきれいな水。そして少し入ったところに泉はあった。洞窟の中なのに水の中は明るく、水が透明なこともあって遥か下まで見通せる。きっとものすごく深い。


「そう言えば…ここからどう進んだらいいんだ?俺…泳げないんだった…。」

「それなら、これ使えばいい。」


アルが指さしたのは一際大きな鍾乳洞の先。そこには透明で巨大な玉が付いている。風船みたいに膨らんだものらしく、切り取れば透明なドームのテントみたいになる。


「後はグランクを捕まえてそれを載せればいい。」


グランク?と首を傾げてたら、アルが指差した先にいたのは巨大なヤドカリ、みたいな生き物。背中の貝をこの透明なドームに変え、中に乗り込み、餌で誘導しながら行けば良いのだと。めちゃくちゃ不安なんですけど…。敵に襲われたら?空気は?水圧でドーム壊れたりしない?溢れ出すネガティブシンキング。しかし人の不安をよそにアルがグランクを捕まえてきて、透明ドームをセットしてくれる。そして、こだまもリアもエティもさっさと乗り込んでいる。


「グランクは草食だから襲われないしとても穏やかな性格だ。問題ない。早く乗れ。」


ぐいぐい押されて仕方なく乗り込んでみると、背中は思いの外硬く、生き物の上なのに暖かさも感じず、地面に腰を下ろした感覚だ。ドームに小さく穴を開け、ラクティスの種、スーパーボールに刺した釣竿ををその穴にはめ込んで人参を吊す。野菜の人参だ。スーパーボールだから水は入ってこないよ、と言うけど不安だ…。粘度を隙間に詰め込みたい。

ぶつぶつ呟いていたら、あれよあれよと言う間に準備が整い、ついにグランクが動き出してしまった。スムーズに着水。軽快なスピードで潜っていく。


「世話になっぞ!またくるな!」


イケメンな挨拶しているエティにアルも手を振り返しています。ええい!なるようになれじゃ!

諦めてあるの方に手を振ると、なぜか慌てた様子のアルが水に飛び込み泳いで追いかけてくる。


「?」

「楽、頭にきのこ生えてるよ?」


こだまの言葉に頭に注目すると、クルも頭の上で手を振っていた。あぁ…そうなっちゃうよね。テンプレ的な展開に肩を落とすと、しばらく追って来ていたアルもついに諦めたのか、肩を落として水中に漂っている。迷惑をかけるね。そのうち聖霊コンビにでも頼んで送り返すからな。アルに向かってジェスチャーで思いを伝えたので少しは伝わってくれていることを願うばかりだ。


「楽、おやつの時間。」

「オラ、冷たいのがいいぞ!」

「クルも冷たい甘いの。」


託児所でしたっけ、ここ?ため息をつき、助けを求める視線をリアに送ったら…リアさん、肩で笑うのやめていだけませんか?先が思いやられる再スタートを切ることとなりました。

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