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祝勝会

ドラゴンとの戦いの後は大量の戦利品ゲットと相場が決まっています。

ドラゴンが眠りにつき、漸く一息つけた俺達はまずは残った肉などを片付けることに。肉があれだけうまかったのだから、骨とか捨てるのもったいない。そこで特大鍋をたくさん作ってもらってのドラゴン骨スープを作っている。ネギの青いところも入れてコトコト。そして煮込み放置している間にリア指導の元、使える素材はしっかり集めておくことに。

ちなみにこだまとエティは、クルをはじめとしたベジ族おこちゃま軍団と仲良く綿菓子を堪能中だ。


「楽見て、すごいおっきな魔石。」

「へーこれが魔石。宝石みたいだ。」

「魔力量もすごい。これなら馬車も動かせると思う。」

「おぉそうだった。移動手段をドワーフに作ってもらうための魔石探してたんだった。これはラッキーだったな。」


リアから差し出された魔石はめちゃくちゃ大きいクリスタルみたいな石だった。透明でほんのり赤くて、よく見ると中心にエネルギー帯みたいな光が浮かんでいる。色は魔物の属性によっていろいろあるそうだが、ドラゴンは炎系よりなのでこの色らしい。

いろいろありすぎて魔石確保のこと忘れていたが、結果的に手に入れられたのだから漁夫の利というか、行き掛けの駄賃というか、得をしたので良かった。

他にも牙やら爪やら鱗やらも大量に手に入った。体が大きい上に2体だから鱗を回収するだけでも一苦労。でも掌より大きくて硬く、透明度もある丸い鱗。何に使えるか想像つかないが使い道はすごく多そうな気がする。皮や翼のところに生えていた羽もものすごく貴重らしい。羽ボウガンの矢にいいかなって思ったらリアに渋い顔されたので消耗品に使うのはやめておくことにしよう。


「素材を剥ぎ取るのってめちゃくちゃ大変だな…。」

「これだけ大きいからね。でもどれも滅多に出会えない貴重なものばかり。無駄にしたら祟られる。」

「今のところ使い道はないんだけどねぇ…。まぁ食後の運動と思って頑張るよ…。」


内臓系はレアが一番うまいとドラゴンがすべて平らげてしまったが、肉は流石に食べきらなかったのか余っていた。


「折角だから今夜はベジ族のみんなで祝勝会するか。」

「ハンバーグ。」

「そうだな。骨から削ぎ落とした分もあるし、ハンバーグにするか。」

「楽、オラステーキも食べたいぞ!」

「あんなに食べたのにまだステーキ食いたいのか?ならさっきとは違うスペシャル版にするか。」

「おぉ、楽しみだぞ!」


その為にもドラゴン骨スープを煮込む間暇なので大祝勝会の準備と洒落込みましょう。


「こだまとエティは、この細切れの肉でミンチ作りね。」

「えー…。めちゃくちゃ多いぞ!大変なんだぞ!」

「食べてばっかいないでたまには働かないとまた太るぞ?うまい飯のためだ頑張れ!」


満腹で寝ていたこだまエティを叩き起こして仕事を命じる。

細かい肉をこそげ落としつつ包丁で叩いてミンチに。ミンチ機より肉肉しい方が美味ししそうだから大変だけど包丁で。それをベジ族も含めたみんな分。こだまエティにもしっかり働いてお腹をすかてもらうか。

こうしてドラゴンの解体&祝勝会の準備であっという間に夕方になった。


「あれだけ働くと流石に腹が減ってきたな。いよいよ塊肉で【ロブションおじさんのステーキ風】作りだ。」

「ロブションおじさん?」

「俺の世界で一番有名な料理人さ。」


クッキーおばさんみたいな呼び方するとわかりづらいが、そう、ロブションといえば星30と3っつです!の世界一のミシュランおじさん。以前世界一受けたい系番組でレシピが紹介されていたので、そのアレンジだ。匠な技は持ってない人が作ってもうまい。流石ミシュランおじさん。手間がかかるから、ドラゴンの食べるスピードだと間に合わないから出さなかったレシピ。豪華な祝勝会ならぴったりだから、満を持して作ろうと思う。ベジ族のみんなにはこのメニューも、またドラゴンが起きちゃった時の武器にしてもらえればと思う。


【ロブションおじさんのステーキ風】


材料

・豆乳

・醤油

・味噌

・粒マスタード

・レモン汁

・バター

・塩

・胡椒

・トリュフ塩


まずはソースのベース作り。

鍋に豆乳、醤油を入れて温め、味噌を溶かし入れる。しっかり混ざったら粒マスタードとレモン汁を入れて混ぜる。

次にステーキ。フライパンにバターを溶かしステーキ肉を焼く。こちらも肉汁を閉じ込めるように4面焼き固め、中はレアめがいいので火から下ろして休ませておく。このとき胡椒、塩をふっておく。因みに世界一受けたい系番組で言っていたのだが、胡椒、塩の順に振ったほうがいいらしい。塩が先だとお肉の水分を吸収して表面に固まっちゃうのだと。俺はそんなに繊細じゃないからそこまでの違いはわからないけど一応従っておこうかな。

お肉を寝かしている間にソースの仕上げ。肉を焼いたフライパンの余分な油だけ拭き取り、豆乳を投入。…失礼しました。

鍋で煮詰めた先程の豆乳ソースを入れて焼いた肉から出た旨味を入れてあげる。

後は焼き上がった肉を一口大に切り、ソースをかけ、トリュフ塩をアクセントでかければ、超フレンチな【ロブションおじさんのステーキ風】の完成だ。ちなみにハンバーグも今回はこのソースでいただく。


「楽、ベジ族のみんながスープも作ってくれたよ。」

「おぉ、またあのスープが食えるのか!」


付け合わせのマッシュポテトなどを仕上げつつ、ベジ族の持ってきてくれたスープを並べたら祝勝会スタートだ。


「うまうまうまうま」

「楽!楽!ステーキは世界一おいしいな!」


あんなに食べたのにこだまもエティもすごい食べっぷりです。


「このソースとっても美味しい…。」

「本当に。野菜にもすごく合う!」

「このソースは肉にも魚にも野菜にも合うらしいですからね。是非このソースも次ドラゴンが起きたときには振る舞ってあげてください。」


ベジ族も大満足で祝勝会らしい祝勝会になりました。しかしドラゴン肉ってめちゃくちゃうまいな。


「本当ねー。このお肉で熟成肉作ったら…。」

「それ暴力的にうまいに決まってるな!よしウィリデ、この後ドラゴン捕まえて亀鯨の中に放り込もう!」


お約束の精霊コンビが呑気に参加しています。俺も放っておこう。

怪我をしたベジ族もいたが、うまいご飯でみんな活力が出てきたようできっと復興も早い事だろう。

こうしてベジ族の災難な一日は幕を閉じた。今日はよく眠れそうだ。



翌朝。

俺たちはハクシス王国の外へとやってきていた。

昨日、ステーキをたらふく食べ、2度目のデザートタイムに入るこだまエティを見ていてふとあることを思いついたのだ。


「楽、ここで何をするの?」

「こいつを植えようと思うんだ!」

「それは…ラクティス?」

「そう!ラクティスのスーパーボールだ。これをここに植えたらいつでもラクティスが取れるだろ?」


クルの大好物が国近くで採取できるようになったら喜ぶだろうなと。我ながら名案だ。


「その種は植えても芽は出てこないぞ。」


しかしその言葉を聞いてアルがいう。曰くラクティスの実は植えても芽が出ないらしい。クルが食べたがるから何度も植えてみたのだが一度も芽を出さなかったらしい。


「えー俺の名案が…。」

「その実は魔力で育つからよ。ドラゴンの血かけてみなさい。」

「ドラゴンの血?ってウィリデいつの間に!?」

「ラクティスの実って美味しいよね〜。植えましょ植えましょ♪」

「いや、でもドラゴンの血なんて…」

「あるよ。」


リアがすぐさまドラゴンの血を出してくれる。ドラゴンは全てが素材になる捨てるところのないアンコウみたいな生き物らしい。解体の時には血なんてなかったが、ドラゴンが食べている間にちゃっかり血抜きし、確保しておいたそうだ。抜かりないですね。

ラクティススーパーボールを等間隔に植えてドラゴンの血をかけてみる。するとジャックの豆の木よろしく、みるみるうちに芽が生えてきて、すくすく育ち、物の数分で立派な樹木に。


「そ、そんな馬鹿な…。今まで何度試してもダメだったのに。」

「ラクティスの実はね、魔力の力で育つのよ。ドラゴンの血は魔力がたっぷりあるからあっという間に育っちゃうのよ。」

「それって魔力が足りなくなっちゃったら枯れちゃうんじゃ?」

「大丈夫。そもそも魔の森は魔素が強い。そしてここは魔の森の中心の地下都市。魔力は十分よ。きっかけさえ与えれば十分に育つの。そのきっかけがドラゴンの血ってわけね。」

「なら、そのうち実がなってクレたちが好きなだけ食べられるようになるな。」

「そうだな!今まで探すの面倒だったけど、これなら俺たちも探しやすくなっていいぜ。ウィリデ今度ラクティス狩りするぞ!」


ガルゥボーイもなぜかすごく満足げです。是非ベジ族の分は残してあげて欲しい。ま、何にせよこれでクルも無茶な冒険しなくなるだろう。めでたしめでたしだ。

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