もやしもん?
味噌・醤油を発明した人、時代が時代ならノーベル賞とってたと思う。
漸くぶりに戻ってきたパタタは、また様変わりしていた。
じゃがいも商品を大々的に他の町にも売り出し見事ヒット。
他の町からの人が行き交う、活気ある町になっていた。
もう食テロの範疇を超えてます。
行き交う人が倍増し、店も増え、もう町じゃなく街って雰囲気です。
孤児院は…2号店、3号店をオープンしていた。
間も無く王都にも店舗を構えるらしく、話上手の5歳猿少年フィン、計算が得意な6歳羊少女クイン、アイディアマンの6歳猪少年アーロンを中心に今は事前戦略を練っているところだそうだ。オープンイベントとして大食い選手権みたいな大会を開き、おいしく食べて美味いを連発してくれる人を集めるという宣伝を試みようと考えているらしい。す、すごいね…。君たち子供だよね?
レシピ研究にも力を入れていて、イルーヴァント王国ハワワのパッパさんとコラボ商品を開発中らしい。
パッパさんの目の付け所もすごいが、成長速すぎません?
そして家に戻ってみれば、本当に醤油と味噌が完成していた。たった数ヶ月で。
犯人はアルバイトを頼んだハリネズミ少年のマイキーだった。そう、あの最初に出会った少年はレアな時間魔法の使い手なのだそうだ。威力はとても弱いのでレアなのに見向きもされなかったらしいのだが、こと麹周りでは絶大な威力を発揮することに。手入れのたびに無意識下に時間が進み、しかも超真面目な彼はたまに混ぜてねと頼んだのだが毎日、手入れを欠かさなかった。結果、1年はかかる麹の世話を数ヶ月で完成してしまったのだ。
「す、素晴らしい!君こそもやしもんの頂点に立つべき存在だ!」
「…もやしもん?」
何を褒めらてるのかわからず呑気なマイキー。
「もやしもん、それは麹を司る者の最高峰!マイキー、麹を制するものは世界を制するんだぞ!例えば…」
余りの興奮に言葉が止まらない。しかしマイキーたちは、暫し続いた楽の大口上をこだま安定の「お腹すいた。」で難を逃れることに。この破壊力、もしやこだまも飯テロの使い手!?
「いいから、早く。」
「…また人の心を。マイキー、君は成し遂げた偉業を正しく知るべきだ!さぁ、君の作った傑作でご飯を作るぞ!」
「え、これ食べ物だったの??」
「何を言うんだ、至高の調味料さ!喜べこだま!ずっと食べたかったものを一気に、今日は夢の【とんかつ牛丼】だ!チーズも添えてやるぞ!」
「楽、豚汁。」
「もちろん汁物は味噌たっぷり【豚汁】だ!今日はカロリーなんて気にしない!背徳グルメデーさ!」
「オラ、おいしければなんでもいいぞ!」
「デザートも頼むわね。」
「気の利いた飲み物があると尚いいぞ!」
物凄い速さで調理を始める楽とこだまに呆気に取られるマイキーとリア。エティ、精霊達はなぜかすでにナイフフォークを持って着席済みで要望を出してくる。解せぬ。
【背徳とんかつ牛丼】
材料
・昆布出汁
・醤油
・酒
・砂糖
・針生姜
・玉ねぎ
・牛肉
・とんかつ
・お好みでチーズ
昆布出汁、醤油!、酒、砂糖、針のように細切りした針生姜、細切り玉ねぎをフライパンで煮る。
玉ねぎがしんなりしたら細切りの牛肉を入れ、灰汁を丁寧に取りながらじっくり煮詰める。
丼にご飯、牛煮、とんかつ、牛煮の順にかけたら完成だ。
これぞ【背徳とんかつ牛丼】だ!
チーズ好きにはチーズをたっぷりふりかけよう。
そしてこだまが指から細長い炎を出し、チーズの表面を軽く炙っていく。
ご家庭にこだまがいない人はバーナーで焼くといいぞ!
続いて、
【豚汁】
材料
・豚バラ
・大根
・にんじん
・じゃがいも
・昆布出汁
・味噌
・酒
・おろし生姜
鍋に一口大に切った豚バラ、野菜を入れ炒める。肉に火が通ったら水、昆布出汁、酒を入れ煮詰める。丁寧に灰汁を取りつつ野菜が柔らかくなったら味噌、おろし生姜を溶き入れ完成。
あぁ、七味唐辛子があったらなぁ。
呟いていたら、どんなものか聞いてきたマイキーが、店から持ってきてくれた。
パッパさんのおかげでこの町でも流通し出した辛味調味料がまさしく唐辛子だった!
今日は背徳デーだからバターを落としても良いかも。
マイキーやエティ、お子様用にはトッピングとして、チーズも用意した。
味噌とバターはベストカップルだから言うことなしだが、チーズも洋風になって美味いのだ!
さぁカロリーは正義、ファン垂涎の背徳グルメの完成だ。
「わーすっごいいい香り…」
香りで既に幸せ顔のマイキー達の前に丼、丼、丼!料理をサーブしていきます。
「さぁできたぞ!召し…」
「うまうまうまうま」
「これ、旨いぞ!」
「美味ですわ!」
「くぅー醤油、味噌ヤベー!」
召し上がれと言おうと思ったら若干4名もう食べてた。おい、精霊!!
「マイキー、これが醤油と味噌使った料理だ、召し上がれ!」
いただきます、と遅れてマイキーとリアもとんかつ牛丼を頬張る。
「うまーい!!!甘辛くってご飯がすごくすすむ!」
「そう!ご飯がより一層美味しく食べれる魔法の調味料なのさ!」
「はい!しかもこの味付けは豚と牛異なる旨味、どちらにも合うから2種類の肉が食べれて贅沢ですね!楽さんこれ初めて食べる味だけど、すっごくおいしいです!」
「オラはもうずっと前から箸がとまらないぞ!」
「お味噌汁、初めて食べるのにほっとする。すごく不思議。」
「美味ですわ!」
「くぅー醤油、味噌ヤベー!」
「うまうまうまうまうま」
牛丼の味付けはカツ丼の味付けと調味料が似ている。つまり、牛丼ととんかつは一緒に食べてもよく合うのだ。トロトロの牛、ジューシーなとんかつ、マジ宝石箱のやつです。
もう全員夢中。
「今まで作ってた唐揚げだって、醤油使えばもっと美味くなるし、塩の代わりに麹使えば素材のうまみを爆上げしてくれる。これからも期待しとけよ!」
「楽、和風ハンバーグ。」
「そうだな、こだまの好物のハンバーグのバリエーションも増えるぞ〜。」
「たのしみ。」
こだまもいつも以上に饒舌。
デザートに食後のコーヒーまでしっかり平らげ、みんなしばらく動けなくなるほどお腹パンパンになったことは言うまでもない。
こうして我が家は、味噌、醤油、そして専属のもやし屋を手に入れたのだった。
ご飯後、食べきれず伸びていた俺をよそにこだま達が我が家を大改造。種麹用室麹、米麹用室麹をメインにし、二次製品を製造する部屋、従業員達が寝泊まりできる部屋と作り替えていく。味噌醤油の保管庫として地下室まで設置し、味噌醤油の必要性を強く感じたこだまにより、完璧な麹工場を完成させていた。
あれ?俺たちの部屋なくなってますけど…。
後に麹の素晴らしさに魅了されたマイキーを中心とした一大麹会社を設立し、パタタは世界一の食い倒れの街として世に知られるようになるのだが、それはまた別のお話。




