飯テロ②テロの威力は抜群です。
黄身はふりかけにだってなります。
翌日。本格的に庶民食堂の始動だ。
今日のオープンのために作っておいた木彫りの「庶民食堂」看板を大々的に掲げていざオープン。ターゲットをはっきりさせたネーミングって結構重要なんです。
昨日の宣伝効果か、朝から店にお客さんが殺到した。【揚げオムレツのオムライス】は1皿100リロ。スパドでもやっていけるほどの低価格設定だ。しかもみんなが美味い美味いと宣伝してくれるので町中に噂が回るまであっという間だった。口コミってどこの世界でもすごい威力。庶民に嬉しい低価格で、連日利用してくれる常連客まで現れた。スラム街のみんなが提供してくれる食材にも大いに助かっていて、当の子供達も稼いだお金で食堂を利用しているようだ。
そして数日後、早速あの偉そうな貴族のコアラ男、お供のヒョウ男、ご丁寧にゴリラ店員まで雁首揃えてやってきた。
「パンティーヌ様、ここです。客の間で話題になってるって食堂です。」
「ここが勝手に商売やってる庶民がいるって店なno!?」
「美味しいって話題沸騰らしいわよ。」
「絶対嘘なno!庶民の作るものが美味しいわけないno!」
騒がしくやってきた貴族どもは入るなり喚きます。貴族って品のかけらもないですね。
「煩いわい。ここは市場じゃないし、庶民が店出しても良い場所じゃて。店を構えたのも昨日今日じゃない。もう1年以上やっとるじゃでのう。」
お昼ご飯を食べに帰ってきていたアルマじじいが不機嫌そうに言い返すと、ばつが悪いのかめちゃくちゃ睨んでいます。良い顔ですね。
「ありがたくも妾が評価してやるno。庶民の料理とやらを出すがいいno。」
居合わせたお客さんが食べているオムライス、改めオムライチュをチラ見し偉そうにオーダーしてくるコアラ男。いつの間にかロッテちゃんの呼んでいるオムライチュで名前が定着してしまっていた。
それはそうと、あの言葉が出たんでそろそろ出番です。
「すみません、こちら庶民のためのメニューなんで貴族様にはお売りできないんですよー。」
ニタニタ笑いながら俺登場に、「な!」からの「ぐぬぬ…」と唸る貴族ども。
はい、「ぐぬぬ」いただきましたー!
「あ、あの貴族様に庶民の味はお口に合うはずもないですし…。」
ロッタさんの恐縮セリフも、よい追い討ちです。悪意のないロッタさんの言葉に戦意喪失、しぶしぶ退散するコアラ男ども。飯テロ無事成功。後はどんどん店を繁盛させて、じわじわ攻撃し続けてもらおう。是非頑張ってもらいたい。
「いやぁ爽快爽快。お前さん、よくやったわい!よし、ロッタもっとこの店を繁盛させるんだ!そしてもっともっと貴族どもに悔し顔させてやるんじゃ!」
バシバシ背中を叩いてくるアルマじじい。しかし、しっかり俺の意図わかってんな。
「そのためにも、もっと悔しがらせるレシピを教えるんじゃ!」
抜け目ないなアルマじじい。ま、いい気分だったので、伝授しよう。オムライチュのサイドメニュー。そしてスラムの子達の仕事を増やすためにも卵、鶏料理がいい。となれば俺がパッと思いつくのは【コーンミートボール】あと、黄身を使ったアクセント調味料【黄身の塩焼き】。
この武器で是非大人気店にして欲しい。
【コーンミートボール】
材料
・鶏肉
・たまねぎ
・コンソメ
・マヨネーズ
・卵
・パン粉
・塩
・胡椒
・酒
・とうもろこし
・片栗粉
「まずは玉ねぎをみじん切りにしてフライパンでしんなりするまで炒めます。」
俺の説明を受け、ロッタさんが手早く調理していきます。
「よーく包丁で叩きミンチにした鶏肉と炒めた玉ねぎ、コンソメ、マヨネーズ、溶き卵、パン粉、塩、胡椒、酒を入れてよく混ぜます。混ぜたら小さいボール状にして卵白を塗ります。」
「白いとこだけ?黄色いのちゅかわないの??」
お手伝いしているロッテちゃんがかわいらしく質問を挟んでくれます。
「黄色いのはこの後別のに使うから横に置いておこうね。」
「ぁい!」
おなじみのサーイエッサーポーズのロッテちゃん。微笑ましく思いつつ次の工程へ進みます。
「とうもろこしの粒をばらして片栗粉をまぶし、お団子の周りに押し付けてとうもろこしで包みます。
後は水を薄く張ったフライパンの上に簀子をのせ、その上にお団子を置き蒸し焼きに。10分位強火で蒸せば完成です。」
ちなみに簀子はこだまに作ってもらいましたよ?食人…職人ですからね。
そのままでも美味しいがお好みでケチャップやマヨネーズをつけても良い。
「後は、黄身を使った彩り調味料を作ります。」
【黄身の塩焼き】
材料
・卵の黄身
・塩
・砂糖
「塩と砂糖を同量で混ぜ鉄板に敷き詰めます。黄身位のサイズでくぼみをたくさん作り、黄身を入れていき、黄身が壊れないようそっと塩砂糖をかけて見えなくなるよう埋めます。」
「すごい不思議な作り方じゃのう?」
「出来上がりも結構不思議ですよ。この黄身を埋めた塩砂糖をオーブンで5分焼きしばし放置。すると…」
「わー黄身が硬くなってる!」
「半熟っぽいが…水分が抜けて手で持てる硬さになっとるわい。」
「これで完成です。この黄身をさっきのミートボールや塩焼きしただけの鶏肉、好きなものに削りかけて使います。」
そう、黄身をすり下ろしてかける調味料になるのだ。彩りはもちろん濃厚な卵の風味が足されてちょっと贅沢な味に。パスタやカルパッチョなんかにかけても美味い。
「ほぉ。この黄身をかけるとまた味わいが変わってただ焼いた鳥でもうまく感じるぞ!」
「本当ですね。いろんな料理につかえそう。」
「おいちぃ!」
アルマジロ三重奏再び。この武器を使っていろんなレシピ開発とかしてもらえると嬉しいな。
ミートボールは特にロッテちゃんがお気に入りだった。こどもはコーン大好きだからな。
さっそくスラムの子達に大量発注することにしたらしい。がんばれ子供達。
「ありがとうございます。もっとお客さんに喜んでもらえるように頑張ってみます!」
最後までロッタさんはお礼を言い続けていた。次戻ってきたときにはきっと街になくてはならない店になっていることだろう。ちょっと楽しみだ。
こうして俺たちは王都を後にすることとなった。




