ハーピィ、草原を行く
初戦闘回になります。
始まりの町アステリアを囲む城壁を越え、ウィンダは再び広い草原へ飛び出した。
青々とした草が風に揺れ、城門から伸びる街道の上を、プレイヤーや馬車が行き交っている。
ウィンダはすぐに遠くへ向かうことはせず、まず町の外壁に沿って飛ぶことにした。
何か目的があったわけではない。
空から見た円形の城壁を、今度は近くで一周してみたくなっただけだった。
石造りの城壁は、地上から見上げれば大きな崖のように高い。
けれど、空を飛ぶウィンダにとっては、翼を少し動かせば越えられる程度の高さだった。
城壁の上には一定の間隔で見張り台が設けられ、鎧を着た兵士たちが周囲を警戒している。
ウィンダは石壁から少し離れた場所を、ゆっくりと飛んでいった。
風を受けて滑空し、速度が落ちたら一度だけ羽ばたく。
眼下には、城壁の外側を巡回する兵士。
城壁の内側には、赤や青の屋根が並ぶアステリアの町並み。
その中央には、巨大な転移クリスタルが陽光を反射して輝いている。
「きれい」
ウィンダは嬉しそうに笑いながら、飛び続けた。
「おい、そこの鳥人!」
城壁の上から、太い声が飛んできた。
ウィンダは翼を広げ、空中でゆっくりと速度を落とす。
声の方を見ると、見張り台に立っていた兵士が、こちらへ手を振っている。
「こっちだ、降りてこい!」
ウィンダは首をかしげた。
けれど、呼ばれているのは自分らしい。
翼を傾け、見張り台へ向かって高度を下げる。
石造りの足場へ近づくと、鳥の脚にある鉤爪を使い、手すりの上へ器用に着地した。
兵士は、目の前に降り立ったウィンダを上から下まで眺めた。
「見ない顔だな。しかもハーピーとは珍しい」
「ウィンダ」
「名前はウィンダか。城壁の周りを飛び回っていたようだが、何をしていたんだ?」
「一周してた」
「なぜ?」
ウィンダは少し考えた。
「見たかったから」
「……そうか」
兵士は、それ以上理由を聞くのを諦めたようだった。
代わりに、ウィンダの首から下がる真新しいドッグタグへ目を向ける。
「登録したばかりの初心者だな」
「うん」
「なら、遠くへ行く前に、この草原で戦い方を覚えておいた方がいい」
兵士は城壁の外に広がる草原を指差した。
その先では、何組もの冒険者たちが、角の生えたウサギ型のモンスターと戦っている。
「あれは一角ウサギだ。この辺りでは最も弱い部類のモンスターだが、何も知らずに突っ立っていれば怪我をする」
「ウサギ」
「まずはあいつを相手に、攻撃やスキルの使い方を覚えろ。十分に経験を積んだら、東の森へ向かうといい」
「森」
「ああ。東の森には、この初心者区域の主と呼ばれるモンスターがいる。草原で力をつけ、その主を倒すことが、駆け出し冒険者の最初の目標だ」
ウィンダは東へ顔を向けた。
草原の向こうに、深い森が広がっている。
「奥に行ける?」
「森の主を倒して冒険者ランクを上げれば、さらに先へ進めるようになる」
「わかった」
「本当に分かったのか?」
「たぶん」
ウィンダは手すりから飛び降りた。
落下しながら翼を大きく広げ、風を受けて草原へ降りていく。
兵士は遠ざかる小さな背中を見送りながら、眉をひそめた。
「……大丈夫だろうか」
◇
草原へ降りたウィンダは、一匹の一角ウサギを見つけた。
白い毛に覆われた丸い身体。
額には、短い槍のような一本角が生えている。
ウサギは草を食べていたが、近づくウィンダに気づくと顔を上げた。
赤い瞳が細くなり、後ろ脚が地面を蹴る。
『一角ウサギ Lv1』
ウィンダの視界に、モンスターの名前が表示された。
「戦う」
一角ウサギは地面を強く蹴り、額の角を向けて突進してきた。
ウィンダは慌てることなく、身体を横へずらす。
軽業スキルの補正が働き、鳥の脚が滑るように地面を蹴った。
鋭い角が、ウィンダの身体のすぐ横を通り過ぎる。
「速い」
一角ウサギが振り返る。
ウィンダも向きを変え、翼の先にある四本の爪を開いた。
再び突進してくる一角ウサギに対し、翼を横へ振る。
格闘スキルによる補正が入り、爪がウサギの身体を引っかいた。
『一角ウサギに4ダメージ』
小さな身体が地面を転がる。
だが、まだ倒れてはいない。
すぐに立ち上がり、三度目の突進を仕掛けてきた。
ウィンダは鳥の脚で地面を蹴り、斜め上へ跳び上がる。
一角ウサギの角が足元を抜けていった。
空中で身体をひねり、真上から脚を振り下ろす。
鉤爪のついた足が、一角ウサギの背中へ命中した。
『一角ウサギに6ダメージ』
攻撃を受けたウサギが、低い声を上げる。
ウィンダは地面へ降りると、今度は少し距離を取った。
「次、魔法」
正面に一角ウサギを捉える。
「エネルギーボルト」
詠唱を始めた瞬間、ウィンダの身体がその場で固定された。
動こうとしても、足が地面に縫いつけられたように動かない。
一角ウサギが再び突進してくる。
淡い光がウィンダの前へ集まり、小さな光弾を形成していく。
「まだ?」
角が迫る。
光弾が完成する。
「飛んで」
放たれた魔力の弾が、一角ウサギの顔へ正面から命中した。
『一角ウサギに5ダメージ』
突進の勢いを失い、ウサギの身体が地面を転がった。
ウィンダは詠唱の拘束が解けたのを確認し、すぐに翼を広げる。
軽く羽ばたき、地面から少しだけ浮かび上がった。
一角ウサギも立ち上がる。
今度は上空にいるウィンダを見上げ、その場で跳び上がろうと後ろ脚を曲げた。
「ウィンド・カッター」
風がウィンダの正面へ集まっていく。
詠唱中は羽ばたくこともできない。
けれど、翼を広げたままであれば、ゆっくりと高度を落としながら滑空を続けられた。
風の刃が完成する。
「飛んで」
三日月状の風が放たれ、一角ウサギの身体を切り裂いた。
『一角ウサギに7ダメージ』
一角ウサギのHPがゼロになり、その身体が淡い光の粒へ変わって消えていく。
『一角ウサギを討伐しました』
『経験値を獲得しました』
『一角ウサギの角を獲得しました』
腰のウェストポーチに、新しいアイテムが追加される。
『旅人のウェストポーチ』
『収納数:2/3』
『低級ポーション ×3』
『一角ウサギの角 ×1』
続けて、ウィンダの身体が淡い光に包まれた。
『レベルが上がりました』
『Lv1からLv2になりました』
『HPが2上昇しました』
『MPが2上昇しました』
『STRが1上昇しました』
『AGIが4上昇しました』
光が消える。
ウィンダは翼を動かし、身体の感覚を確かめた。
先ほどよりも、少しだけ身体が軽く感じる。
翼を一度動かしただけで、強く風を掴めるようになっていた。
ステータスを開く。
───
名前:ウィンダ
種族:ハーピー
レベル:2
HP:22
MP:32
STR:8
DEF:4
VIT:9
INT:15
DEX:10
AGI:29
LUK:20
───
「速くなった」
もう一匹、一角ウサギが草むらから顔を出した。
けれど、ウィンダはそちらへ向かわなかった。
一通りの攻撃と魔法は試した。
レベルも上がった。
それで満足したらしい。
ウィンダは翼を広げ、再び大空へ飛び上がった。
◇
草原の上空へ昇ったウィンダは、東西南北へ続く道を見回した。
東には深い森。
西には、多くの人や馬車が往来する街道。
南には、遠くの町へ続く草原。
北には荒れ地と、その奥に連なる岩山。
「どこまで行ける?」
先ほど兵士からは、東の森へ行くよう勧められた。
その言葉を思い出したというより、森の奥へ続く道が気になった。
ウィンダは東へ身体を向ける。
翼を力強く羽ばたかせ、森を目指して飛び始めた。
眼下の草原が流れていく。
Lv2になって上昇した敏捷性の影響か、先ほどよりも明らかに速度が出ていた。
やがて草原が終わり、背の高い木々が密集する森へ入る。
地上の道は、木々の間を蛇のように曲がっている。
だが、空を飛ぶウィンダには関係ない。
木々の上を越え、森の向こう側を目指して進む。
森の終わりが見えてきた。
その先には再び草原が広がり、道がさらに遠くへ続いている。
「もう少し」
ウィンダが速度を上げようとした瞬間、目の前に警告メッセージが現れた。
『警告』
『現在の冒険者ランクでは、これより先の区域へ進入できません』
ウィンダは翼を広げ、空中で停止する。
メッセージの向こうには、確かに森の外の景色が見えている。
「行ける」
ウィンダは前へ進もうとした。
しかし、何もない空間へ身体がぶつかった。
透明な壁が、森とその先の草原を隔てている。
表面に大きな文字が表示された。
『ここから先はFランク以上の冒険者のみ通行できます』
ウィンダは首をかしげ、翼の爪で透明な壁をつついた。
硬い感触が返ってくる。
「ウィンド・カッター」
風の刃が透明な壁へ直撃する。
だが、傷一つつかない。
次に鳥の脚で蹴る。
翼の爪で引っかく。
何度試しても、透明な壁には何の変化もなかった。
「だめ」
ウィンダは少しだけ不満そうに翼を下げた。
仕方なく引き返し、今度は南へ向かう。
だが、南の草原をしばらく進んだところでも、同じ透明な壁に行く手を阻まれた。
『ここから先はFランク以上の冒険者のみ通行できます』
西へ向かっても同じだった。
北の荒れ地を目指しても、一定の地点で透明な壁が現れる。
東西南北。
どの方向へ進んでも、現在のウィンダが行ける範囲は、アステリア周辺の草原と東の森までだった。
「狭い」
実際には、初心者一人が歩いて回るには十分すぎる広さだった。
けれど、空からすべてを見渡せるウィンダにとって、透明な壁に囲まれた世界は窮屈に感じられた。
地上へ降りても、特に行きたい場所はない。
それならば、空を飛んでいよう。
ウィンダは草原の上空へ戻ると、翼を大きく広げた。
◇
急上昇。
身体を横へ倒しての旋回。
翼を畳んだ急降下。
地面の直前で翼を開き、風を受けて再上昇する。
ウィンダは草原の上で、さまざまな飛び方を試していた。
翼を大きく羽ばたかせれば、一気に速度が上がる。
翼を左右で別々の角度にすれば、身体の向きを素早く変えられる。
脚を身体へ引き寄せれば空気の抵抗が減り、逆に広げれば速度を落とせる。
尾羽と翼先の羽を細かく動かせば、ほとんど速度を落とさずに旋回できた。
誰かに教えられたわけではない。
けれどウィンダには、どのように翼を動かせば身体がどう動くのか、自然に分かった。
何度も飛び方を試すうち、空間を立体的に捉える感覚がさらに研ぎ澄まされていく。
そのときだった。
『キィッ!』
背後から、甲高い鳴き声が聞こえた。
ウィンダは振り返る。
少し大きな鷲に似た飛行モンスターが、鋭い嘴をこちらへ向けて突進していた。
『ウィンドイーグル Lv3』
ウィンダは左の翼を下げ、身体を横へ滑らせる。
ウィンドイーグルが、先ほどまでウィンダのいた場所を高速で通り過ぎた。
「避けた」
嬉しそうに呟いた瞬間、ウィンドイーグルは空中で大きく旋回した。
今度はウィンダの背後へ回り込み、後ろから追いかけてくる。
ウィンダは翼を強く羽ばたかせ、速度を上げた。
草原の上を、二つの影が高速で駆け抜けていく。
右へ旋回する。
敵もついてくる。
高度を下げる。
ウィンドイーグルも翼を畳み、後を追う。
急上昇。
反転。
左右への連続旋回。
ウィンダがどのように飛んでも、ウィンドイーグルは後ろから離れなかった。
「ついてくる」
爪やキックは、敵が前にいなければ届かない。
ウィンド・カッターもエネルギーボルトも、基本的には正面へ向けて放つ魔法だった。
背後にいる敵を攻撃する手段がない。
無理に振り返れば、その間に追いつかれる。
実際、ウィンドイーグルの嘴は少しずつ近づいていた。
どうすればいい。
ウィンダは高速で飛びながら考える。
後ろにいるなら、前へ出せばいい。
けれど、相手の方が速度を合わせて追いかけてくる。
自分だけ急に止まれれば――。
そのとき、ウィンダはチュートリアルで魔法を使ったときのことを思い出した。
魔法の詠唱中は、身体がその場へ固定される。
飛行中なら、どうなるのだろう。
確かめる時間はない。
ウィンドイーグルの爪が、ウィンダの尾羽へ触れそうな距離まで迫っている。
「ウィンド・カッター」
詠唱を開始する。
その瞬間、飛行中だったウィンダの身体に、強烈なブレーキがかかった。
翼を動かしていないのに、空中へ固定されるように急激に失速する。
「おお」
ウィンダを追っていたウィンドイーグルは、突然停止した標的に反応できなかった。
勢いのままウィンダの横を通り抜け、正面へ飛び出す。
詠唱が完了する。
ウィンダの目の前には、無防備な背中を向けたウィンドイーグル。
「飛んで」
圧縮された風の刃が放たれた。
ウィンド・カッターは、ウィンドイーグルの右の翼を深く切り裂く。
『ウィンドイーグルに12ダメージ』
『部位損傷――右翼』
片方の翼が風を受けられなくなり、ウィンドイーグルの身体が大きく傾いた。
『キィィッ!』
悲鳴を上げながら、地上へ向かって落下していく。
ウィンダは魔法の固定が解除されると同時に、翼を畳んだ。
頭を下に向け、一気に急降下する。
風が髪と羽毛を後ろへ押し流す。
落下するウィンドイーグルへ、真上から追いついていく。
地面が迫る。
ウィンダは身体をひねり、両脚を前へ突き出した。
鉤爪のついた足が、墜落したウィンドイーグルの背中へ叩き込まれる。
『ウィンドイーグルに18ダメージ』
地面へ激突した衝撃で、草と土が舞い上がった。
ウィンドイーグルのHPがゼロになる。
その身体は淡い光へ変わり、風に溶けるように消えていった。
『ウィンドイーグルを討伐しました』
『経験値を獲得しました』
『風切り羽を獲得しました』
ウェストポーチの最後の収納枠に、戦利品が収められる。
『旅人のウェストポーチ』
『収納数:3/3』
『低級ポーション ×3』
『一角ウサギの角 ×1』
『風切り羽 ×1』
続けて、ウィンダの身体がレベルアップの光に包まれた。
『レベルが上がりました』
『Lv2からLv3になりました』
『MPが2上昇しました』
『DEXが1上昇しました』
『AGIが4上昇しました』
『LUKが1上昇しました』
光が消える。
ウィンダはすぐに自分のステータスを表示した。
───
名前:ウィンダ
種族:ハーピー
レベル:3
HP:22
MP:34
STR:8
DEF:4
VIT:9
INT:15
DEX:11
AGI:33
LUK:21
スキル:
『飛行』
『魔法(初級風魔法Lv1)』
『格闘』
『軽業』
『鷹の目』
───
ウィンダは地面に立ち、今まで戦っていた空を見上げた。
心臓が速く動いているような感覚がする。
痛いわけでも、苦しいわけでもない。
身体の奥から、熱いものが込み上げていた。
怖かった。
追いつかれると思った。
どうすればいいか、必死に考えた。
そして、自分の考えた方法で勝った。
ウィンダは翼を大きく広げた。
口元には、抑えきれない笑顔が浮かんでいる。
「もう一回、飛ぶ」
地面を蹴り、再び空へ舞い上がった。
◇
それからウィンダは、日が暮れるまで空を飛び続けた。
敵を探していたわけではない。
レベルを上げようと考えていたわけでもない。
ただ、今までよりも自由に動く身体が嬉しかった。
ウィンドイーグルに追われたときの飛び方を、何度も試す。
急旋回。
失速。
反転。
急降下からの上昇。
羽の角度を少しずつ変え、より速く、より滑らかに飛べる方法を探していく。
地上では、何組もの冒険者たちが草原を行き来していた。
その頭上を、白と淡い水色の翼を持つハーピーが、何度も駆け抜けていく。
「あのハーピー、まだ飛んでるぞ」
「何時間飛ぶつもりなんだ?」
そんな声も、風の音に紛れてウィンダには届かなかった。
西の空が赤く染まり始める。
町の城壁や巨大なクリスタルも、夕日の色を受けて橙色に輝いていた。
ウィンダは草原の上空で翼を広げ、沈んでいく太陽を眺める。
現実の病室でも、夕焼けを見たことは何度もある。
けれど、窓の向こうから眺めるだけだった。
今は違う。
夕焼けの中に、自分の身体が浮かんでいる。
冷たくなり始めた風が、羽毛の間を抜けていく。
遠くの町。
森。
岩山。
どこまでも続く道。
まだ行けない場所ばかりだった。
けれど、いつか行ける。
もっと遠くへ。
この翼で飛んでいける。
不意に、視界の隅へ小さな通知が現れた。
『外部から呼び出しがあります』
続いて、遠くから看護師の声が聞こえてくる。
『ソラちゃん、もう消灯の時間ですよ』
ウィンダは夕焼けから視線を外さず、少しだけ翼を下げた。
「もう?」
『ソラちゃん?』
「……わかった」
本当は、まだ飛んでいたかった。
日が沈んだあとの空も見たかった。
星の下を飛べば、どんな景色が見えるのかも知りたかった。
それでも今日は、ここまでだった。
ウィンダはアステリアへ向かって翼を羽ばたかせる。
夕日に染まる草原の上を飛び、城壁を越え、巨大なクリスタルの前へ降り立った。
ログアウトの操作を行う直前、もう一度だけ空を見上げる。
「明日も飛ぶ」
その言葉とともに、ウィンダの身体が淡い光に包まれた。
◇
天宮ソラが目を開けると、見慣れた病室の天井があった。
頭にはVR用のヘッドギア。
身体はベッドの上に横たわっている。
窓の外は、すでに薄暗くなっていた。
「楽しかった?」
そばにいた看護師が尋ねる。
ソラは天井を見つめたまま、小さく頷く。
「うん」
「何をしてきたの?」
ソラは少し考えた。
巨大なクリスタル。
広い町。
一角ウサギ。
透明な壁。
自分を追いかけてきた大きな鷲。
夕日に染まる空。
話したいことは、たくさんあった。
けれど、それをどのような言葉にすればいいのか分からない。
「飛んだ」
結局、ソラはそれだけ答えた。
けれど、その口元には、現実のソラには珍しい小さな笑顔が残っていた。




