表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/116

ごめんね

「聡~!何で来るかなぁ~?!」


聡が、二人に拉致られて山下家へやって来た。


「二人に誘われたから。」

「だからってホイホイついて来るな!!」

私はガックリした……。感動の再会が…………聡がこんなに近くにいるのに…………いるのに…………酔っぱらいがこんなにいる!!近くにいるのにぃいい~!!くそぉおおお~!もういい!引きこもる!!


自分の部屋のベッドの上でクッションに当たっていた。くそっ!くそっ!くそっ!


だいたい何なの!?会って話がしたいって言ったのに、もう会えないって言ったの誰だよ?私の涙を返せ!!腹立つ腹立つ腹立つ~!


「くそっ!」

「女子がクソとか言わない。」

どわぁ~幻聴まで聞こえて来た。

「うるさい!どうせ私はお姫様じゃないもん!」

「お姫様だよ。ミアは僕のお姫様だよ。」


え……?聡?


ドアの前には聡がいた。


「嘘…………幻覚?」

「触ってみる?」

「うん!」

そう言って私達は抱き合った。

「体調は?」

「大丈夫。」

「良かった……。今回の事、謝りに来たんだけど……」

みんな酔っぱらっててそれどころじゃないと思うけど……?

「だから何で来たよ?」

「いや、祐さんにキレられて、雅さんに泣かれて…………めんどくさくなって…………」

言ったよ……!言っちゃったよ!めんどくさいって……。


「それに…………」

会いたかった?私も会いたかった!

「イブの夜……吉村の家に行ったって聞いたんだけど?」

ひぃいいいいい~!!そっちか!聡の笑顔が怖い!怖すぎる!!なんかのオーラがにじみ出てる!

「いや、あの、それは、ドブ川に落ちたから、だから、その…………」


ドアの外で声がした。

「何?修羅場?ママにも見せて見せて!」

「イブの日に元彼のとこいたらしい!」

「マジか~それはないわ!」

ちょっと待て……?確実に覗かれてる!!私はドアを開けた。

「みんな、あっち行って!あっちで酔っぱらってて!」

「聡~飲もうぜ!」

「聡は未成年だから!!」


私達は荒れたリビングに連れて来られた。私達完全に酒の肴だ!!

隆兄とアケミさんはは酔いつぶれてソファーで寝ていた。

「聡、気をつけて!ジュースに何か混ぜられてるかも!」

「まあまあ、せっかく来たんだから、お茶じゃ何でしょ?」

「いや、お茶以外が何でしょ?」

私はわざわざ新しいペットボトルを開けて聡のコップに注いだ。

「私が注いだ物以外飲んじゃダメだからね?」


しばらく飲んでいると、みんなはあちこちで寝はじめて、聡と私だけが宴に残された。

「いーよね。大人は酒に逃げられて。」

「確かに。ミアがお酒飲んで自殺しそうになったのに、不謹慎ではあると思うけど……。」

「まあ、暗い雰囲気よりよっぽどマシだよ。…………そっか……私、お酒飲んだら死にたくなるのかな?やってみようかな?」

私がお酒の入ったコップを手に取ろうとすると、聡にその腕を掴まれた。聡は黙って首を降った。


その掴まれた腕にはまだ……包帯が巻かれていた。


「ごめん。ごめんね。聡。クリスマス、行けなくて……ごめんね。」

「いいよ。生きててくれたから。」

聡は声が震えていた。

「ずるい……。怒りも嫉妬も……ミアの顔を見ただけで、チャラになっちゃったよ。ミアを失う事に比べたら…………全部……なんて事ないよ。」

聡…………。


そして私達は…………強く抱き締め合った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ