お正月
年明けの朝、隆兄がアケミさんと挨拶に来た。
「あけましておめでとうございます。」
挨拶もそこそこに、隆兄が私目の前に来て言った。
「ミア、話がある。」
き、キター!!
隆兄はとてもとても怖い顔をしていた。こ、怖い……。しかも、隣にいたアケミさんは泣きそうな顔をしていた。何?このスタートする前からフルスロットル……。
「ごめんね。ミアちゃん。私が変な事言っちゃったから……。」
「え?もしかして、隆兄に話しちゃった?仕事辞めちゃった?」
「仕事は辞めてないけど、インフルエンザにかかっちゃったの。」
うん、それ関係ないね。
「アケミさんのせいじゃないよ?あ、もしかして……それが自殺原因とか思ってる?」
「それが、関係してるんじゃないの?」
「関係ないよ!無関係だし、そもそも私自殺してないし!」
もう、この台詞一体何回目!?この雰囲気ヤダ!
「酔ってて記憶が無いのに何故そうじゃないと言える?」
「それは…………」
いつもの様に隆兄は祐兄の胸ぐらを掴んで言った。
「祐也!お前が家にいながら何してた!?そのための自宅警備員だろうが!」
隆兄、今ここでそれ言う?
「隆兄止めて!祐兄を責めるのは違うよ!私はもう子供じゃない。私の事は私の責任。今回の事は、私が不注意だったの。」
「ミア、あの女とは二度と会うな。」
「あの女ってどれの事?!どっちの事?」
どっちも二度と会いたく無いけど……。
「どっちの?二人?いや、1人だろ?」
???
みんなの頭の上ではてなマークが飛び交っていた。
「え?あの女ってあの女でしょ?」
「どっちのってどっちの?」
みんな…………なんて間抜けな会話してんの?ちゃんとハッキリさせなきゃ……。
「産みの母と偽る人?聡の恋人と偽る人?別にもうどっちも会いたくないよ。」
「偽る人…………?」
「わかってるよ。わかってるから、みんな、そんなに怖い顔しないでよ。せっかくのお正月なのに……。」
それまで黙って聞いていたママが初めて口を開いた。
「そうね!せっかくのお正月だものね。みんな、今日は飲もう!」
そう言ってみんなはお酒を飲み始めた。




