試練
運命というのは時によって救いの手でもあり、時によって残酷な現実を突き付けてくる場合もある。
私が挑ませる試練は運命を試す試練といってもいいだろう。あるレース場の近くの小屋に試練の場を設けた。
運命の天秤を置き、私は挑戦者を待ち構えているとさっそく中に男が入ってくる。
「ミツネさんよぉ! 試練というもんを受けにきたぜ!」
「ああ。いらっしゃい」
私は椅子に腰かけ、相手にも座るよう促す。
「試練は何だよ?」
「私の試練は運命を見る試練さ。戦いの実力じゃなく、運で試練をしよう」
「運?」
「目の前の天秤に丸薬が二つ乗っかっているだろう? どちらかが当たりでどちらかが外れだ。当たりはずれは毎回入れ替わる。片方の丸薬を選んだら私はその反対の丸薬を手に取ろう。甘かったら当たりだ。やるだろう?」
男はやる気満々のようだった。
男はさっそく私から見て右のほうの丸薬を手に取る。私は左の丸薬を手に取った。それぞれが一緒に口に含む。
甘い黒糖の味が口の中に広がる。男は外れを引いたようで顔をしかめていた。
「甘い。私の勝ちだ。鑑定はしないぞ」
「ちっ……」
「それにしても……。本当に甘いな」
甘いのがそこまで得意っていうわけでもない私にはある意味罰ゲームかもしれん。
「それにしても……。ミロクは私に戦わせないなんて酷なことを……。私は戦いが本分だというのに……。運ゲーにするとはな……」
私はどちらが当たりかわからない。
運は神が決めるものである。もっとも、私は神なんていうものは信じてはいないが。
「……またくる」
そう言い残して男は去っていく。
私は黒糖の甘さにちょっと顔をゆがめながら、そのまま飴玉を飲み込んだ。
「神って本当にいるのかねぇ……」
私は天を仰ぐ。
神様がいるのなら、私の人生にあんなことを与えなくてもよかっただろうに。神なんてきっといないのだろう。
私は椅子にもたれながら大きく伸びをしていると。
「こんちはっ! みんなのアイドル! メララちゃんがやってまいりましたにょぱっ!」
なんか変なのが来た。
メララと名乗る女の子。高校生くらいの背丈に、背中にはウサギのリュック、髪留めはニンジンであり、どこか私とは程遠いような存在が目の前にいた。
「今日はー、ミツネさんに鑑定してもらいたくてやってきましたぁ! 試練を受けるんですよねっ! アイドルとして、負けられないにょぱねー!」
「……なぁ、ミロクよ。もう閉店していいか。このテンションは私には無理だ。これにはついていけん」
こいつの相手はしたくなくなってきた。
十人十色というが、この女の子だけで何色使っていることだろう。




